パーシャル・サポート・プログラムを通じて2004年8月、3週間程神山に滞在。

(*パーシャル・サポート・プログラムとはアーティストが自ら、交通費、材料費を出して神山で滞在するかわりにグリーンバレーが宿泊先、アトリエの提供をし、神山で制作作業をするプログラムです。2003年~2005年)

ホイットニーさんに神山での滞在についてインタビューしてみました。

— 神山へ来られたのいつですか?また、滞在期間は?
(ホイットニー)2004年の8月に3週間程、滞在しました。

— 制作場所、宿泊場所について教えてください。
ホイットニー旧の教員宿舎

— 神山ではどのように過ごしていましたか。
写真、散策、ドライブ、視察、文化活動、瞑想、温泉、旅行、紙漉き体験、恋愛もどき。

— これから神山に行ってみようかなと思っているアーティストに何かメッセージはありますか。
とにかく行ってみて下さい。(神山には)本当の日本があります。

→ Whitney Vosburgh website)

四国巡礼:芸術家として、又、一個人としての巡礼の旅
ホイットニー・ヴォスバーグ

本州の東沖に浮かぶ島、四国は距離的には超高層ビルが立ち並ぶ大阪からわずか10キロしか離れていないが、それ以外のありとあらゆる点で、大阪とは対極にある。
緑濃く繁る山々、その間で萱葺きの農家や棚田が見え隠れする。山の急斜面を転がり落ちるごとく、立ち並んでいるみかんの木々、風雨にさらされ、海岸にしがみつくような格好で横たわっている漁村では、年老いた男たちが漁業で細々と暮らしを立てている。
四国へ訪れる人々の多くは真言宗を中国から日本に伝えた弘法大師が800年代に開いた八十八ヶ所霊場を巡拝する遍路たちだ。遍路は心の安らぎと功徳を求めて、全行程1400キロの距離を一周する。仕事や家族を離れて2ヶ月間の巡礼の旅を1回で終える人もいれば、毎年数日間仕事を抜け出て、まわれる範囲内の札所を参拝する人もいる。四国遍路は千年以上の歴史があり、日本で最も有名な巡礼として多くの人々を引きつけている。
地元の人々の優しいもてなしは人の心を打つ。巡礼者にお接待することによって、自らの功徳も得られるということから、この慣習は何世紀にも間続いている。白衣に菅笠をかぶり、杖をついた遍路たちは至るところで見られ、遍路道をとぼとぼと歩いて、また時には自転車でまわる。古刹では、遍路たちの唱えるお経が線香の香りとともに風に漂っている。彼らは何を後に残してきたのだろうか?また、何を求めて旅しているのだろうか? 数日間経って、ようやく考える時間ができ、何時間も休みなく歩行瞑想を続けた結果、段々と答えがわかり始めた。宗教信奉者とは程遠いが、私もまた、何かを求めているのだ。ただ、私が得たいのは功徳ではない。日本で滞在し、旅をすることを通して、私が求めているもの、それは、精神的な意味での、また、芸術家としての、新たな視野と挑戦-そして、自分の精神力を試してみたい。自分を再発見したい-自分の限界と強さ、そして自分の弱さを。先の人生などに関心はない。今というこの時間を思う存分に生き、新しい世界を、また、自分の中の新しい自分を発見したい。
四国がその答えなんだ。朝早く滝を越えて険しい峡谷に登り、太陽が照りつける午後遅く、稲田を通ってくねくね道を歩いた。

旅の終りのある朝、僕は日の出を見ようと、そっと家の外に出た。屋根の上に座り、霞がかかった山、その向こうの海の彼方にある故郷の方角を見上げた。もうすぐ僕は家族や友達の元へ、そして、僕の小さなスタジオ兼アパートに戻ろうとしている。仕事も変わり、以前のように芸術活動を続けることもないだろう。四国に来て、これからの人生の指針が明確になり、それまで知らなかった新しい自分を発見したんだ。僕はふたつの世界-自分の生まれた世界と、僕がずっと知りたいと思い、虜になってしまったもっと古い世界-を結ぶ掛け橋になるんだ。僕は絶えず、今までの自分を失うことへの恐れ、ふたつの世界の間で葛藤を感じるかもしれない、でもその代わりに、今までとは違った新しい生き方を学べるんだ。どちらの世界にも完全に溶け込むことはないかもしれないけれど、ふたつの世界をつなぎ、両方の世界の一部になることができるんだ。

日の光がもやに差し込み、きらきらと輝く山頂を照らし始めた。早朝の陽光に照らされて、私がずっと冒険だと思っていたのは、本当は探究であったということに気づいた。日本の夜明けは燃えるように輝きながら訪れる。四国の遍路たちのように、私もまた、巡礼の旅をしていたのだ、そして、ずっと探していた知識と安らぎを手に入れたのだ。

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