ヤスパー・デゥ・ベイヤー Jasper de Beijer

2006年度 神山アーティスト・イン・レジデンス招聘作家
2006/9/18ー2006/11/18 神山町滞在

1973年生まれ。オランダ・アムステルダム出身。ドローイングをこよなく愛し、北斎を信奉していた彼は、伝統的な技術の効果を高める手段として、デジタルメディアの良さを見出した。2005年にティーメ芸術賞を受賞、またオランダ政府から助成金を得たのを機に、自らのイメージ表現力にさらなる磨きをかけている。(→ Jasper de Beijer website)

下分宿舎にて

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Artist Report
作家インタビュー

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御伽草子や戯画という昔からある日本の漫画文化に注目し、今でもポピュラーカルチャーとして君臨している漫画・戯画を作品のモチーフにした。漫画の 中で気に入ったシークエンスや物体などを日本特有の視覚的アイテムとしてカットワークし、それを多面に貼り付けて立体的な模型を創作する。まるで映画の セットのような擬似的な空間の模型をスティルで撮影し、コンピューターでデジタル加工したのち一枚の写真作品にするものだ。ひとつの写真を完成させるため にたくさんの手法や行程を経てできあがっている。(武蔵野美術大学非常勤講師 嘉藤笑子)

“英雄と妖怪 Heros and Ghosts”
ヤスパー・デゥ・ベイヤー Jasper de Beijer

「英雄と妖怪」シリーズは、日本の大衆文化と伝統文化のある一面の根幹をなす空間を、異人の観点で表現した作品です。日本の漫画雑誌には、エロティックな要素、暴力など人間の動物的な性質と、驚くほど洗練された美意識が共存しています。こうした漫画から何百もの断片的または完結した場面を抜き出し、一連のスケールモデルの題材として使用しました。完成作品は、伝統的な価値観と現代人を象徴する不安感や願望と組み合わせながら、漫画が展開されるこの境界のない極めて閉鎖された世界、繰り返し現れる古風なイメージを体現しようとしています。