黒蕨 壮
Sou Kurowarabi

1999年度 神山アーティスト・イン・レジデンス招聘作家
1999/10/5 – 2000/11/17 神山町滞在

1951年鹿児島県阿久根市に生まれる。小学校3年生頃から祖父の影響を受け木彫を始める。コンピューター技師として働きながらも木彫を続け、1976年 頃より彫刻に専念する。1986年、第8回中日展で名古屋CBC賞を受賞、1988年第1回現代日本木刻フェスティバルで大賞を受賞するなど、木彫の作家 として注目される。1996年木の造形旭川大賞展で大賞を受賞、1999年網走市立美術館で「-現代における木の造形-黒蕨壮展」が開催されるなど、木を 素材とした彫刻家として高い評価を受けている。
初期の作品は、使い古されたジーンズや手袋など日常生活をテーマとした題材をリアルに表現しているが、肉体を持たないが故に逆に強い生命力に溢れたものと なっている。近年は、ゴミ問題、公害、飽食、消費社会など人間社会の現状と未来をテーマとした作品を制作し、現代社会と人間性の相関関係について我々に問 いかけている。

神領小学校にて生徒と共に

ハンドルや車輪を持った丸木舟が、空(未来)に向かって飛び立とうとしている姿を表現している。船には本物そっくりに造られた片方の靴、つぶれた空缶、か じりかけのリンゴなどゴミ問題、飽食、使い捨てなど現代社会の問題を象徴する木彫作品が積み込まれているが、一方では、子供たちが未来への希望等を書き入 れたタイムカプセルにもなっている。これは正しく現代の「ノアの方舟」であり、私達の進むべき道を鋭く問いかけている。

黒蕨壮 未来への箱船 1999