Q1)神山でのおもしろいエピソードや楽しい思い出は?

ビアギット・ラツマン
最後の夜に、露天風呂のある山小屋に行ったことです。いろりで郷土の魚の鍋料理を作ったり、みんなで一緒に露天風呂に入ったり、大いに笑いました。本当に 忘れなれない一夜になりました。展望も素晴らしく、谷間一帯から、はるか徳島まで見渡せました。今でもあの山小屋に簡単に行けたらなあ、と時々思います。

シャーロット・ブリスランド
一度、KAIRが貸してくれた6人乗りのバンに乗っていて急斜面のわきに落ちそうになったことがあったわ。
デ・ステイル建築様式の家を見つけ、もっとよく 見えるところに行こうと思って狭い道に入ったんだけれど、周辺に民家が立ち並んでいる山のど真ん中で動けなくなってしまったの。
ひき返そうとしたら、道は 40度か50度の急傾斜になっていて・…。あの道は本当は車道じゃなくて、単なる小道だったのね、入り口は車道のように思ったんだけれど。坂があまりに急 で、車が前に進まなくて、思いっきりブレーキをかけたんだけれど効果がなくて、ずるずると後ろにずり落ち始めてしまって・…。私の目の前には山があったの だけど、窓越しに見えたのは雲一つない青空だけだった。
道が狭くて、向きを変えることもできないし、汗だくで、フットブレーキからハンドブレーキまですべ てのブレーキをできるだけ強くかけ、何とか不安定ながらストップさせることができたの。携帯を掴み、ドアから安全な場に抜け出たんだけれど、バンは不安定 なままで、道の下は民家でしょう。今にもずり落ちていくのではないかと本当に心配したわ。まだ日本に来たばかりで、あまり知り合いはいなかったけれど、少 ない知り合いのひとり、チャンさんの電話番号を持っていたので、電話したの。泣き泣き事情を話すと彼は笑い飛ばして、すぐにだれか助けを送ると言ってく れ、その後すぐに、中原さんが助けに来てくれたの。おそらく彼は私のバンの前部分と彼の車の後部にロープを結べば済むだけの簡単なことだと考えていたん じゃないかしら。私は車に乗りこみ、エンジンをかけ、フットブレーキはかけたまま、ゆっくりとハンドブレーキをあげたの。すると車体全体が中原さんのバン を伴って、後ろに傾いてしまって、私は冷や汗もので、ハンドブレーキをかけ直したの。中原さんも真っ青になっていたわ、明らかに思ったよりも深刻な事態だ ということがわかったのね。今度は彼も自分のバンに乗り込み、エンジンをかけて、やっとバンと私を坂から引っ張りあげてくれたの。

ヒルダ・アーガード
中原先生が勤めていらした中学校のアトリエがいい思い出です。毎朝アトリエに入ると、小さな花瓶に生けられた花が、私を出迎えてくれました。
きれいに盛りつけられたごちそうを地元の方々と一緒に食べたのもいい思い出です。特に山で暮らしている人々と会った夜、地域の人形劇グループの集まりで出してくれたパセリとスイートポテトのケーキは本当に美味しくて、あっという間になくなってしまいました。
山で暮らしている地元のアーティストを訪ねた時に盆栽のコレクションを見たのも心に残っています。ひとつひとつが見事に作られていて、今でもあの時カメラを持っていかなかったことが心残りです!
茶道の先生宅で茶道体験もしました。先生はいつも着物を美しく着こなし、また、私のアートプロジェクトに参加して下さいました。
2001年招聘作家はみんな仲が良く、素晴らしい交流ができて本当によかったです。夜になると私たち4人が屋外や、寒くなってからはたいてい直子のコテージに集まって、ひっそりした森の中で恵樹の音楽を聞きながら、一緒に夕食を楽しみました。
子供たちとの課外授業も楽しい思い出になりました。

ジェイソン・イ
神山の思い出はどれも僕にとっては特別なものなんだ。中でも、他のアーティストと一緒にKAIRスタッフの家で開かれた夕食に招かれた時のことは印象に残ってる。みんなで本当に楽しい時間を過ごすことができたんだ。アーティストとKAIRスタッフの間の絆も強くなったし、友情も深まったと思う。
あと、他のアーティストやスタッフと一緒に直島に旅行に行ったのもいい思い出だよ。みんなで、蔡國強のデザインした混浴風呂に入れたのも良かったな。

エリザベス・ロス
外で木のスケッチをしていた時に、通りがかりの男性が全く英語を話せないのだけど柿をくれたの。嬉しかったな。

ロビン・ダンス
レジデンス2週目にそれまでひいたことのないようなひどい風邪をひき、寝込んでいた時のことです。私の体を心配した中原先生は、近くの食堂に食事に誘ってくれ、パジャマのままで構わんと言ってくれたのですが(さすがに恥ずかしくて、結局着替えて行きました)。

ストレイドム・ファン・ダ・メルヴェ
いつ思い出しても、温泉の体験はおもしろい思い出だよ。温泉の入り方は分からないし、言葉が分からないから、尋ねることもできない。。。タオルを持って入るって事や、それを頭の上に置くなんてことを知ったのは、しばらく経ってからだったよ。そうなんだ。最初は何も持たずにそのまま入っていたんだ。僕は神山では数少ない外国人だったから、みんな不思議に思っていただろうね。