Q4)日本社会や神山について、最初は戸惑ったり、よく分からなかったけれど、のちに解決できたことはありますか?

ロビン・ダンス
最初のうちは、私を作品制作と生活の両面において、可能な限りサポートしようとする実行委員会メンバーや住民の皆様の気持ちを過小評価していました。例えば、写真家の倉良さんはレジデンス期間中自由に暗室を使わせてくれ、親切に技術的なアシストもして下さいました。また、作品展示の際には14人もの人が駆けつけてくれ、私の要望に応えようと一丸となって作業 してくれた姿に本当に心を打たれました。神領小学校校長の中原先生は言葉の壁があったにもかかわらず、私がしようしていることを非常によく理解してくれ、 多大なサポートをして下さいました。大南さんは私の(写真)作品がご自身の会社が製造するコンクリートの普及を批判的に捉えていたのにもかかわらず、いつも快くサポートして下さいました。また、小包を自宅に送ろうと町内の郵便局に行くと、3人いる局員さん全員が対応してくれ、助けが必要な時はいつでも立ち 寄るようにと声をかけてくれました。

シャーロット・ブリスランド
文化の違いに時々戸惑いました。西洋育ちの私にとって、プライバシーを持つこと、他人のスペースに入るときはノックをするということはごく当たり前のこと でした。でも、日本ではそうじゃないわね。つい最近まで日本人はドアにカギがあるということすら聞いたことがなかったのではないかしら-日本の家は紙で仕 切られているのだから。日本文化は伝統的に集団意識を大事にしてきたし、今でもそうだと思う。何時でも自由に相手の家に出入りするというのもこの意識と関係があると思う。ある意味では、これはいいことかもしれないけれど、私には抵抗があったわ。それと、座るにせよ、横になるにせよ、変に床が近くて落ち着か なかった。ただ、これも捉え様によっては別の見方もできるのだろうけれど。

ストレイドム・ファン・ダ・メルヴェ
最初、家庭内での女性と男性の役割分担について理解するのが難しかった。スタッフの家に招かれた時、(きっと家事とか準備をしていたんだろうね。)奥さんが加わらなかったことが気になったんだ。でも、日本の文化や習慣が分かってきたら納得したけど、僕の国や外国では女性も重要な役割を果たしてるから、ちょっと不思議な感じがしたね。

ヤスパー・デゥ・ベイヤー
必ずしも文化的ことではないけど、大都会から小さな田舎社会に入っていく(心の)準備はできてなかったんじゃないかな。僕は田舎の生活には慣れていなかったし、個人主義なので、田舎のつきあい方には戸惑うこともあったけれど、そのうち慣れてくると、周りに対してオープンになれたように思う。

エリザベス・ロス
ゴミの分別が分からなかったわ。。。正直な話、最後まで分からなかったように思うわ。

ヒルダ・アーガード
最初は食料品店で何を買えばいいのか分かりませんでした。商品を見ても、どんなものか見当がつかないし、何を買って食べたらいいのか分からず困ってしまいました。そのうち招聘作家の直子やソフィーにも教えてもらって、段々日本食に慣れるようになりました。また、ノルウェイ出身の私は野生のへびを見たことがなかったのですが、神山滞在中には6度もへびを見ました。神山にはどんな動物が住んでいるかもよく分からなかったので、夜アトリエから歩いて帰るのは本当に恐かったです。しかも、コテージまでの道は街灯もなく真っ暗だったので、最初の頃は祈りなが ら、歩いて帰っていました。自転車と懐中電灯を用意してもらって少しはよくなりましたが、それでもコテージの灯りが見えるまではいつも息切れしながら、休 むことなく必死にこいで帰っていました。同僚のソフィーは夜自転車で帰宅中に転んだこともあるとか・…。

ビアギット・ラツマン
最初はあらゆることがグループ単位で行われるということに慣れていなくて戸惑ってしまいましたが、いったん慣れると楽しく感じられるようになりました。