窓越しのシーンがまた一つ

住まい2018年1月20日

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投稿者:赤尾 苑香

昨年9月からスタートした民家改修プロジェクト第2号物件の改修が、もうすぐ完成します。1号物件は、町の人も使える共有サロンのあるシェア型のすみはじめ住宅「西分の家」(鬼籠野地区)。2号物件は、神領の寄井商店街にある河野自動車さんの西隣、サテライトオフィス「ものさす」さんも入る4軒長屋の東隣に位置する民家です。

築90年を超すこの民家。かつて、このような長屋が軒を連ねていた商店街も時代は移り変わり、今でもその風景を感じ取れるところは少なくなってきました。そんな町の風景をこれから先も住みつないでいけたらと、神山つなぐ公社がお借りして民家改修プロジェクトの工務チームで改修することに。(当プロジェクトは、神山町の地方創生戦略の一つ)

どうです!?ビシッと建ち直ったでしょう!?民家改修プロジェクトの「すみはじめ住宅」開発では、民家がこれから100年続く町の資産となるように、基礎や構造躯体の補強、断熱、雨仕舞いなど、しっかりと手を入れて改修を行っています。またこの民家は、下屋根は雨仕舞いをやり替えて既存の瓦を使い直したり、雨戸をそのまま使うなど、通りの風景を引き継ぐよう建築家さんが設計を。

構造的によくするだけでなく、この民家を改修することで、町にどんな状況ができていくのが望ましいだろうか。どうしたら人々の新しい交流や関係性が増えるだろうか。
そこで、商店街の特徴を生かして、1階をテナント貸しできる店舗を持つ「すみはじめ住宅」にすることにしました。

昔からのお店と新しくできた店舗やオフィスが混在する寄井商店街。この通りを歩くと私はいつもとっても幸せな気持ちになれます。気分はまさに「魔女の宅急便」!なぜこの商店街を歩くとそんな気分になるかって?

「魔女の宅急便」のこのシーンを覚えていますか。映画のエンディング、キキが店番をするパン屋さんの前を、宅急便のお仕事を頼んでくれた女性が通りかかってお店の窓越しに手を振っていくシーン。そんなシーンが、寄井商店街では何度も!オニヴァさんでしょ、ものさすさんでしょ、リヒトリヒトさんでしょ、535さんでしょ。倉良写真館さんに、佐藤金物店さんに、鍛クリーニング店さん。あー、あのおじいちゃんも!
声は届かなくても、「おーい」って手を振って振り返してくれるそんな時間。たったそれだけのことで何だか一気にハッピーで、心が満ちてくるのです。

さて、では、この「すみはじめ住宅」第2号物件の1階テナントに入るのは誰でしょうか?

正解は、「豆ちよ焙煎所」さんです。昨年春の公募に申し込んでくれて、選考の末、採用が決まりました。豆ちよ焙煎所さんの千代田孝子さんは、広野に移り住んで来られて自宅で豆を挽きながら、オニヴァさんや町の中でおいしいコーヒーを淹れて来られました。現在、本体工事と合わせて千代田さんのテナント工事も同時進行中、完成間近です。

店舗は、南からの明るい光が入る吹き抜け空間。天井の既存の構造部材がとっても映えています!ニョキニョキっと伸びるのは、ロシア式暖房設備「ペチカ」の煙突。薪を焚いてレンガを保温し、輻射熱で室内を暖めます。
来週も雪の予報ですね。そんな日は、コーヒーとペチカで温まりたくなります。ペチカ視察の報告会で沢山の方が聞きにいらしてくれてからちょうど1年、本当に街中にペチカが登場しました。千代田さんのご好意もあり、来月頃、施工してくれた長野県の左官屋さんをゲストに招いて、ペチカ勉強会をこのお店で開催する予定です。日程など決まりましたら、イン神山でもお知らせしますので、ぜひお越しくださいね♪

いつも会うとにっこり包み込むようなキュートな笑顔の千代田さん。もうすぐ新しい商店街の顔として、通りを見守ってくれるあの笑顔に会えるんですね。おいしいコーヒーの香りとともに、窓越しのシーンがまた一つ増えていくのが、今から楽しみでなりません!

 

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赤尾 苑香

神山つなぐ公社 すまいづくり担当の赤尾です。広野生まれ、広野在住。子供の頃は、山や川をかけ回っていました。

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