【Interview】 ロビン・ダンス

アート2008年5月15日

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投稿者:Art in kamiyama

2000年度 神山アーティスト・イン・レジデンス招聘作家
イギリス在住

——日本社会や神山について、最初は戸惑ったり、よく分からなかったけれど、のちに解決できたことはありますか?
最初のうちは、私を作品制作と生活の両面において、可能な限りサポートしようとする実行委員会メンバーや住民の皆様の気持ちを過小評価していました。例えば、写真家の倉良さんはレジデンス期間中自由に暗室を使わせてくれ、親切に技術的なアシストもして下さいました。また、作品展示の際には14人もの人が駆けつけてくれ、私の要望に応えようと一丸となって作業してくれた姿に本当に心を打たれました。神領小学校校長の中原先生は言葉の壁があったにもかかわらず、私がしようしていることを非常によく理解してくれ、多大なサポートをして下さいました。大南さんは私の(写真)作品がご自身の会社が製造するコンクリートの普及を批判的に捉えていたのにもかかわらず、いつも快くサポートして下さいました。また、小包を自宅に送ろうと町内の郵便局に行くと、3人いる局員さん全員が対応してくれ、助けが必要な時はいつでも立ち寄るようにと声をかけてくれました。

——神山でのおもしろいエピソードや楽しい思い出は?
レジデンス2週目にそれまでひいたことのないようなひどい風邪をひき、寝込んでいた時のことです。私の体を心配した中原先生は、近くの食堂に食事に誘ってくれ、パジャマのままで構わんと言ってくれたのですが(さすがに恥ずかしくて、結局着替えて行きました)。

——来る前にに知っておけばよかったと思うことは何ですか?
作品制作の際、普段使っている写真用品が手に入らず、フイルム、紙、化学薬品などすべて日本製のものを使うことになるとは想像していませんでした。ただ、これは決してKAIR側の責任ではありませんし、私にとっては大きなチャレンジでしたが、制作上の障害とはなりませんでした。

——神山で特に思い出に残っている場所は? またその理由は?
私にとっては大切な場所がふたつあります。ひとつはコットン・フィールドで、(私の作品の焦点となった)破壊された環境の中で、侵されていない自然の残る孤島のような存在でした。もうひとつは神山温泉でほとんど毎晩通っていました。温泉は1日の仕事の疲れを癒し、地域の人と交流するには最高の場でした。

——持って来たらよかったと思うものは何ですか?
もっとスコッチ・ウイスキーを持ってきたらよかったと思いました。地元の方々にも好評で、よくテーブルを囲んで、晩酌しました。大変おいしい日本産のウイスキーもありますが、かなり高いようなので。

——持ってきたけれど、使わなかったものは何ですか?
本です。1日の終わりには、とにかくあまりに疲れていて読書はしませんでした。結局6週間で半日しか休みは取りませんでした。集中して作業したいと思っていましたし、周囲の環境もそれをサポートしてくれました。

——もう一度やり直せるとしたら、今度はどんな風にしたいですか?
レジデンスが始まる1週間前には来日したいと思います。時差ぼけを解消し、狭い山道の運転に慣れ、地図上の日本語や道路標識が読めない中で土地勘をつかむには、最低1週間は必要です。どのような方向で作品を制作していくかを検討する時間も必要です。特に私の場合は日本に来る前に考えていたのとは全く異なった系統の作品となりましたので。

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