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ズスケン・ローゼンタール

2013年 神山アーティスト・イン・レジデンス 招聘作家

ズスケン・ローゼンタール
ローゼンタールの作品の基本テーマは空間と知覚の探求である。彼女の大規模なインスタレーションは公共の空間で主に短期展示の作品として展示され、周辺の環境や建築、社会的な側面や自然状況などリサーチしたことをもとに設計される。特定の場所に設置した作品は周辺の風景と呼応しながら、見慣れた風景を一変させ、そばを通りがかる人々は、超現実的な体験をしているかのような感覚に陥る。

彼女の屋内のインスタレーションは知覚や空間をより抽象的なレベルで扱った作品となる。国際的なパブリック・アートプロジェクトのキュレーターとしての活動も、自らの創作活動と密接に関係している。また、ベルリン郊外の田舎を拠点にしたアーティスト団体「Kunstpflug e.V.」のアートディレクターも務める。ベルリン芸術大学(旧西ドイツ)卒業。現在はベルリンとブランデンブルク州に在住し、活動中。(テキスト:2013年)

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■KAIR2013 作品

Kimono Stones

神山に来て町を散策していると、国道沿いの田んぼの奥にある、空き家となった和風の木造民家が目に留まりました。民家と田んぼ、それらは日本の家庭生活や田舎暮らしを象徴するものです。
そこで、幾何学模様のオブジェを複数作って、田んぼに設置したいと考えました。ベニヤ板で作った不揃いの形のオブジェは抽象的な石の集まりをイメージしています。この構想は京都訪問の際に訪れた龍安寺の石庭をヒントに生まれたものです。この作品はまた、伝統的な日本の暮らしや日本の一般家庭の庭でよく見られる石や草木を使った典型的な庭園様式を表しています。
また、着物は家の中のくらしに深く結びついており、そこに暮らす人々を象徴するものなのと思われ、古着の着物の生地で、オブジェを覆いました。着物の一部は神山で入手したものです。大きさと形を変えて特徴をつけた5つの「Kimono Stones(キモノストーン)」は家族を形成するメンバーひとりひとりを思い起こさせます。

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タイトル/         Kimono stones
展示場所/         国道438号沿いの畑(JA西側)
形式       /         インスタレーション
材料       /          着物、合板

 

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Cloud – Cumulus –  積雲

神山の山々から受けた第一印象のひとつが、杉の森に峡谷深くかかる積雲でした。沸きあがる雲の合間から見える山々の詩的な光景は、真っ白な紙の上に現れる山や木々を描いた日本の墨絵のイメージそのものでした。
そこから私は雲をモチーフに、山の一部を覆う霧のような半透明のオブジェを重ねたインスタレーションを森の中に設置したいと考えました。積雲がもくもくと重なり合った様子を表現するため、輪を組み合わせて使用することにしました。それぞれ6個の輪を組み合わせた10の輪のオブジェは、神山下分地区の山間の段々畑に設置する予定です。60個の輪は杉の板を切り取って作り、輪の一部にグレーと白のネットを覆うことにより、半透明なインスタレーション内に、雲が重なり合った厚みを表現しています。

2013年に寄井座で展示したインスタレーションは、雲の様子を暫定的に表現したものであり、完成作品は2014春~2016年春の2年間の間、下分中稲原地区の山に設置しました。

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タイトル/       Cloud – Cumulus –  積雲
展示場所/       劇場寄井座 (KAIR2013 展覧会時)、2014年春~2016年春 中稲原岩根弘章氏農地 
形式       /        インスタレーション
材料       /        杉板、合板、寒冷紗、農業用ネット

 

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(ズスケン・ローゼンタール / 2013)

→アーティストインタビュー ズスケン・ローゼンタール(英語版)