神山の森から生まれる家!

住まい2017年3月7日

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投稿者:高田 友美

こんにちは、神山つなぐ公社の高田友美です。

2月24日に、鮎喰川すまい塾「森から生まれる家」、
その翌日に「神山の森へ」ツアーを開催しました。
神山在住の写真家の生津さんが撮影してくれた写真とともに、
当日の様子をお届けします。

まずは、鮎喰川すまい塾について。これからの神山での
暮らしについて学び合う場としてスタートして、
今回で4回目の開催です。ゲストは、前回に引き続き、
大埜地(おのじ)の集合住宅の設計に携わる、
建築家の山田貴宏さん。聞き手は、公社理事の西村佳哲さん。

大埜地の集合住宅をつくる上で大切にしている
「木の家の良さ」と、それを「地域の木でつくることの良さ」を
二人の対話を通して、じっくりと学びました。

話し手の山田さん(左)と聞き手の西村さん(右)

まずは、大埜地の集合住宅の特徴や山田さんが
これまで設計してきた木造住宅の事例も紹介しながら、
様々な視点から「木の家の良さ」について、説明してくれました。

たとえば、山田さん自身も住んでいる藤野の「里山長屋」は、
伝統的な木造の工法を使い、木の良さを生かしながらも
現代の暮らしにあった間取りやデザインになっているそうです。

里山長屋
(藤野の「里山長屋」 写真は里山長屋からの便りより引用)

木の家の良さについて伺った中で、とくに印象的だったのは、
木の強さについて。鉄やコンクリートより、重量単位あたりの
強度は高いこと。しかも年月とともに強くなるというのは、びっくり。

朝日選書262『日本人と木の文化』(小原二郎著)の「古材の強さ(ヒノキ)」を参考に木づかい.comが作成したものを転載

「地域の木でつくる良さ」についての説明では、
神山町林業活性化協議会の高橋さんも話してくれました。

「大埜地の集合住宅づくりで町の木を使いたい!
 そのための仕組みが必要だ」と話していたときに、
高橋さんは、すばやく役場や町内の林業関係者と話をまとめ、
町産材の認証制度の立ち上げに向けて尽力してくれた
立役者です!(町産材認証制度について、詳しくはこちら

「地域の木を使うことの良さは、住む人にはなかなか分かりにくいかもしれない。
 でも、集合住宅の建設をきっかけに、神山の木が使われる流れができたら、
 ちゃんと手入れされる山が増える。今は減ってしまっている鮎喰川の水も増え、
 鮎も戻ってくるかもしれない。そうしたら、嬉しいよなぁ」
と熱く語ってくれました。

最後に西村さんからも、そんな「あたり前の誇らしさ」を
みんなが感じられるようになるといいね、と。

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鮎喰川すまい塾の翌日に行われた森ツアーは、
「自分が住むかもしれない集合住宅が、どんな風に山から伐り出され、
 それが材になってゆくのか見てみたい。」
そんな人を対象に企画しました。

遠方から移住を考えている若いカップルや、
すでに神山に移り住んできている家族、
神山にある実家を自分の家の山の木で改装したいという方、
山田さんや設計スタッフも加わり、14名(+子ども2名)で
「森から生まれる家」づくりの現場を巡りました。

まずは森林組合の伐採現場(南野間)へ。
神山支所長の栗尾さんが、森の現状や伐採作業の手順、
伐採に使う道具や機械について説明してくれました。

見学させていただいたのは、森林組合が山主さんから請け負って
間伐を進めている山。手間賃がかかるため間伐が遅れている山が
増えているけれど、そんな山をできるだけいい状態に戻していきたい、
と森林組合から山主さんに積極的に働きかけて、
山の手入れを請け負っているそう。

なぜなら間伐が遅れると、日が入らなくなるために、表土が流出し、
どんどん土地が痩せていってしまうから。

実際に木を伐採する作業も見学させてもらいました。
まずは、チェーンソーで伐って、木を切り倒し…

続いて、プロセッサという林業機械で、枝を払い、建材として
ちょうどいい長さに玉切りをします。

ツアーの次の見学先は、切り倒された木が製材される現場に向かいました。

森林組合の事務所や材木置き場(神領西上角)の
すぐ横にある左右内製材所の三辻さんからお話を伺い、
製材の工程を案内してもらいました。

1本の太い丸太を、外側から順番にカットしていきます。

そして、最後に柱が切り出されます。

下のスライドは、鮎喰川すまい塾で山田さんが説明に使っていた図。
野地板、平板、間柱、根太、垂木、胴縁…聞いたことのない名前ばかりですが、
丸い原木から四角の建材を取っていく際に、廃棄する部分をできるだけ
少なくできるように、木の形を見極めながら、いろいろな用途の材を
挽いていくそうです。

(株)ヤナザイのウェブサイトより引用)

周りには自然乾燥している、いろいろな種類の木材が並んでいます。
「これは何の木かな?すごくいい匂いがする」と参加者のお二人。

普段なかなか見られない伐採や製材の現場を見学できたことで、
「地域の山の木を使うこと」がより身近に感じられるようになった
1日でした。参加者の方々も「完成物だけでは見えない、裏側の
プロセスを見れたのが嬉しい」「実際に伐採や製材の現場で働いている
人たちの顔を見たり声を聴いたりすると、建材を見る目が変わってくる
気がする」と感想を伝えてくれました。

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高田 友美

静岡県浜松市出身。神戸→東京→スウェーデン→滋賀を経て、神山に移り住みました。神山つなぐ公社では「コミュニティ・アニメーター」として、主に大埜地の集合住宅とすみはじめ住宅から始まるコミュニティ育成を担当。休みの日はノラ上手に励んでいます。

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