ぽかぽか暖かい家に住みたい(鮎喰川すまい塾#11 報告レポート)

住まい2019年1月29日

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投稿者:高田 友美

こんにちは、神山つなぐ公社の高田です。今年は暖冬なのか、神山町でもほとんど雪が降らなかったのですが…。久しぶりにぐっと冷え込み、雪も舞った先週末の1月25・26日、第11回の鮎喰川すまい塾を開催しました。

寄井の家と店「豆ちよ焙煎所」の中から眺める雪景色

今回のテーマは「冬、暖かい家のつくり方」。新築の「大埜地住宅」、民家改修した「寄井の家と店」を見学・体験しながら、家を暖かく保つ設計の工夫や、設備の仕組みについて学んでもらう、という狙いです。

新築でも改修でも、「暖かい家」をつくる基本的な考え方は同じ。当日配布した冊子では、今回見学していただいた建物の設計で大切にしたこととして、以下の3点を紹介しました。

1. 室温と暖かさは別ものです
体感温度は、床や壁、窓、天井などの表面温度からも影響を受けます。同じ室温でも、床や壁の温度が高ければ暖かく、低ければ寒く感じるもの。居心地のよい暖かさをつくるには、カーテンをきちんと閉める、壁や窓に断熱を施す、床を温めるなど、家全体を暖めることが大切です。

2. 太陽の暖かさを活かそう!
冬は、夏に比べて太陽が低くなり、部屋の奥まで日射しが届きます。その太陽光で壁や床が温められると、その熱で日没後も部屋全体が暖かくなります。南側の窓やひさしの位置・大きさを調整する、蓄熱性の高い床材を用いるといった工夫ができます。

3. 薪やペレットを使おう!
神山町の面積のうち、森林の占める割合は86%(2016年9月時点)。すまいの中でエネルギー消費がとくに大きい「給湯」と「暖房」に必要な熱を、この豊かな森林資源を活かして生み出せば、地域の森林の手入れが進みます。

もう少し具体的に見てみると…

新築の「大埜地住宅」で取り入れた工夫は:
・太陽熱集熱装置…冬は太陽熱で暖められた空気を取り込み、室内で循環させて、家全体を暖めます。詳しい流れは下図①~⑥を参照。(夏は夜間の冷えた空気を取り込みます)
・温水式床下暖房…太陽が出ていないとき(悪天候や夜間)に、木質ペレットを燃やした熱で、床下から室内を暖めます。
・ダイレクトゲイン…蓄熱性の高いコンクリート床に太陽熱を蓄えます
・ペアガラス…窓の断熱性能を上げます
・柱梁の見える仕様…木材の調湿効果で室内の温度変化を少なくします

大埜地住宅に一番乗りで見学に来てくれたルーさん・えりちゃん

屋根で暖められた空気を床下に送り込むダクト(とそれを眺めるニコライさん)

太陽光で暖まった床も、太陽熱集熱装置を経由して床から出てくる空気もじわーーっとあったかい

一方、改修した「寄井の家と店」で取り入れた工夫は:
・ペチカの導入…輻射熱で室内を快適に暖めるストーブ。薪の消費量は、薪ストーブの1/3程度!
・ダイレクトゲイン…蓄熱性の高いコンクリート床に太陽熱を蓄えます
・2階部分の減築…大きな窓から、北側/部屋の奥へも冬の日射しが届きます
・断熱性を高める…既存壁の内側は解体せず、外側に断熱材を入れています

寄井の家と店で一番注目を集めていたのは、ペチカ。自分の家にも入れられたらなーと皆さん興味津々でした

ペチカの煙突直下の掃除口を床にはりついて覗き込む大工さん

豆ちよ焙煎所のコーヒーのよい香りとともに、団欒のひととき

 

どちらの会場も、自宅の改修を考えている方、大埜地住宅に関心のある方や、これからの仕事の参考に細部をじっくり確認していく町の大工さんなど、様々な方にご来場いただきました。皆さんが今後のすまいづくりのヒントを1つでも持って帰ってもらえていたら嬉しいです。

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最後にちょっと宣伝。

「大埜地の集合住宅」の詳細は、町役場HPに特設ページがあります。
第二期・単身者用シェアユニットは、現在、入居者募集中。
第三期・家族夫婦用ユニットの募集は夏頃から始まる予定です。
http://www.town.kamiyama.lg.jp/co-housing/residents02.html

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高田 友美

静岡県浜松市出身。神戸→東京→スウェーデン→滋賀を経て、神山に移り住みました。神山つなぐ公社では「コミュニティ・アニメーター」として、主に大埜地の集合住宅とすみはじめ住宅から始まるコミュニティ育成を担当。休みの日はノラ上手に励んでいます。

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