カリン・ヴァン・デ・モーレン Karin van der Molen

2008年 神山アーティスト・イン・レジデンス招聘アーティスト
2018年 KAIRリターン・アーティストプログラム招聘アーティスト

大学にて人権に関する法学を学んだのち、芸術家として全く別の道を歩むこととなる。画家としてキャリアをスタートし、過去20年以上にわたりサイトスペシフィックアート(展示制作する土地に応じた芸術作品)という表現に焦点を当て、大規模な立体作品やインスタレーションを世界各地で制作してきた。
作品制作を行う土地に対して芸術的な応答を考案すべく、その地域を丁寧に調査し、現地の材料を用いて人々を自然の中へ誘い込む“入口”を作り出す。彼女の作品は、一貫して自然と人類の相互関係を主題に展開している。自然は人間の活動を映し出す鏡であるとし、環境芸術に取り組むアーティストとして、我々人類が自然環境と健全な関係を築くために、人々が想像力豊かに高い意識をもって取り組めるよう促すことが、芸術の役割だと考えている。
近年では、流木や木の枝などの素材と自身の体を編成した作品や、苔や葉を衣服のように身に纏うパフォーマンスを写真に収めた作品を制作している。このように儚く、その場限りの作品は、自然界の中の彼女自身の位置を探り、表現するものであり、インスタレーションや立体作品は、人類が向き合うべき現代の課題を提示する。

撮影 小西啓三 無断転載厳禁


神山金継

神山金継ぎによって、私は人間と自然の間に存在しうる調和を讃えたいと思います。この彫刻は、四国の山々や森の中に存在する人間文化の痕跡から着想を得ました。そこでは、巡礼者や旅人たちが何世紀にもわたって多くの(神聖な)品々を残してきました。小さな石仏や、カップや椀に入れられた供え物が、曲がりくねった山道に沿って何百と点在しており、古い伝統と文明の名残となっています。積み重ねられた茶碗は、日本人が木や川、山などの自然現象に捧げてきた(そして今も捧げている)供え物を象徴しています。


私は神山の現代の住民たちに、彼らの食器の一部を彫刻に提供してもらうことで、この山での存在を示してもらいました。彼らの椀、カップ、皿を使用することで、村を囲む(野生の)自然と共存する彼らの生き方に敬意を表しています。割れた陶磁器を彫刻に接着することで、磁器は再び「全体」となります。それはちょうど「金継ぎ」と同じです。金継ぎとは、割れた茶碗を金で修復する日本の芸術です。壊れたものが価値と意味を得るのです。この場合、陶磁器は新しい全体を形成し、積み重ねられた椀の上に自然な成長として現れます。喪失と変化の受容についての金継ぎの哲学は、この彫刻にも適用できます。自然に関して言えば、喪失と変化は何らかの形で向き合わなければならないものなのです。

撮影 小西啓三 無断転載厳禁