「空き家活用はじめの一歩」尾道 × 神山 座談会を開催しました
住まい2026年3月16日
みなさん、こんにちは!
グリーンバレー移住交流支援センターの進藤です。
昨年11月からイベントシリーズとして開催している「空き家活用はじめの一歩」。
第一弾では「現地版:空き家のミカタ」と称し、建築士と空き家を観察するイベント、実際に空き家の片付けを行うイベント、そして収集されたモノがどのような形で処分されていくのかを神山町環境センターにて見学する「ごみのゆくすえ見学ツアー」を開催し、多くの方に参加いただき、たくさんのフィードバックをいただきました。
さて、今回のイベントは、「空き家活用はじめの一歩 その2」と題し、広島県尾道市で空き家再生事業を展開されているNPO法人尾道空き家再生プロジェクト(通称:空きP)専務理事の新田悟朗さん、当法人の理事であり、一級建築事務所の代表も務められている片岡八重子さんをお招きし、ゲストレクチャーと座談会を行いました。
*片岡さんは鬼籠野「西分の家」と神領「寄井の家」の設計も担当されています。*



神山とも関係が深い二人。当日の日中は、片岡さんが設計を担当された物件や、寄井の街並みを見てまわりました。
18時半からいよいよ座談会イベントがはじまります。
当日までどのぐらいの人が興味を示してくれるのか全くの未知数だったので、20脚ほど椅子を並べていたのですが、椅子の数を倍増しないといけないぐらいの方に来場していただきました。
やはり空き家は地域の関心ごとなのだと改めて実感しました。
グリーンバレー移住交流支援センターの伊藤さんから、この座談会に尾道の方々をお招きすることになった経緯の説明後、さっそく新田さんのレクチャーが始まります。
尾道空き家再生プロジェクトの歴史は長く、2007年のNPO法人化以降、数多くのプロジェクトに携わってるため、一瞬でも気を抜くと置いていかれるような、情報量盛りだくさんのプレゼンでした。観客の皆さんも食い入るようにプレゼンを聞いていたのが印象的でした。
尾道空き家再生プロジェクトは尾道市から空き家バンクの運営も委任されており、空き家の持ち主と使い手のマッチングも行なっていますが、NPOとして直接空き家物件を購入し、地域住民や移住者をどんどん巻き込みながら改修を行い、ゲストハウスや店舗スペースとして運営しています。
空き家にまつわるイベントも数多く行なっており、DIYワークショップや空き家談義、カラオケ大会や土嚢運びなどのユニークなイベントを行っているそうです。
五分間の休憩を挟み、いよいよ尾道メンバーと神山メンバーの座談会が始まります。
神山からはグリーンバレー移住交流支援センターの伊藤友宏さん、同センターの職員であり、建築士でもある吉田涼子さんがスピーカーとして登壇しました。
メイン司会進行は「モジャハウス」でお馴染みの、モジャさんこと、北山歩美さんにお願いしました。
モジャさんにはご自身の空き家との関わりや、いち地域住民としての視点を交えながら質問を投げかけてもらい、観客と登壇者の繋ぎ役のような役割を果たしていただきました。
座談会の話題テーマとして最初に投げかけたのは「地域との関わりかた」。
どのような人たちが地域の協力者として空き家に関わる活動に参加してくれているのか、関わり続けてくれるのかを話し合いました。
登壇者からは、空き家・まちづくりに興味がある地域住民、新規移住者、または地元の教育機関に総合学習のテーマとして取り上げてもらうこともあるというコメントがあり、多種多様な層が空き家に関する活動に参加していることがわかりました。
また、空き家に関わる作業は、体力的に負担が大きかったり、汚れたり、暑かったり寒かったりします。
単純に割に合わないという考え方もできますが、なぜ協力してくれる人たちがいるのでしょうか、という疑問も対話の中で投げかけられました。
日常的に空き家と関わっている自分たちからすると日常茶飯事でも、関わる機会が少ない人にとっては、荷物を運んだりすることも非日常という意見もあり、確かに、と頷いてしまいました。
また、地域の空き家やまちづくりに興味がある人が、経験を共有し、交流できる場所づくりとしての機能も果たしているかもしれないと思いました。

次の話題に移ります。
尾道では2009年から「空き家バンク」を、神山では2007年から「移住交流支援センター」をそれぞれの自治体の行政から委任され、空き家の持ち主と家を探している人をマッチングする業務を担ってきましたが、その一方で両NPOともに自分たちで改修したり、活用している空き家物件があります。
単にマッチングするのではく、自分たちで活用経路を見出す物件の違いや動機を話し合いました。
「僕たちが単純に治したいだけ。楽しいから。」
「古い建物が好きで、誰かに使ってもらえたら嬉しい。」(新田さん)
「『グリーンバレーが中間に入ってくれるなら、貸してもいいよ。』という声があった。」(伊藤さん)
登壇者から様々な意見が飛び出しましたが、歴史的・文化的な背景を考慮しながら活用したい空き家ではあるが、普通のマッチングではなかなか借り手が見つかりづらい物件を、NPO自身で活用する流れになりやすいという点が共通して言えるのではないかと思いました。

座談会も後半に入ります。
前半は具体的な例を交えながらそれぞれ「地域との関わり方」、「マッチングではなく自分たちで手を入れた家の選定基準」という話題で議論してもらいました。
後半からは少し抽象度を上げて、空き家が置かれている状況をより深く理解するために、座談会の前に尾道と神山の空き家が置かれている環境を「昔」と「今」というかたちで書き出してもらい、それぞれの土地、現在と過去でどのような違いがあるのかを比較してみました。
尾道と神山、二つの別々の地域と「昔」と「今」という軸で空き家が置かれている状況を相対化し、空き家を取り巻く環境がどのような変化を遂げているのかを考察しました。
話を聞きながら、いくつかの側面が共通の変化として抽出できるのではないかと思いました。
① 空き家問題の認知度の向上、空き家家主さんの世代交代・高齢化による売買需要の増加。
② 地方振興の盛り上がり、雇用を通じた移住人口層の増加、またそれに伴った賃貸需要の増加。
相反するように変化していく住宅需要。単純に空き家の貸主と借主のマッチングを行うだけでは、変化に対応しきれないことがわかります。
このような変化に対応できるようグリーンバレーでは、中間組織としてサブリースを行うことにより、家主さんに無理がないかたちで空き家の賃貸化を行う「家守りプロジェクト」に取り組んでいます。
賃貸物件の供給が進み、移住の受け皿ができると、そこを拠点に人が住み始め、仕事をし、神山に長く住みたいと思った場合、賃貸物件に住みながら神山に根差し、自分の気に入った空き家をじっくり探すことができる。
そして、最終的には空き家を売買したい家主さんにとっても、無理のないマッチングが可能になる。そうすることによって空き家が再生されて、神山に人が入ってくる。このようなサイクルが人にとっても空き家にとっても健康的かつ持続的なのだと思います。
逆に、短絡的に売買のマッチングを行えば、短期的には空き家の数は減少し、家主さんも空き家の悩みからは解放されるが、土地の特色や生活感覚が理解されないまま物件を購入し、神山とのミスマッチを起こしたり、土地の管理などをめぐってトラブルが発生したりする可能性が高くなるため、長期的なまちづくりの観点から、そのようなマッチングは避けるべきだし、神山との関係性を作ってから空き家が購入できるなど、無理のないステップを踏んでいける仕組みづくりが必要なのではないでしょうか。
20分ほど時間を押してしまいましたが、座談会はここで終了。
参加者の皆さんは、遅い時間になってしまったにも関わらず、会場に残って登壇者や他の参加者と話し込んでいた姿が印象的でした。
「空き家」と一口に言っても、場所や気候、歴史、文化といったあらゆる側面から観察すれば、とても多様な存在だということがわかります。
NPO尾道空き家再生プロジェクトもNPOグリーンバレーも、15年以上空き家と関わり続けている団体ですが、状況の変化に直面し、試行錯誤を続けています。他地域の空き家と関わる団体と交流することで、空き家という存在の可能性と重要性を再認識すると同時に、地域コミュニティを巻き込んだ活動、まちづくりとしての空き家活用を活発に進めていきたいと強く感じた1日でした。
参加していただいた皆様、ありがとうございました!

移住支援センター
物件紹介から交渉、契約、地域への順応支援にいたるトータルサービスを提供。 「こんなところに住みたい」という移住希望者の要望と、「こんな人に来てほしい」という所有者や地域住民の仲介役を果たします。 「これがダメなら、あれはどう?」というような不動産屋さん的な対応はしません。 最適で、最善の組み合わせを実現するため、一件一件に時間をかけます。 家探しには忍耐が必要です。その忍耐力をお持ちかどうかも、マッチングの大きな要素となります。
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