若林 恵×多木陽介|公開対談「神山をめぐって」

学び、ものづくり

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投稿者:西村 佳哲

場所:
神山サテライトコンプレックス
開催日時:
2019年2月10日 13時〜15時

元WIRED誌編集長・若林 恵さんと、ローマ在住の批評家・演出家の多木陽介さんが、2月上旬神山町に滞在。最終日・2/10(日)に一般公開のトークイベントを開きます。どうぞお越しください。

 申込み不要/無料
 聞き手:西村佳哲・真鍋太一
 共催:NPOグリーンバレー、神山サテライトコンプレックス
 *豆ちよ焙煎所の出張コーヒーあり

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事の次第(文・西村佳哲)

若林さんの本『さよなら未来』を読んでいた真鍋太一(フードハブ・プロジェクト)が「面白い!」とFacebookで感想を洩らしたところ、知人を介し「若林さんと一緒に神山へ行きましょうか」という話に。せっかくなら1泊2日でなく2泊3日くらい滞在して、いろんな人に会ってもらい、僕らも若林さんらと話す時間を持てたら。という話になった。

それとほぼ同時にイタリアの多木さんから、「トリノ工科大学のアンドレア・ボッコ先生を連れて訪問したい。自分もいろいろな人に会いたい」という相談が。時期がほぼ重なったので2グループの滞在を合わせ、最終日に「神山をめぐって。何人かの人々に会って…」といった感じのトークイベントを一般公開で開いてみたいと提案。快諾をいただいて開催します。が、どんな話になるのかは当日になってみないとわかりません。

当日前の2日間に彼らが会う、主立った人は、
・フードハブプロジェクト/農業部門のリーダー・白桃薫さん
・グリーンバレー理事の大南信也さん
・後藤町長
・町役場の若手
・集合住宅プロジェクトまとめ役・赤尾苑香さん
・町外から頻度高く通っている人:慶應SFC・稲田玲奈さん、東工大・真田純子先生
など。(それらの場は非公開)

つまり若林さんが自著や最近の試みを語るとか、多木さんがカスティリオーニの話を聞かせてくれる、という企画ではない。語るかもしれないけど。
 神山 × 若林 恵 × 多木陽介
 × 真鍋太一 × 西村佳哲
の生トークに居合わせてみたい人は、どうぞお越しください。
 


写真:CINRA.NET〝若林恵は「未来」にうんざり。いま語るべきは複雑化したこの社会〟より

若林 恵さんについて
若林さんは、1971年生まれの編集者。プロフィールを見ると「ロンドン、ニューヨークで幼少期を過ごす。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業後、平凡社入社、『月刊太陽』編集部所属」とある。あの『太陽』のつくり手の一人!
フリーランスの編集者として独立し雑誌・書籍・展覧会図録などを手がけ、『WIRED』日本版の編集長に(2012〜)。「この編集長とチームは情報技術の未来というより、これからの社会に関心があるんだな」(西村)と思える特集がつづく。2017年の退任とほぼ同時に、著書『さよなら未来』を出版。僕はこの本を通じて、韓国と日本の音楽シーンの現況をようやく意識できた。他のエッセイ・論考も面白い。文章もうねりがあって読みやすく、音楽をたくさん聴いてきた書き手なんだろうなと思う。

現在は黒鳥社(blkswn publishers)設立。近著は『次世代銀行は世界をこう変える』(日本経済新聞出版社)。

多木陽介さんについて
多木さんはローマ在住のジャーナリストであり演劇作家。1962年生まれで、美術評論家・多木浩二氏の息子さんでもある。僕が初めてお会いしたのは約20年前。ある雑誌の特集でイタリアのつくり手を訪ねた際、現地で通訳に付いてくれた。その中でアッキレ・カスティリオーニ(モダンデザインの世界的なお父さんの一人)にもインタビューを行うことになり、多木さんも初めて彼と出会う。

多木さんとカスティリオーニの繋がりは深まり、11年前にAXIS出版から『アキッレ・カスティリオーニ/自由の探求としてのデザイン』を上梓。近年は自身の芸術活動に加え、展覧会のキュレーション/デザイン、講演、執筆などを通じて、生命を中心に据えた人間活動の哲学を探究なさっている。


写真:Think the Earth〝プロジェッタツィオーネに学ぶサステナブルな創造力〟より


多木さんは今回、アンドレア・ボッコ(Andrea Bocco)さんという建築家さんと連れ立って来る。ボッコさんはトリノ工科大学 建築学科の准教授だが、タフなフィールドワーカーであり、かつ社会活動家としての実践が印象深い。僕はまだ直にお会いしていないが。大学院生だった約25年前からトリノ市の地域再生にかかわり、移民の流入で危機的な状況に陥っていたあるエリアに「地区の家」を開き、状況を改善。長年そのディレクターを務めてきたとも聞く。(参照:シブヤ大学での授業〝トリノの地区の家 ― 都市再生の新しい考え方と実践〟レポート/小林裕子さんの記事)

ボッコさんと神山は、「石積み」や「山間地の集落景観」のテーマでも繫がっている。彼の著作に『石造りのように柔軟な/北イタリア山村地帯の建築技術と生活の戦略』(鹿島出版会|多木陽介訳)がある。これは2年前の慶應大SFC・石川ゼミによる神山フィールドワークの一角を支えていたし、昨年はイタリアで石積みを学ぶ学生たちと真田純子先生(東工大)・森山円香(つなぐ公社)・伊藤友宏(GV)等を交えた交流もあった。

 

というわけで、魅力的な台風が二つ同時に上陸する感があるのですが、若林さんと多木さん、加えてボッコさんが、いまの神山をどんなふうに見るか。持ち上げる場にも、こき下ろす場にもならないといいけど、ご本人たち次第。神山がどうとかこうといった話は素材レベルで、これからの社会の話になるとよいなと思っています。

関心のある人、どうぞお越しください。
 

公開日:2019年1月4日

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西村 佳哲

にしむら よしあき/1964年 東京生まれ。リビングワールド代表。働き方研究家。武蔵野美術大学卒。つくる・書く・教える、大きく3つの領域で働く。元神山つなぐ公社 理事(2016〜21)。著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『ひとの居場所をつくる』(ちくま文庫)など。

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