
まちの住まいの選択肢と可能性を広げる/すまいづくりプロジェクトマネージャー募集
募集中2025年7月18日
神山つなぐ公社(以下、公社)では「すまいづくり」の担当者を募集しています。すまいづくりとして目指すのは、神山に住みたいと思っている人たちが、それぞれにとって必要なすまいを見つけられる状況。まちに多様なすまいがある状態をつくるしごと。2026年度から、「まちを将来世代につなぐプロジェクト(以下、つなプロ)」は3期が始動します。正解がない、だけど正解を作り出す仕事にやりがいや喜びを感じる人と一緒に、新たなプロジェクトを進めたいと考えています。
募集にあたって、「すまいづくり」を大事に思うスタッフ3人が、思いを共有しました。
インタビューは、「すまいづくり」の1期目における成果の1つであるまちのリビング「鮎喰川コモン」で行っています。プロジェクトの目指す空気感を、文章と一緒に写真からも一緒に味わってみてください。

すまいづくりに関わってきた公社の3人。左から馬場、小池、高田
公社のすまいづくりの面白いところは。
馬場つなプロのすまいづくりの面白さは、“ただ、家を増やす仕事”じゃないところですかね。
例えば、僕が以前に携わった「大埜地の集合住宅プロジェクト」では、
・神山の木をふんだんに使って地域の経済や資源の循環を健全にする
・外の大手工務店と建てるんじゃなくてまちにいる大工さんや高校生たちとつくる
・見学会や設計の勉強会など町内外の人たちにできる限りオープンにして関わりしろをつくる、など様々なことに併せて取り組んできました。建設過程を工夫することで、まちの中にいいことがよりたくさん起こるようにする、そんなプロジェクトだったんです。
つなプロでは、人が可能性を感じて住みたくなる・関わりたくなる要素を開発し、同時に多様な人のよい関係性をまちの内外で育むことを目指しています。ただ家を増やすだけじゃなくて、その過程の工夫により、目指すまちになるための要素を少しでも多く開発できるといいなと思っています。
この鮎喰川コモンもそうやってつくってきた場所の1つですね。神山の大工さんが神山の木で建て、その数年後、私たちの目の前で、放課後の子どもたちが異年齢で遊び、まちの大人たちと一緒にくつろいでいる。
馬場大埜地の集合住宅ができたことで、住環境側から、まちに住むこと、まちから出ていかないことを選択しやすくなったんじゃないかと思います。子育て世代向け住宅だから子どもたちの姿もたくさん見るようになりました。
鮎喰川コモンができる前は、町内に住んでいる子どもたちが放課後や休日に集まって遊ぶことが難しい状況がありましたが、この場所ができたことで今は学校の時間以外にも子どもたち同士で遊び・学びあえる環境が生まれています。
小さいまちなので、自分たちの携わった仕事によって起こるまちの変化を直に感じられることもこの仕事の楽しさかもしれません。

鮎喰川コモンで子どもが過ごしている様子
高田つなプロ1期で取り組んだ集合住宅プロジェクトは、4年にわたって段階的に開発したのですが、全ての住戸で人が暮らし始め、鮎喰川コモンも使われるようになったときに、ようやく始まったな、という感じがしました。「多様な人がいて、よい関係性があり、仕事や活動もほどよく生まれている」という公社で目指していることが、このプロジェクトでも起こりつつあった。計画・開発段階に携わるだけでなく、その後の運営もサポートする中で変化が見えてくる。そんな仕事って多くないと思う。
人が住まいを変えるときって、結婚したり子どもが生まれたり、ライフスタイルが変わるタイミングと重なることも多い。そういうときに、自分が思い描く暮らし方と何か重なるところがあるから、ここに入居申込してくれる人がいるわけで。そんな暮らしの実現に向けて、背中を押すきっかけになるのが、すまいづくりの面白さかな、と。単なる住環境整備だけでない魅力があります。

鮎喰川コモンの棟上げ式の様子。たくさんのまちの人が集まり、餅投げをして祝った。工事に関わるまちの大工さんたちも餅を投げた
馬場大埜地の集合住宅を通じて、まちの将来の森林の姿を描き直した神山町の森林ビジョンもつくられました。また、この開発で大事にした「地域に馴染むものをつくる」という考えをこれからも持ち続けるための景観計画もできました。たくさんのまちの人たちに知られていて、みんなが力を重ねてくれようとしています。まちにとっていいことがたくさん起こる、そんな「すまいづくり」をこれからも続けていきたいですね。
高田2期で作った「景観計画」は建築物や工作物に関する計画。町内を特徴ごとに5つに分類し、それぞれのエリアで「こんな風な場所を目指している」という目標があります。それを体現したものを、3期の中で作れるといいな、とも思います。「神山らしい風景」として目指しているものを、大埜地の集合住宅以外にも、公社や役場が関わる開発プロジェクトの中で形にできたら、と。
小池2人が言ってたことを私も思っています。景観計画、森林ビジョン、つなプロ。この3つで「目指したい姿」はイメージができています。なので、目指したい姿の実現に向けて、誰とどうやって実現するかをひたすら考えて行動に移していくのみだと捉えています。
高田地方創生を頑張っている他の自治体でも、同じように「移り住みたい・戻ってきたいという人がいても家が全然足りない」という状況がある。神山のつなプロ3期で次の手を考えていくことは、地方創生を頑張る地域同士で学びあいにもつながると思う。
公社での仕事は、ご自分にとってどんなものですか。
小池公社には「つなプロに書かれてある施策を前に進める」という、この上ないミッションに集中できる贅沢な環境があると思っています。つなプロには、すまいづくりの他に5つの領域があり、それぞれで目指している状況があります。公社スタッフは、「ひとづくり」「安心な暮らしづくり」等、それぞれの領域で、時には協力し合いながら日々の業務にあたっています。私は以前、建設コンサルタント会社で働いていましたが、当時、教育や福祉など他分野の人とは縁もゆかりもなかったんです。他のスタッフが取り組んでいることも、とても興味深いです。
今は、すまいづくりを担当する中であっても、「まちがよくなっていくためには色々な分野のことを同時に考えないといけない」と思うようになりました。その一つ一つの積み重ねが将来のまちを変えていくことにつながっているのだと実感出来ているので、「自分も頑張ろう!」と思えています。3期は今まで以上に、自分の視野を広げて「まちのために、今、なにをやればいいだろう?」と考えて行動していきたい。そんなふうにワクワクした気持ちでいますね。
「まちをつなぐ」とは、この地域の将来世代が、希望を持って本人の人生を生きてゆけ る可能性が少しでも高くなるように、環境を整え、状況を生み出してゆくことである。 日本社会を含み、世界全体が今後どのようになってゆくのかは、正確には誰にもわからない。未来において必要なことは、その時代を生きる人々が考え実行するものだから、いま気をつけるべきは、現世代の都合や思惑に泥濁して将来世代の可能性を損ってしまわないことであると考える。(つなプロより引用)
新しい人とやりたいことを教えてください。
馬場つなプロでは将来の人口を一つの手がかりとしています。人口はいくつもの状況の結果なので、数字自体を目的にするものではありませんが、まちの様々な機能を守っていくためには、ある程度人がいることは大切です。住みたい人がいても家がなくては住めないので、「人がいる」ためにすまいづくりはとても大切な領域だと思っています。まだまだ課題だらけ。やりたいことはたくさんあります。今、特に考えているのは、目の前の住宅不足に対して住環境を整えていくこと。そのために必要な手立てを町役場や地域の人たちとともに考え、実行していきたいですね。
高田新しくジョインしてもらう人にも、他のスタッフと同様に、担当プロジェクト1つに集中するのではなく、空き家のことも賃貸住宅の開発もそれ以外に必要なことも、同時に全体的なことを見ながら一緒に考えてほしいと思っています。これから取り組んでいきたいのが、空き家の所有者への意向調査や啓発、そして空き家が活用されるような仕組みづくり。また、森林ビジョンや景観計画の他に、<まちとしてのすまいのビジョン>はあった方がいいのか」などの問いも一緒に考えてほしいですね。
小池今、神山では単身者など少人数世帯向けの住宅が足りないということが調査でわかっています。人が移り住んでくる・還ってくる・あるいは留まることを選択するためにも、多様な住宅種を増やすことが必要だと思っています。今後は「誰と(もしくはどんな事業者と)どういう手段でやっていくか」ということを考えていきたいです。5年後ではなく、今、この時期に頑張らないといけない。新しく採用する方には、私たちの考えきれていないところも一緒に考えてくれることも期待したいですね。
どんな人が向いているでしょう。
馬場決まったことをこなしていくということではなくて、色々な背景と文脈を理解し、プロジェクトを進める中で、新しい気づきや出会いがあれば、それを今のプロジェクトに取り入れることを考えられる人だといいなと思います。予期せぬ展開を面白がったり、膨らませたりする姿勢でいてもらえるとまちにとっていいことがたくさん生まれるんだろうなと思っています。
また、色々な組織と協働するので、粘り強く折衝できる胆力が必要な場面もあると思います。摩擦が起こった時、楽な道を選びそうになるんだけど、目的を見失わず「こういうことがやりたかったんじゃないですかね」と問いかけ合いながら、妥協せずに、いい仕事をしていきましょう。
あとは、神山のことを好きでいてくれる人であれば、楽しみながら働けるし、自分の成長にもつなげられる仕事だと思います。

神山つなぐ公社メンバーです。「一緒に働く人を待っています」(2025年4月撮影)
「すまいづくり」については、1・2期を俯瞰し、<特集:「すまいづくり」の今までとこれから>という4本の特集にまとめました。こちらも参考にしてください。
❶公的な賃貸住宅プロジェクトの効果
❷神山の材での家づくりが息吹を吹き返す。
❸「まちの社会資本」として、空き家と向き合う
❹ 景観計画の策定・運用を通じて、風景を「まちの財産」に
もし、あなたが神山のすまいづくりプロジェクトを、やりがいがありそうだと感じていたら。
ぜひ、「これから」をつくるチームに加わってみませんか?
もしあなたが、建築、土木、都市、造園関係を学んできたなら、神山町のすまいづくりは、多彩な分野の専門家をつなぎ、行政も地域も民間企業も交えて、空間も仕組みも“社会的にデザイン”する仕事になるかもしれません。人の記憶に残るすまいや仕組みを一緒につくっていきませんか?
公社は9月、実際にまちを訪れ、担当者や現場を知ってもらう「滞在プログラム」を開催します。特集でご紹介した現場をぜひご自身の目で確かめ、すまいづくりプロジェクトという仕事の魅力を知っていただく機会です。採用への応募を迷っている方にとっても、まちや仕事との相性を確かめるチャンスになります。お申し込み、お待ちしています。
【滞在プログラム概要】
・日程 2025年9月13日(土)正午頃〜 9月14日(日)夕方
・定員 6名程度
・参加費 無料
*交通費・宿泊費・食費別途。宿泊費・食費は現地で各自精算です
<参考>
宿泊費 (WEEK神山、朝食込み)11,000~12,100円程度
食費(1日目夕食、2日目昼食) 5,000円程度
・主催 一般社団法人 神山つなぐ公社
申し込み方法
下記の申込フォームにアクセスの上、必要事項をご記入ください。
*締切:2025年8月11日(月祝)
ご応募多数の場合はフォームの内容をもとに選考を行い、8月13日(水)中に結果を連絡します。
申込フォーム▶︎ https://forms.gle/yru9cZVRvv1WiR6x7
2日間の流れ
● 9/13(土)
12:30頃 神山集合、オリエンテーション、弊社の説明
14:00〜17:00 フィールドワーク
17:30 お互いの自己紹介
19:00 夕食+α
21:00 解散・フリータイム
● 9/14(日)
08:00 朝食・チェックアウト
09:00 神山のすまいづくりを取り巻く状況
12:30 昼食(かま屋)
14:30 すまいづくりメンバーの募集について
17:00頃 解散
*上記はプログラム案です。状況に応じ組み替える場合があります。あらかじめご了承ください。
*現時点で採用への応募を悩んでいらっしゃる方も滞在プログラムへの申し込みは可能です。
<募集要項>
募集職種 | すまいづくり プロジェクトマネージャー |
雇用形態 | 正社員 |
給与・待遇 |
月給220,000円〜300,000円(経験・スキルを考慮して決定) |
仕事内容 |
徳島神山町の目の前の住宅不足や、将来の住環境を整えるために必要な手立てを町役場や地域の人たちとともに考え、実行していく仕事です。 ・空き家の利活用、新規物件の検討を含む、住宅政策の調整 ・提案・地域や行政との連携による実装 ・住まいや暮らしに関する課題のリサーチ ・企画立案・その他、組織内外との協働によるプロジェクト推進 |
勤務時間 | 8:30〜17:15(休憩12:00〜13:00) |
勤務地 | 徳島県名西郡神山町神領字本野間100 |
求める人物像 |
・健康で体力のある方 ・多様な人と関わり合いながらプロジェクトを進めることができる方 ・プロジェクトの立ち上げから完遂までのマネジメント経験を持ち、 その時々に適切な人を巻き込みながら物事を推進できる方 ・相手の立場や背景をふまえて、意図やニーズを的確にくみ取り、整理できる方 多様な関係者との間で、考えの違いを調整しながら、前に向けて合意形成を進めていける方 ・役割や業務の幅にこだわらず、臨機応変に対応できる柔軟性をお持ちの方 ・神山町の創生戦略「まちを将来世代につなぐプロジェクト」に共感してくださる方 |
応募資格 |
【必須】 ・普通自動車運転免許(AT限定も可) ・一般的なPC操作スキル(Word, Excel, PowerPoint等) 【歓迎】 ・3年以上の社会人経験、あるいは同等の経験を有する方 ・建築や不動産、空き家等の知識・経験がある方、またはこの分野に関心の高い方 |
応募について |
下記の申し込みフォームよりご応募ください。 https://forms.gle/yru9cZVRvv1WiR6x7 *応募〆切 2025年8月11日 *私たちは、新たな方を迎える際、1泊2日の滞在プログラムを開催しています。神山町を訪れ、まちのことを理解していただく時間や私たちと共に過ごす時間をじっくり持つことで、双方にとって良いつながりができるようにと考えています。 現時点で、今年度の転職に迷いのある方も、まずは滞在プログラムに参加してみませんか。 |
お問い合わせ |
一般社団法人神山つなぐ公社(担当:高田・小池) TEL 088-603-8184 MAIL recruit-sumai@tsunagu-local.jp |