コロナ対策でGWすぎまで店を閉じていた「かま屋」(フードハブ・プロジェクトの食堂)は、その間に、本格的な仕事の見直しを進めた。料理そのものの変化が大きく、当惑した常連客もいたんじゃないか(自分がそう)。実際のところ、手応えはどうなんだろう。7/15から店長になる石田青葉さんに話を聞いた。



石田 最初は「マイナス要素になるんじゃないか」とも思っていたんです。

── ランチの値段が上がること?

石田 いろんな変化が。町民さん向けの値段は1,000円以下(税別)に抑えられたけど、以前の「6分プレート(700円台)」はなくなり。これまではお皿に好きな分量を取れたけど、こちらで盛ったものを提供する形になって。

いままでの食堂的な雰囲気から、少しレストラン寄りになったというか。作業服で来ていたおじさんたちとか、使いにくくなったんじゃないかなって。

(ジェロームとのかかわりを通じ、大きな変化をむかえた「かま屋」のランチ)

── どうだった?

石田 いざ始めてみると意外に反応がよくて(笑)。私が住んでいる集落のおばさんが、これまで、どんなに誘っても食べに来てくれなかったんです。「美味しいんやけどな」「野菜ばっかでな」という感じで。

でもそのおばさんが来てくれて、食べている最中からずーっと絶賛で。最後は、お父さんの分まで「味の会」の会員登録をしていってくれて。

いまのところ、離れてしまった常連さんがいない。みんな週に一度は来てくれている。(*メニューは以前の日替わりから、週替わりになった)

── 3年前のオープン時に「楽しみにしていたのと違う」という声を聞いたのを思い出した。「家と違うものを食べさせてもらえると思ったのに…」って。そっちに近づいたってことか。

石田 だと思います。「家でも食べれるものが多い」「家にもある野菜」といった言葉はこれまで私もよく聞いていて。でもここに来て、あらためて特別感が増した感じ。

── 店で働くみんなの変化は?

石田 日替わりだった頃は、夕方から夜まで次の日の仕込みをしていたけど、いまは当日朝にその日の仕込みをしている。料理がシンプルになったぶん、より素材の美味しさも出るようになって。

支度にかかっていた時間が減ったことで、ほかのことに時間を割けている。たとえば、お花を毎週変えたり、店内の状態にもっと力を入れられるようになった。

(右端が石田青葉さん)

(かま屋通信 7月号より)

前は夜遅くまで働いていたけど、最近は遅くても19時には家に帰れていて、より素直に仕事に向かえている。畑に行く余裕も出来てきたし、プラスの要素が多くて、とてもいいです。

── ところで、こないだ夕方に買い物に寄ったら(ストアの方)、かま屋側に体育着の小学生の姿が多かったけど?

石田 スタッフの子どもたちと、その友だちですね。学校帰りにアイスを食べに来ていた。

──(駄菓子屋的だな…)高校生の姿も見かけたかも。

石田 あー「あゆハウス」(高校の小さな学生寮)のみんなですね。料理長のモグや何人かで、あそこで開かれている「月イチ食事会」に行ったらお互い楽しくて。モグが料理を教えたり、みんなで恋話したり。「ちゃんと恋話を聞かせてくれた!」と高評価で(笑)。

こないだフードハブの屋外で2度目の食事会をしたんです。「もっと来たい」って言うから「おいでよ」って。毎週木曜日に来る感じかな。

あの子たちのいる風景は、これまでの「かま屋」にはなかったけど「いいな」と思う。地域の子どもが気軽に寄ってくれる場所、親しみやすい大人たち。私は高校生の頃、年上の大人に「若いねー」とか言われるの嫌だったので(笑)普通に接している。

── 前は14時から18時まで、カフェタイムでしたよね?

石田 いまはフリータイムです。

 

かま屋
定休日:月+火(月祝は営業)
食堂:水〜金 11:00 – 16:00 (L.O.15:00)|土日祝 11:00 – 18:00 (L.O.17:00)
パン・食品:09:00 – 18:00