5/14付で神山日記帳に「空き家から出るモノで暮らしを豊かに!」を書いたのは、昨年から移住交流支援センターで働く林さん。それまでセンターの仕事は、基本的に伊藤さんが一人で担っていたが、林さんの合流でエネルギーが高まっている印象があります。「1+1は2じゃないな」と思う。

記事で紹介された「貸りる家から出てくる物品をストックする倉庫」の話を、伊藤さんにも聞いてみます。



伊藤 3年前のWG2(「まちを将来世代につなぐプロジェクト」のワーキンググループ)の「モノストック」チームの流れとも言えるけど、WGの後はそれぞれ仕事が忙しくて、みんなで集まって話し合う機会はつくれていない。(下写真:2017年2月、ワーキンググループでの発表のひとコマ)

でも「こういうことを始める」とは伝えていて(倉庫のこと)。大工の大家さんも、ちょうど集合住宅の担当棟が竣工したところで、残った端材とか置きに来ている。いつも開けているわけではなくて、ゆるい運用を始めています。

── 倉庫の物件はずっと探していた?

伊藤 はい。あの倉庫は、2年くらい前から相談の始まったある空き家の持ち主さんから「倉庫もある」「出来れば家と一緒に借りて欲しい」と言ってもらっていて。ある段階で先方から「家と別に貸してもいい」と言ってもらえた。去年の10月から借りて、中の一角には家主さんの物も置いてある。

── まだパブリックに開かれた場所ではないんだ。

伊藤 6/24の水曜日に初めてのオープンデーを予定しているのだけど、ひとまず〝町内の人に限った形〟で公開しようと思います。業者さん(古物商など)からもたまに問い合わせがあるのだけど、そういうのはお断りで。趣旨が違うから。

── あと「あそこに持っていけば誰か使ってもらえるだろう」という、ていのいい処分方法みたくになってしまうとつまらないよね。

伊藤 その恐れはありますよね。そうなりたくない。実際、なんでもストックするわけじゃない。「倉庫がなかったら捨てざるを得ないようなモノ」を一時的に保管して、次の人に渡ってゆく場になるといいと思っているんです。
一軒の家を片付けると、だいたいトラック5台分くらいの物品が出てくるんです。これまでも「捨てられない!」と思うものは捨てていなかった。

── どうしていたの?

伊藤 改善センターの裏に置いたり(笑)。移住支援をしていると、たとえば「いま扇風機を探していて」という相談をもらったりする。「もう少し早く聞けていたらアレがあったのにな…」と思うようなことが、まあしばしばあるんですよね。

この仕事をしていると、人の暮らしが大量のモノで出来ていることを思い知らされる。それがただゴミになってしまうところで、少しでも活かすことが出来たら。それでも大半は捨てているのだけど。

── 販売する?

伊藤 考えていません。カンパくらいがいいと思うんですよね。少し貯まったら、材料を整理する棚を大家さん(大工)につくってもらうとか(笑)。

すべてここで循環させて、とも思わない。WGの前にスタディツアーで訪ねた藤野(神奈川県)では、メーリングリスト上のコミュニティでモノの譲り合いとかしていましたよね。倉庫と別に、本人同士が直接やりとりする仕組みは出来ないかな?という話も林くんと交わしている。

そうそう。彼は移住交流支援センターで働くことになる前に、そんな提案をしてくれたんです。モノを譲り合うオンラインのシステムを試作して、見せてくれて。

── そうなんだ。二人いるって、力強いね。

伊藤 大きな家具とか、二人いないと動かせないし(笑)。都合の合うところで、二人ですぐに動けているのがいいですね。


イン神山/神山日記帳 2020年5月14日投稿
空き家から出るモノで暮らしを豊かに!