
「行こう、鮎喰川!」〜川で遊ぶ前に、川を知る〜 あゆリーダー安全講習会
学び2025年7月6日
神山町は、町全体が鮎喰川の流域にあり、川は暮らしや自然と深く結びついています。
子どもたちにとって、川で遊ぶ体験はかけがえのないもの。冷たい水の感触、魚の姿、川の流れる音・・・自然の中で夢中になる時間は、五感を育み、心と体をのびやかに育ててくれます。
「鮎喰川で遊んだ」記憶は、きっとこの町で育つ子どもたちの、ふるさとへの誇りや愛着につながっていくはずです。
けれど、その前に忘れてはならない大切なことがあります。
それは、「川の危険を知ること」。
「行こう、鮎喰川!」では、毎年夏の川遊びが始まる前に、安全講習会を実施しています。これは、保育所や小学生を対象にした本番の川活動に先立ち、スタッフと あゆリーダー(活動のサポート役を担う高校生・大学生のボランティアスタッフ)が、あらかじめ受講しておく学びの時間。いざという時に落ち着いて行動できるよう、知識と感覚をしっかり身につけておくことを目的としています。
安全講習は、毎年6月に行い、午前と午後の2部構成で行っています。
午前の部は、神山消防署の消防士さんから教わる安全講習を、そして、午後の部は川塾の代表“ぺぺ”こと塩崎さんから教わる安全講習です。
○安全講習〈午前の部〉
講習の前半は、救助の基本、現場での判断、子どもたちを見守る際に注意すべき点などについて、座学で学びました。
心肺蘇生の方法やAEDの使い方も、消防士さんによる実演を交えて丁寧にレクチャー。続いて、実際に人形を使っての心肺蘇生訓練。胸骨圧迫の力加減やテンポ、呼吸の確認の仕方など、練習を行いました。
消防士の皆さんからは、普段から現場を担っている方ならではのアドバイスがありました。
そして午前中の後半は、場所を鮎喰川へと移動。
まずはライフジャケットの着用から。
活動歴の長い3年生リーダーたちが、今年新しく加わった1年生に着用方法をしっかりと伝えている姿が見られました。
1年生の時から活動を共にしてきた3年生あゆリーダーたち。「成長したなぁ」と思わずジーン。
そして、スローロープを使った救助の体験です。
これがなかなか難しいのです。川で人が流された場面を想定し、的確にロープを投げるにはどうすればよいか。力の加減や狙い方を確認しながら、練習します。
また、ペットボトルや竹など、身近にあるものを使っての応用的な救助方法も学びました。
今回の講習には、潜水士の資格を持つ消防士さんも来てくださっていて、起こりうるリスクについて「現場まで到着するには時間がかかる。水難事故の場合は特に、いかにその場にいる人たちが適切に対応できるかが肝心」ということを教えてくださいました。
命に関わる場面を想像することの大切さを、改めて感じる時間になりました。
○安全講習〈午前の部〉
午後からは、川塾 ぺぺこと塩崎さんによる安全講習会です。
実際に今夏の活動で子どもたちと活動する場所に立ち、より実践的な視点で川を見つめ直します。
まずは、「瀬」と呼ばれる流れの早い場所での川を歩いて横切ってみる体験。
「どこから行くのがよいと思う?」というぺぺの問いかけに、それぞれが自分の目で観察し、「ここなら安全かも」と思う場所を選んで進んでみます。最後にぺぺが「僕だったらここを通るよ」と、お手本を見せてくれました。
続いて、子どもたちが遊ぶ予定のエリアを上流から下流まで、
川の中を歩いたり、泳いだりしながら下っていきます。
「どんな場所がある?」「危ないところはどこ?」

岩場にはアオダイショウも現れた
「子どもたちが楽しめそうな場所は?」と、参加者全員で安全確認を行っていきました。
最後はみんなで気づきをシェア。
「苔で滑りやすそうな場所があった」「飛び込めそうな場所があるけど、その下に水深が浅くて飛び込むと危ない場所がある」「沈んだ橋のコンクリートの破片から鉄筋がむき出しになった場所があった」など、たくさんの視点が共有されました。その目線を持って川に入ることで、リスクを把握する力がぐっと深まったことを感じました。
川で遊ぶなら、まず川を知ること。知っていることで、守れる命があります。
「自分が遊びに行く川と、誰かの命を預かって行く川では、まったく違う。装備や準備は普段よりしっかり行うのは、最低限の責任。スタッフが体調を崩したり、場を離脱したら、その場のリスクは何倍にも高まるからね。」
ぺぺが話してくれた言葉であゆリーダーの気持ちもぐっと引き締まりました。
繰り返し確認し、繰り返し体験することで、いざという時に自然と体が動くようになる。川で事故を防ぐためにも、そして万が一に備えて、今後もこの学びの場を大切に積み重ねていきたいと思います。
神山消防署の中内さん、安岡さん、河野さん、藤井さん。
そして、川塾の塩崎さん、本当にありがとうございました。

ikouakuigawa
まちを将来世代につなぐプロジェクトの中の施策2-7「地域の先達にまなぶ、防災教育を兼ねた「子どもの自然体験」の促進」の取り組みを紹介しています。 活動の主は神山つなぐ公社が担い、運営サポートに川塾、そして高校生・大学生ボランティアとして「あゆリーダー」が共に活動しています。
ikouakuigawaの他の記事をみる
コメント一覧