生活水の減った古民家をめぐる、水源涵養力を育む取り組みの経過をご報告します

なんでも2025年8月6日

アバター画像

投稿者:SHIZQ

こんにちは、神山しずくプロジェクトです。

山や川の水が減っていくなか、神山で暮らしていくためにいま私たちに何ができるのか。

そんな問いから始まった
しずくの「水源涵養力を育む環境改善ワークショップ(以下:WS)
2024年6月のスタートからこれまで計4回、実施してきました。

8月11日の山の日を前に、実際どのような取り組みをしているのか、ご紹介したいと思います。

🎥  映像で見る第1回ワークショップの様子:しずくの環境改善WSレポート画像


山の水が枯れた

きっかけは2023年、代表・廣瀬が神山町内のとある里山古民家と出会ったことでした。
そこは杉の人工林と常緑広葉樹が混じるエリアで、かつて棚田や果樹畑があった里山の面影を残しています。かつては水が豊かな土地だったと聞きますが、生活水が減り、空き家となっているお宅でした。

しずく めぐる谷の上空から水不足はここだけにとどまらず、神山町内のさまざまな所で「水が枯れてしまって暮らせない。飲み水は町外の家族に買ってきてもらっている。水が乏しくなり賃貸で貸したくても貸せない」などという話しを耳にするようになりました。全国的にも、同じような課題を抱えてる地域が増えているそうです。
神山しずくプロジェクトは、この40年で失われた川の水を少しでも取り戻そうと、活動当初から、神山町の山林や水源のあり方と10年向き合ってきました。

山林整備の必要性を啓発しながら、町産材の新たな活用法をSHIZQブランドの商品開発を通じてたくさんの方に提案して参りました。しかし、環境の変化にはっきりとした実感が持てないまま、疑問が募る日々を過ごしていました。

そのような矢先に、生物多様性の視点と出会い、土中環境や菌根菌、思想、文化など、里山の暮らしと環境、生物多様性が実に密接な関係にあることを学ぶ機会を得て、新しい視座と知識をたくさん頂きました。

「もしもこの場所を、豊かな谷に戻すことが出来たら?」

私たちは、この場所を「めぐる谷」と名づけて、2024年6月に水と空気の流れを取り戻す環境改善をスタートさせました。


実際には何をやってるの?

生物多様性の専門家・坂田昌子さん(コモンフォレストジャパン理事)を講師にお迎えし、有機土木という手法で土地の手入れを行っています。
参加者は徳島のみならず、東京・山梨・大阪・岡山・高知など全国各地から集まっています。

水が減ってしまったこの場所で、水と空気の循環を取り戻すべく、WSごとに様々な取り組みを行ってきました。

例えば、めぐる谷の山と果樹園の境目では、斜面の崩壊と滑り水が深刻化していました。このままでは、土地が安定せず、植生が育たない状況でした。そこで斜面沿いに「しがら組み」と呼ばれる、枝や落ち葉を使った保水構造を設置しました。雨水が一気に流れ落ちるのではなく、ゆっくり地面にしみ込むようにすることで、山の保水力を高めることが狙いです。

また、谷筋に設置していたコンクリートのU字溝は撤去し、石や木、落ち葉など自然の素材を使った「せせらぎ」を作りました。

みんなで泥だらけになりながら、コンクリートをはがし、そこに一つひとつ丁寧に、石を敷いていきました。

今年に入ってからは、めぐる谷の開けた土地を森にすべく、 広葉樹27種・87本の苗木を植樹しました。苗木たちは、この土地の風土や植生に合うように選ばれたものです。

一般的には、森ができるまで30〜50年と言われています。小さな苗木たちが森になる姿を見るのは、次の世代になるかもしれません。
それでも神山という土地の素晴らしさ、日本の里山とすべての根源となる水資源を未来につなげていくために、今後も活動を続けていきます。


次回のWSは10月開催予定!

「水源涵養力を育む環境改善WS」は、2025年10月2〜4日に開催を予定しています。神山町の方も、神山町外の方のご参加も、お待ちしております。
またWSへの参加以外でのサポート方法も今後、検討していく予定です。ぜひ温かく見守っていただけたらうれしいです!


 

WSの過去レポート
第1回:「めぐる谷の物語」と名付けました。
第2回:めぐる谷の変化 
第3回:豊かな自然を未来へつなぐために
第4回:戸惑いながら、迷いながら、やるくらいがちょうどいい

 

アバター画像

SHIZQ

「神山しずくプロジェクト」は、神山に移住したひとりのデザイナーが、緑豊かな山だと思っていた自然のほとんどが人工林で、水源をも危ぶむ状況だと気づき、デザイナーとして何か役に立てないか?という問いから始まりました。
林業という視点では解決策が見いだせないまま、今も少しずつ川の水が減っています。小さな経済の歯車を作ることで全体の循環を作ろう!と、杉に新しい価値を見いだし、神山杉の製品開発および製造販売・啓発活動・雇用創出を続けてきました。おかげさまで2023年に10周年を迎え、次のステージでは水源再生のための環境改善にチャレンジしていきます。

SHIZQの他の記事をみる

コメント一覧

  • 現在、コメントはございません。

コメントする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * 欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください