「コンプレックス」と呼ばれる神山のコワーキングスペースは、コロナ禍を背景にいまどんな感じ? 7/13に寄ってみたら、某自動車会社/総合研究所の数名が「まちづくりとモビリティ」をテーマに調査視察にいらしていた。あとデスク利用の本橋さんと、コンプレックスに常駐する砂田さん(NPOグリーンバレー)。

砂田さんに最近の話を聞いてみます。



── コロナで困っている?

砂田 (笑)「人がいる」のがここの魅力だと私は思っていて。でもコロナ禍でしばらく、人を迎え入れることが出来なかった。

── どれくらい閉めていたんだっけ?

砂田 4月頭からGW明けの約1ヶ月間は基本閉館で、メンバーのみ。登録メンバーはいまそう多くないしコンプレックスは空間容量が大きいので、感染拡大リスクは極めて低いと判断して。衛生処置を施した上で。

メンバーの本橋さんはちょうど1月からフリーランスになって、より自由にここを使っていましたね。本橋さんの存在にはとても安定感があって助けられています。

あと奥のトレーニングルームで鍛えている何名かが、代わる代わる。隣のチーノ農園の「ノラ上手」(指導付き貸し農園)に来ている人たちが、トイレを借りにきて、そのついでに少し和んでいったり。

── ここは〝屋根のかかった広場〟というか、屋内の公園のような良さがあるよね。

砂田 そうなんですよね。人がいないと本当に寂しくて。昨年末に「tomos」(配食サービスの事業)が体制更新で退去したり、4月には県庁のサテライトオフィスも実験期間を終えて本庁に戻って。別のブースのサテライトオフィスも、コロナ禍で在宅勤務になり。毎年4月に受け入れていた「Sansan」の社員研修も今年はなかったり。

そういうタイミングなのかな。

── 場所も生き物だから、呼吸や波はあるよね。ずっと変わらない方が変だと思う。

砂田 閉館している間、「WEEK」(コンプレックスの真向かいにある宿泊施設)の神先さんと週一でミーティングをして。「よりいい形で連携してゆこう」って。WEEKは一部の部屋を「ワークルーム」として改装しようとしていて、リモートワークの滞在プランを相談したり。ちょうど工事が終わった頃だと思います。

── さて、ここからどうなってゆくか。

砂田 はい。「神山まるごと高専」の準備委員会さんが、新しくブースに入ることになりました。それと今週末、東京のコンサルティング会社さんがサテライトオフィスの開設検討にいらっしゃいます。これまでも毎年神山に来られている方々や、あたらしく徳島市内の会社さんからも「サテライトワーク体験をしてみたい」と、近いうちにそれぞれ10名づつくらいでお越しになる。ここに来て動きが出始めているところ。

── 今回の感染拡大で、とくに都市圏の企業さんには本社から距離のある場所にも拠点を持っておきたいとか、そういうニーズは高まっている気がするけど。

砂田 6月までの動きを見るかぎり〝微増〟でした。担当メンバーに訊くと、移住の相談も飛躍的に増えているわけではないみたい。これから増えるのかな?

町内にサテライトオフィスを構えている東京の会社の代表さんが、神山に出張に来ることになって。でもスタッフの皆さんと話し合う中で「オフィスには来ない方が…」となり、じゃあ神山に来るけど自社には顔を出さずに「コンプレックス」で働こうかなという相談もあった。いろんな使い方を試してもらえるといい、と思っていて。

スポット利用も出来るから、神山町内の人でも気分転換に来てくれるといいな。〝人がいる風景〟に戻ってゆく時間をつくっていきたい。「人がいる」のが、ここの魅力だと私は思っているので。

 

*コロナ以前のコンプレックスの情景を何枚か




 

コンプレックス
神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス(KVSOC)は、「成長するオフィス」。閉鎖された元縫製工場(619平米)を改修したコワーキングスペース/共同の仕事場です。