
阿部さやか
2013年 神山アーティスト・イン・レジデンス 招聘作家
阿部さやか
三重県出身。 多摩美術大学工芸学科陶プログラム卒業。オランダへ渡り、ヘリット・リートフェルト・アカデミー卒業。その後文化庁新進芸術家海外研修員としてサンドベルグ大学院にて応用美術修士を取得する。作品制作の過程では、実際に出会った人、場所から始まるひとつひとつのストーリーに存在する相反するものごとを、私自身を近い距離に置くことで、それらを探ってきた。 例えばオランダ人の初老の女性宅に滞在し制作した‘マリアシリーズ’では、体験を等身大の布の上に表現し、彼女のストーリーをひも解く作業を行った。鑑賞者に振り返るきっかけを作るため、その時の展示場所に合わせて、触感、照明、音などを使い五感を刺激する方法で展示を試みている。オランダ在住。
(テキスト:2013年)
■KAIR2013 作品
やまやま・くるくる -神山ものがたり-
そこに昔からあるもの
外がどんなに変わろうと、いつもここに在る
溢れるみどり、そのみどりの後ろにかくれる10000もの生き物たち。
ここはわたしのふるさと。
ここはわたしたちのふるさと。
外がどんなに変わろうと、ここは変わらず。
廻りつづける。
透きとおる水色。神山から生まれ、神山をつなぐ自然の恵み
神山に生きる神々、山々で生きつづける。
お遍路さんが初めてここへ来た、そのもっと昔から・・。
いつもは姿をかえているけれど、わたしの隣りに居る
でっかいでっかい懐でかくれる10000もの生き物たちと、共にここにいる。
いつもここに有る。
やまに抱かれる。
くるくる、くるくる、つづく神山やまやまのものがたり
作品タイトル やまやま・くるくる -神山ものがたり-
展示場所 名西酒造酒蔵
展示形態 空間インスタレーション、ミクストメディア
この作品の中には、うめを作るおじいさんの話、雨乞い踊りのこと、日々のお接待の会、そして徳島で育まれた自然の色(藍、やまもも、ひっつき草、柿渋など)が一つになって「やまやま・くるくる」という作品が生まれました。今も昔もつづく神山ものがたり。目には直接見えないけれど、色となり、光となり、音となって繰り返される神山ものがたりを感じてください。
この作品を制作してゆくにあたって神山に住む多くの方々から沢山のインスピレーション、サポート、ご協力をいただきました。
9年ぶりにじっくりと日本の一ヶ所へ滞在し、素晴らしい養分を得てアイデアを構想したものです。
(阿部さやか / 2013)
→アーティストインタビュー 阿部さやか(英語版)