スベトラーナ・ガーボヴァ
Svetlana Gabova

2009年度 神山アーティスト・イン・レジデンス招聘作家
2009/9/1/-2009/11/11

幼いころより画家を目指す。モスクワ国立芸術大学卒業モスクワ・アーティスト・ユニオン所属。
抽象画から具象画まで作品は多岐におよぶ。2007年より自然や人を題材に滞在先でのシリーズ画を制作。インド、スリランカでの滞在・制作経験もある。モスクワ在住。
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制作中の様子

 

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日本の詩情 Poem about Japan
Artists Statement
講評

道しるべ

くも

自画像

"日本の詩情 Poem About Japan"
設置場所 下分アトリエ
作品タイトル 日本の詩情 Poem about Japan
作品サイズ 226 Х 100
使用材料 Acrylic
多くの多様なものが私達を取り巻いている。
そのまま気づくことなく通り過ぎることもあれば、時にはその美しさに気づき驚かされることもある。
初めての地に足を踏み入れたとき、目を奪う多くのものたち。
神山という場所を訪れ、私にも同じことが起こった。
美しさの中に、この土地の持つ独特の風が流れる素晴らしい場所。
町を取り囲む山々、川、家、人々、全てが私には新しいものばかりだった。

私がここで目にした全てのものを自分の感じるままに、最も魅力的に見せられる形で作品制作に取り掛かりました。作品の中にこの地で私が目にした極めて興味深く、おもしろいと感じたものたちを取り込むことにし、そして、この多様な集まりの中に自画像も置くことにしました。

(スベトラーナ・ガーボヴァ、2009)

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+++講評
幼い頃より画家を目指していたスヴェトラーナ・ガーボヴァは、モスクワ国立芸術大学卒業したのちアーティスト・ユニオンに所属しながら絵画を描いてきた。インドやスリランカで滞在しながら水彩画などを制作する経験を持っている。これまで画家として平面作品を制作してきたが、抽象画から具象画まで多様なスタイルを試みている。今回、ガボヴァは、ロシアからの初めてのレジデンス・アーティストであることから神山町でも大きな期待があった。しかしながら言葉の壁もあったことで若干コミュニケーション不足が生じてしまったかもしれない。若いガーボヴァ自身も初めての日本で戸惑いもあったことだろう。滞在期間の前半は、集中して絵画を制作していたが、後半の大部分の時間は、ひきこもりがちにインターネットをして過ごしていたというのは、残念なことである。そういう困難な状況でも、日本の漫画やキャラクター文化に大きな刺激を受けて、モザイク式の組絵画を制作した。「日本」というキーワードを若者らしい観察眼で切り取り、神山の日常生活から彼女ならではの独自のアイコンを創造した。日常のなかで見つけた新しい発見や体験を通して、彼女が綴るダイアリーのような神山での日々を記号化させることができている。
 今回のガーボヴァの滞在により、徳島県内には、著名なロシア音楽家やロシア語の学者などがいることが分り、新たなネットワーク作りになったようである。ロシアは隣国でありながら、いつの間にか遠く隔たれた文化圏になってしまったことは口惜しいことである。この機会に、これからもお互いが大きな影響力をもつ文化大国として交流を深めていければと願うのである。

嘉藤笑子(武蔵野美術大学非常勤講師)