「神領小学校のグランドからは対岸の道路が見えていた」と記憶していますが、最近は鮎喰川の中州に竹が生い茂って高くなり、全く見えなくなっています。

竹は昔から建材や生活用品など様々な形で利用され、加工が簡単で有用な植物ですし、タケノコは春を感じる身近な食材でした。ところが、1970年ごろからプラスチック製品などが増えたため、利用が少なくなったそうです。その結果、放置される竹林が増え、周囲の耕作地や森林へ侵入して分布を拡大しています。

竹林は伐採した後にもたくさんの新竹が生えてきます。これは地下茎が残っているからで、ある調査によると年2回7年ぐらい継続して伐採しないと無くならないようです。とにかく竹はしぶとい。

このように放置された竹林や山林が目立ち始めてきたことを受け、町では2019年に「森林ビジョン」を策定しています。ビジョンには〝スギに偏った樹種構成により森林生態系の多様性が失われ、人里周辺では日当たりや見通しが悪くなり、山の景観は変化に乏しく、人や多くの動植物には住みにくい環境となっている〟と書かれていて、戦後70年かけて育った森林を、再び70年かけてバランスのとれた生態系を取り戻すことを目指しています。

その実現のために、今年の4月から良好な住環境や景観に集落単位で整備できるように「里山環境整備保全事業」が始まるようで、その取り組みが各地で起こることが期待されています。