「すみはじめ住宅」は、いわゆる「お試し住宅」に近い存在。違いは、「お試し」というよりもう半歩進んで、働き始めたり、より長く住む家を探し始めたり、まちに「すみはじめ」ているところでしょうか。

その一軒「西分の家」は、大きな古民家の改修物件で*、シェアハウス的に複数名が暮らしている。運用を始めて3年。みんなどんなふうに住み始めている? 担当の高田友美に訊いてみます。

 

高田 いま、満室です。女性3名と男性1名が暮らしている。Rさんは神山塾に参加していたひと。終わって「もう少し神山にいたい」気持ちになったそうで、徳島市で仕事を見つけ、暮らしを神山に置いている。西分の家はバス路線沿いにあるから、通いやすいんですよね。

──入居期間に制限があったよね。1年半。

高田 「相談により最大3年まで延長可能」ですけど、彼女は1年半の期限もふまえて、移住交流支援センターと相談しながらつぎの住まいを探している。神山町が建てている単身者ハイツ(寄井西)の入居募集が始まるので、それも視野に含んでいるみたい。

Cさんは四国の別のまちで暮らしていたひとで、「鮎喰川すまい塾」*などに参加しながら「神山いいな」と思っていたみたい。「でも仕事が…」という感じだったけど、ちょうどCoco歯科の求人とつながって、いまは歯医者さんで働いている。

──うわさ聞いてます。(いい噂)

高田 もう一人、とくしま林業アカデミーに入学する女性がいて。入居手続きは2月末に済んでいるけど、本格的な住みはじめは4月から。山で暮らしながら学びたいと聞いています。

最初の頃、定期的な入居者さんの状況確認やフォローアップの機会を「入居者ミーティング」と呼んでいたら、「それやだ」という声が出て(笑)、いまは「ほぼ月イチ・西分の会」というタイトルで集っている。ミーティングっていうか、ただ一緒にご飯を食べたいだけ、という感じだけど。他にも、たこ焼き器でつくる「ゴマ団子の会」もあった。そんな時間をすごしながら、普通に話も交わせているのがちょうどいい感じですね。

みんな別の職場で働いていて、生活リズムもそれぞれだけど、西分の家に帰ってから土間の食卓で一緒に寛いでいる様子も垣間見えたり。楽しそうです。

──土間をはさんで「共有サロン」もあるわけだけど、そっちはどんな感じ?(担当の遠藤実奈に訊いてみる)

遠藤 ヨガ教室とか、ワークショップとか、いろんな人が企画して使ってくれている。

最近は新しい人も増えて、いい感じ。ただ先月は瞑想・思考系が多くて「なぜ?」と思っていた(笑)。

サロンは、イベントに来る人たちに開かれているけど、「西分の家」自体は暮らしの場なので、すごく積極的に「みなさん使ってください!」と呼びかけてはいない。けど「○○さんから聞いて」とか人づてに申し込んでくれる人が多くて。いろんな人がここの存在を知っていて、紹介してくれているんだなと思うと嬉しいですよね。

入居者とサロンを使う人の関係もいい様子で、それも嬉しい。日記帳にも書いたけど、こないだ庭を整備したんですよ。土を寄せたり、石を置いたり。イサム・ノグチの気持ちになって(笑)。まだ完成ではないので、より大勢で作業できる機会も探りたい。

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すみごこちは悪くなさそう。「住まい」関連で1月大きな機会だったのは、大埜地の集合住宅の「鮎喰川コモン|上棟式」ですね。こちらは遠藤さんの記事をご覧ください。

鮎喰川コモン【コモンハウス棟(仮称)上棟式 開催しました!】 
2020年2月17日


*映像:神山つなぷろ #5 西分の家/工事前の調査など(Youtube|3分53秒)
鮎喰川すまい塾
「イサムノグチさんが作庭したパリ ユネスコ本部の庭園につかわれている阿波の青石は、徳島県神山町鮎喰川(あくいがわ)の石です。」