2023年春に開校予定の「神山まるごと高専」。町は必要な協力をしてゆく姿勢ですが、基本的には私立学校の設立プロジェクトであり、同じまちで暮らしていても、ときおり公開されるニュースのほかには準備の様子もあまり見えません。

見えないのは当たり前なので、竹内和啓さんを訪ねて訊いてみました。竹内さんはNPO法人グリーンバレーの事務局長で、高専プロジェクトにも初期段階から携わっています。

 

── 準備はいまどんな感じです?

竹内 結構バタバタしている。いやずっとですけど(笑)。学校長候補が菱川勢一さんに決まったのは1月で、発表を6月まで伸ばしたのは、コロナの影響とともに、「教員募集のニュース素材にもなるだろう」という判断でした。で、初夏の頃から応募資料に目を通して選考する、採用まわりの作業がつづいている。

── 教員は、まず何名要るんですか?

竹内 専任のフルタイムの教員が21名。来年10月までに、万事整った状態で、設置認可や学校法人設立認可の申請を出さないといけない。

── 認可申請はこれから。

竹内 もちろん事前の話は交わしながら進んでいるけど、文科省への申請後は第三者機関の審査を受けるんです。

あと一年で揃えないといけないのはまず「資金」。開校時だけでなくしばらくの学校運営資金。そして先の「教員」。何を何年生で学ぶという「カリキュラム」。そして「学校施設」。これらを揃える必要がある。

── つまり生徒以外のほぼすべて。

竹内 です(笑)。さ来年の春に認可が出たとして、そこから正式な生徒募集を始め、翌年春には開校という。もちろん並行して体験プログラムや、サマースクールなどのプロモーションは進めてゆく。本当はこの夏から始めたかったけれど、コロナ禍を背景に大々的な動きはつくれなかった。

── 諸準備は何人くらいで?

竹内 関わりの濃淡は人によって違うけど、全部で40人くらいかな。

── 神山側のメンバーは。

竹内 大南信也さんと、齊藤郁子さん、私の3名。大南さんは全体のことと、理事会の設計、役場との調整など。郁子さんは資金集め。私は主に、学生寮のプログラム設計を担当している。

── リーダーの寺田親弘さん(株式会社Sansan代表取締役社長)を含みメンバーの顔ぶれから、「ズンズン進んでいるだろう」と思っている人が多いんじゃないかな。

竹内 順風満帆ではないですね(笑)。でも、バタバタしながらも少しづつ進んでいる。こんなに大変な社会状況でも、止まっている感覚はない。未知のプロジェクトをゼロから始めるって、こういうことなんでしょうね。

夏に体験プログラムを開けなかったけど、このあいだ、愛媛の西予市から複数のご家族が来てくれたんです。大南さんが定期的に西予市を訪ねていて、そのレクチャーに参加してくれていた方々が、ご自分のお子さんを連れて「神山まるごと高専」の体験プログラムに来てくれた。

福井にいるプログラミング担当の先生とオンラインでつないで。KMS(神山メイカースペース)でレーザーカッターを使ったものづくりもして。1泊2日。


西予の子だけでなく、神山の小中学生も何人か一緒に参加して。子どもも親もすごく喜んでくれた。「開校のあかつきにはうちの子も」と言ってくれて。やってよかったと思っています。

── 高専プロの中で、竹内さんの次の一山は?

竹内 年内に学校法人設立のための財団をつくるんです。そして、人も資金もそこに移す。学校法人が設立されると役目を終える準備財団ですけど、その開設は私の担当。

── 高専だけでなく、グリーンバレーの仕事も日々あるから大変だろうな。

竹内 ジャグリングの球が多くて、なにか落としていないかいつもヒヤヒヤしている。

── ところで、高専が引継ぐ神山中学校の校舎に、最近外壁工事の足場がかかっていますよね?

竹内 あれはまったく関係ない(笑)。もともと予定のあった補修工事みたい。最初は自分も「高専関係?」と思ってしまったけど(笑)。


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