寄井の「豆ちよ焙煎所」さんに、〝つながりのあるつくり手の展示会を定期的に開いてみよう〟というアイデアがあり、この7月、神山の草木染め工房「染昌」の展示会が開かれた。小商いと小商いの掛け算は素敵だし、訪れたときの雰囲気もよかったので、染昌の瀧本昌平さんに聞いてみました。どうだった?

瀧本 よかったですよ!

── もう少し詳しく。

瀧本 (笑)予定していた県内・県外の展示やイベント出店が、コロナで全部中止になって。この春に向けてつくっていたものを発表する場がなくなっていたんです。

その作品たちが解放された。孝ちゃん(豆ちよ焙煎所)は去年から、展示について「いつか」と話してくれていて。コロナの様子を見つつ7月に開催出来ました。

つくったもの全ては出さなかったんです。「どんな雰囲気で行こうか?」と孝ちゃんと話し合って、あの場所に合うものをセレクトして。「この季節やし、藍染を軸に爽やかにいこう」って。

── 瀧本さんがいないときお客さんに説明したいから、大変だったけど、勉強になって面白かったと言っていた。

瀧本 世間話はまあ交わすけど、「染め」についてこんなに詳しく話したことはなかった。たとえば藍染にしても、インド藍、インディゴの染め、いろいろある。

自分は天然の藍だけで発酵させていて、発酵の仕組みとか話すと「そうなんだー!」って。仕事について、ゆっくり話す時間が出来たのもよかった。

ほんま嬉しくて

瀧本 あと、地元のお母さんが見に来て「この服を染めて」って。おろしたての割烹着とか、シルクのブラウスとか。

── かっこいい。染めてみたかったんだ。

瀧本 地元の人が「染昌に」って来てくれたのは、ほんま嬉しくて。

染めたものを渡したら「追加でこれも」って、アベノマスクを頼まれた。ソメノマスクにして納品しましたけど(笑)、藍の抗菌作用も知って頼んでくれていて楽しい。耳にかけるポリエステルのゴムは薄い水色に染まって、きれいでしたね。

ちょうど藍の刈り取り期で、焙煎所の裏庭を借りて生葉染めの作業をしていたら、そのときなんでだか急にお客さんが増えて。染めている最中の色を「うわー!」って見てもらえたのも嬉しかったな。

倉良写真館の近藤さんもいて、「お蚕さん飼ってる」って言うんです。「絹糸できたら生葉染め出来るかな」って二人でもうテンション上がってしまって。それ、めっちゃ楽しみなんですよ。

安心できる友だちの店​で

── 2週間は?

瀧本 短かかった。イベントや普段の展示に比べたら「2週間って長いかな」と思ったけど、あっという間で。充実しとったんですかね(笑)。

── 染昌さんは、お客さんを自分の工房にお招きしよう、って感じではないんだね。

瀧本 自宅と隣接していて、プライバシーも大事やし、工房をお客さんに開いてゆく考えは今のところないんです。今回、同じ町中で日常生活しながら、安心できる友だちの店に置いてもらえているあの感じはちょうどよくて。またしたい。今度は1ヶ月くらい相談してみたい。

── 売上も?

瀧本 思ったよりずっとよかった。コーヒー豆を買いに来た人が見て、買っていってくれたり。その逆もあったり。豆ちよ焙煎所の売上も上がっているといいですよね。

コーヒー豆の麻袋あるじゃないですか。「ドンゴロス」。布としても素敵だなと思っていて。あれと染めでなにかつくってみようって話してます。乞うご期待!

 

写真提供:千代田孝子(豆ちよ焙煎所)