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ヴィツケ・ファン・クーレン

2014年 神山アーティスト・イン・レジデンス 招聘作家

ヴィツケ・ファン・クーレンはさまざまな理由から、社会とは離れてそれぞれの人生を生きる人々を写真を用いて表現している。彼女独自の記録方法は、シンプルでありながら共感を持てるものであり、人里離れた場所や社会からの孤立というテーマは変わることなく存在している。それらのテーマにより映し出される作品は実存する無力感の兆候(しるし)として啓示される。より綿密に観察することにより、その人々の置かれている状況というのは必ずしも引きこもっていたり、社会から強制的に排斥されたものではないと理解することができるという。これらの2者の置かれた複雑さと繊細さの双方を切り出し表現するということは彼女の制作において重要なプロセスとなっている。
オランダ、St.Joost写真学科修士課程修了。主に長期のドキュメンタリープロジェクトに取り込んでおり、アーティストブックの出版やスライドインスタレーションとして展示を展開している。2008年には自費出版となる「 We would come to doubt everything.  And almost everyone would come to doubt. 」を出版。2014年1月にはベルリンのKominek Booksより「Sous cloche」を出版。現在はアムステルダム在住。
(テキスト:2014年)

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■KAIR2014  作品

枝をささえる木
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私にとって写真制作とは人との出会いから始まります。
さまざまな人の生活、人生における選択とその結果に興味があります。あらゆる状況や物事もオープンに受け入れ、写真のモチーフとなる人に導かれながら制作するのが基本的なスタイルとなっています。
神山ではまず周辺をドライブすることから始め、多様な世代の異なった背景を持った人たちに話を伺い、町の歴史、かつて栄えた林業、文化的な習慣などを学びました。
また、多くの古い写真に目を通しました。
猟師の方、農家の人々、中高生たち、家を継いで暮らしている人々、大都市を離れてやってきた人々、震災後、夢や理想を実現するために新たにこの土地に移ってきた人々、そして偶然この町に辿り着いた人々。私は神山で出会った人々の親切さや温かさに圧倒され、また、私に対して関心を示してくれたことは嬉しい驚きでした。
今回の展覧会は、敢えてモチーフとなった人々が入っていない写真を選びました。これらの静物や町の風景は、被写体そのものを見せることなく、そこに人の暮らしがあることを示しています。私を魅了し、神秘的であり続ける光景です。また、この作品では光と構図がより重要な要素となっています。
写真それぞれが一体となって、里山、神山のポートレートを構成すると共に、私の神山滞在の一面が垣間見られる日誌のようなものともいえます。

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2014年10月
展示場所 / 名西酒造酒蔵

展覧会記録・作家ポートレート 撮影:小西啓三
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