【あゆハウス通信vol.19】 みんなが言いたいことを言えて、みんながそれを受け止められる、そんな雰囲気を作っていきたい

学び2022年1月24日

投稿者:あゆハウス

(ayuhouse.yoriinishi@gmail.com)

こんにちは!ハウスマスターの荒木です。

今回も、あゆハウス通信のインタビュー連載をお送りいたします。
ここ最近、地域の方から「イン神山読んだよ~。インタビューの記事よかった!」と言ってくださる機会が増えて、嬉しく思っています。寮生に直接伝えてくれることもあるようで、彼らの励みにもなっています。

さて、今回の主人公は、神山校1年生で鳴門出身の大東伊織(おおひがしいおり)くんです。茶目っ気たっぷりのユーモアと優しい性格で、あゆハウスの先輩・後輩問わずに親しまれています。高校生になってから自分の殻を破ったかのように、毎日楽しそうに過ごす彼は、周りを和ませる力があるように感じます。
2学期からはあゆハウスの運営を考える寮生チーム(ハウスリーダーズ)にも入り、最近はあゆハウス全体のことを考えることが増えてきたそうです。

どうぞ、等身大の高校生の声をお聞きください。

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荒木 神山に来てから9ヶ月。実際に過ごしてみて、今どう感じている?

大東 神山という場所が、自分にとってめっちゃ安心できる場所になりました。中学まではここまで安心していれる場所ってなくて。正直家の中でも縮こまっている感じでした。
あゆハウスで自分を受け入れてもらって、今では「自分の居場所がちゃんとここにある」と思えるようになりました。第二の地元、第二の実家のような感じです。

荒木 あゆハウスの存在が大きいんだね。それでは、まず神山で地域留学をしようと思った理由を教えてもらっていい?

大東 まずは、、、近所の高校には行きたくないなというのがあって。中学まで同じメンバーで過ごしていて、高校もそのまま一緒というのも面白くないと思っていました。
あと、勉強よりも、体を動かしたり、実習があったりするような高校がいいなと思っていて、農業系の高校に関心がありました。最初は城西高校の本校を見ていたんですけど、その後中学校の先生に神山校を勧めてもらって、神山校の地域留学体験2daysに参加しました。
そのときに、自分には神山という場所が合っていると思って選びました。

荒木 自分に神山という場所が合っていると思ったのは、どんなところ?

大東 神山全体の雰囲気が温かくて。特に神山に住んでいる大人の話を聞いて、ここにいれば人間的な部分で成長できるんじゃないかと思いました。
中学生の頃から、勉強だけしに高校に行くというのはあんまりピンと来ていなくて。ただ勉強して終わりというだけでなく、自分自身が人間的に成長できるような生活ができたらなと思っていました。

荒木 人間として成長をしたいと思ったきっかけがあるの?

大東 神山に来るまで自分のことが大嫌いで、自分にはいいところなんて一つもないと思っていました。ただ、このまま変わらずにいるっていうのは嫌だったので、「今の状況から変わりたい」と思いました。

荒木 神山に来るまで自分のことを大嫌いだと思っていたなんて、今の伊織を見ていると想像できないよね

大東 中学校の頃、あまり学校にも行けていませんでした。環境が合わなくて。自分自身の悪いところもあって行きづらかったところもあります。その頃、家族以外の人との関わりがなくて、自分を認めてくれる人も家族以外いませんでした。中学時代は、自分にとって良い方向に進んでいなくて、この先どうしていけばいいんだろうっていう不安ばっかりで、ネガティブな思考になっていました。
絶対このまま近くの高校に行っても、自分としては変わらないし、続かないと思いました。だから、一気に環境を変えてやりたいと思ったので、神山に行きたいと自分で親に伝えました。親も最初は心配していたけれども、自分の熱意を伝え続けたら、応援してくれるようになりました。

荒木 親に勧められた訳ではなくて、自分の意思で神山校に来たんだね。実際に神山校に通ってみて、どう感じている?

大東 そもそも学校という場所自体に抵抗があって、学校にいるだけで気持ちが重くなるようなこともあったんですけど、神山校の場合は、そんなに不安を感じずに通うことができています。実習は得意ではないけれども、みんなと話しながら、作業する時間が結構好きです。先生とも距離も近くて話しやすくて、神山校に来てよかったと思っています。


神農祭(文化祭)では、有志のバンドでブルーハーツを熱唱。

荒木 次は、あゆハウスのことについて教えて。2学期からはあゆハウスのリーダーズ(あゆハウスの運営について考える寮生チーム)に入って活動しているけれども、立候補した理由は?

大東 リーダーとサブリーダーを決める日、自分も興味あると思っていたけど、手を挙げるまでにはいかなかったんです。その晩にすなっち(リーダー)とれんれん(サブリーダー)の部屋に行って、二人からリーダーとしてやっていること、寮をこういう風にしていきたいと思っていることを聞いて、自分もこういうことやってみたいと思いました。翌朝、すぐに立候補しました(笑)

荒木 リーダーズに入って印象に残っていることは?

大東 なんだかんだ、あゆハウス全体会議が一番印象に残っています。2学期にリーダーズに入ってから、2回の全体会議を行いました。リーダーズのメンバーと話をして決めた回も、自分が企画して会議を進行した回も、どちらも印象に残っていますね。
もともと考えることが好きなので、リーダーズ会議で「寮をより良くするためにどうしたらいいか」を考えて話す時間が結構楽しいです。結構難しいところもあるんですけどね。

荒木 どういうときに楽しいと思うの?

大東 他の人の考え方を聴くと、自分にはない視点や考えを知ることができるので、楽しいです。元々、話を聞くことや話をすることが好きなので。中学校のときに話せなかった分、今コミュニケーションが取れていることが嬉しいです。

荒木 そういったことがあゆハウスの醍醐味だと思うので、そう感じてくれているのは私も嬉しい。逆に、どんなところが難しいと感じた?

大東 リーダーズ会議で、今のあゆハウスの課題を解決するためにどうすればいいかと話し合うんですけど、そこで物事が決まったとしても、一緒にやる寮生のみんながどう反応するか、どう思うかというところが、、、なかなか難しいですね。
例えば、12月の全体会議は自分的に不完全燃焼気味で終わりました。一人ひとりの考え方や重きを置いているところが違うので、自分は寮をこうしたいと思っても、他の人は違うのかなと思うこともあります。一人ひとりの考え方のズレがあるからいいんだろうけれども、それがあるから難しいということもありますね。

荒木 不完全燃焼で終わったという12月の全体会議は、具体的にどんな話し合いだったの?

大東 全体会議の目的としては、みんなで腹を割って本音で話そうということがしたかったんです。考え方のズレは言わないと分からないので、言わないと分からないことを言える機会がほしいと思っていました。あと、普段の寮生活だと流してしまうことや言いづらいことを話してもらって、一人ひとりがその意見に対して反応して、その人の考え方を理解する場になったらいいと思いました。
全部本音で話して、ぶつかるという場をつくりたいとずっとリーダーズの中で言っていました。ただ、その結果ひとりを攻めるような形になったら嫌だなと思って、全体会議が始まるまで不安でした。でも、実際にやってみたら、そういう流れに全然なりませんでした。ただ、ある程度意見は出たけど、もっと意見が出るかなとも思っていたので不完全燃焼です。もう少し自分がうまく回せていたら、、、全体会議は楽しいけれど、変えられない問題にぶち当たっていくと難しいと感じることもあります。

荒木 今感じている「変えられない問題」ってなんだろう?

大東 自分的には、今の寮生同士の関係がもう一歩深いところまで進んでくれたらいいなと思っています。今の関係性でも生活していく分には全然問題ないし、仲良いというのは間違いないんだけれども。一人ひとりがお互いを信頼して、安心できて、深いところまで理解しているところまでいってほしいです。あゆハウスの中で、色々悩みがあったときに、相談できる関係性を少しでも増やしたくて。寮にそういう関係性があるかないかで、すごく変わってくると思います。
最終的には、みんなが言いたいことを言えて、みんながそれを受け止められる全体の雰囲気を作っていきたい、それが目標です。

荒木 最近は、あゆハウスで「哲学カフェ」を企画しているよね。

大東 リーダーズの二人と話したときに「もっとあゆハウスで企画すればいいのに」と言われて、「俺もしてみたいな」と話したら、背中を押してくれました。そこで、浩代さんがやっている哲学カフェに寮生たちが毎月参加しているのを見て、あゆハウスでも哲学カフェをやったら楽しいんじゃないかと思って、浩代さんに相談して企画してみました。実際に2回やってみて、好評だったので続けていこうと思っています。周りに相談しながら企画をしたり、テーマを決めたりするのは好きだなと思いました。

荒木 哲学カフェは、さっき話してくれた「一人ひとりの考えを知る機会」にもなるので、是非続けてほしいな。サブリーダーをやってみて、あゆハウスの見方は変わった?

大東 あゆハウス全体を見ることが増えました。一つのことをやったら、そっちに意識がいってしまう傾向があって、周りを見ることは得意ではないんですけど、あゆハウス全体のことを考えることが増えました。
あと、寮に来てからみんなのいいところを見つけたいと思っていて、そういうこともできるようになったと思います。知ろうと思って関わるのが大事ですね。

荒木 1年生の頃は自分のことで精一杯なことが多いから、伊織のようにあゆハウス全体を考えて行動しているのはすごいなと思ったよ。それでは、卒業するまでにやりたいことは?

大東 自分の中で決めている1年生の目標は「何でも挑戦しよう・できることはやってみよう」。今、この目標に挑戦しているところです。これからも楽しいことや面白いことに触れてみたいし、自分が興味あることにどんどん挑戦していきたいです。
2年生になったら、、、「自分の進路や方向を決める」ということをしたいです。あと、あゆハウスではこれから新しく入ってくる寮生が、最初不安や緊張を感じないように、少しでも過ごしやすい雰囲気を作っていきたいと思っています。

荒木 最後に、地域留学を考えている中学生にメッセージを。

大東 自分を変えたい、この寮に入りたいと思うのであれば、挑戦してみることが大事だと思います。あゆハウスでは難しいところもあるけど、自分は入ってみたら何とかなったし、一歩踏み出したことで、いい方向に変わりました。新入生が入ってきても過ごしやすいようにしていきたいと思っているので、安心して入ってきてください。

荒木 伊織、今日はたくさんお話を聞かせてくれてありがとう。あゆハウスを語るときに、ぐっと力を込めて話してくれたのが印象的で、普段から沢山のことを考えて動いてくれているんだなと改めて感じました。頼もしい後輩が増えてきて、これからのあゆハウスも、楽しみでしょうがないです!

これまでのあゆハウス通信はこちら

あゆハウス (ayuhouse.yoriinishi@gmail.com)

城西高校神山校の寮は、鮎喰川の「あゆ」をとって、「あゆハウス」と呼ばれています。 「あゆハウス通信」では、あゆハウスで暮らす高校生・ハウスマスターが日々の活動を定期的に発信しています。 「地域で学び、地域と育つ」をコンセプトに、神山でさまざまなことにチャレンジする私たちを温かく見守っていただけたら嬉しいです。

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