神山町の農業者の平均年齢は70歳以上。
耕作ができなくなって荒れた畑や田んぼが周辺の山間部だけでなく、比較的立地条件の良い中心地域でも見られるようになってきました。
様々な要因が重なっていますが、フードハブ・プロジェクトでは、耕作放棄された農地を将来世代へつなぐために農業を志す若者を研修生として育てる支援をしています。 その一部を紹介する映像「新規就農者がつなぐ 神山の農業」が完成したので、研修生の松本直也さんにお話を伺ってみました。
映像できあがりましたね。何度見ました?
3回ぐらいかなぁ(笑)。
白桃さんのお母さんが、誰か来たら映像を流して紹介してくれてるようです。
嬉しいですね
映像としては生津さんが頑張ってくれて、すごく良い映像になっています。
僕の思いとしては、映像を見て新規就農したい人が神山に来たいとか、農業っていいなと思ってくれることを望んでいます。
神山の農業をつなぐ人に見えると重荷じゃない?
映像を見た新規就農者が来たとして、5年後10年後に僕が農業をやっていなければこの映像が無駄になります。
長く続けていけてると一番いいんですけど、プレッシャーにもなります。でもそれが諦めそうになったときの糧にもなると思ってます。
映像制作の裏話はある?
農業チームのみんなと、1時間ぐらい「今後こうしたいなあ。」とか「みんなで取り組めるといいよね。」という話したんだけど、映像ではカットされてます。
でも撮影をきっかけにみんなと未来のことを話せたので、そのこと自体がよかったですね。
映像で松本くんが地域との関係性を大事にしている様子が印象的でした
鬼籠野に引っ越したときに、まだ移住者も多くなくて、心配な部分もあったんですけど、地域の人がほんとに暖かく迎えてくれて。
自分でも地域に入っていくことは意識していたんです。地域で農業するんだから、地域に馴染むことが最も大切だと思っていたので。次の研修生の参考になったら嬉しいです。
農業はその地域の土地を使うので近隣住民との関係性は大事ですよね
鬼籠野の立見峠の下でフードハブが農地を借りているんですけど、その農地は多くの人が関わっていて、コミュニケーションがめちゃくちゃ大事です。
地域の人は関心を寄せてくれているので、自分も本気で農業をやってる姿を見せたいですね。
でも、まだまだ未熟なので草を伸ばしたり、管理が不十分なところもあるんです。ハウスの様子も気になって見に来てくれます。
中途半端な気持ちを見せると印象が良くないし、これから来る研修生がそういう目で見られるのは本意ではないので、ちゃんとやることを意識しています。
一生懸命していたらみんな認めてくれるよ
ちょっとずつ解ってもらえたらいいなと。
ハウスで何を育ててる?
ナスですね。10月のかま屋通信にナスの記事を出すんですけど、結論から言うとあまりうまくいかなかったんです。
去年は路地でそこそこ結果は出たんですけど、ハウスではうまくいかなかったですね。とても勉強になったので今後につなげられれば。
映像の最後に奥さんが出てきますよね
神山に来て2年後に独立したら彼女も一緒に農業してくれる予定だったんです。自分があと2年フードハブに残ることになって、その間に研修生として農業を学んでもらうことになりました。
これからの展望は?
まずは農業で自立することが一番の目標ですね。
あとは、この2年間で販路の仕組みに注力したいです。それは自分にとってもいいし、今後独立する人にとってもいいので。
売れる先をつくっておかないとね
生産しながら経営もして、営業もして、販売もしてというのはなかなか難しいので、フードハブが販路を持っていれば、まずはそこに出荷できるようになります。
そうすると、生産に集中できるかなって思ってます。
松本くんが頑張れば、次の研修生も、地元の人も農業に対する可能性が見えてくるよね
野菜ではまだまだ食べていけないっていうのはみんなに言われます。農業はせこい[しんどい]。家族を養って食べて行けてるのが少しでも示せたら、まちの人も解ってもらえるのかもしれません。
せこいって言葉、覚えたんやな
めちゃめちゃ言われます(笑)。妻はよく〝ひどいなぁ〟って言われてます。
せこいのにひどい[しんどいのに偉い]なあって。