Vaughn Bell 2007
米から川に

アート2008年3月30日

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投稿者:Art in kamiyama

川になる
米から川に
生活は川になり
また 生活は川になる

神山に来てから間もない頃に日本を襲った台風。いつも聞いている水の音は轟音と化している。じりじりと照りつける太陽の合間からパラパラと降り出した雨は勢いを増し、屋根に叩きつけるように降り注ぎ、アトリエの端のバケツを満たしていく。温泉へ行く途中、川を見ると水位は随分上昇している。水晶のように青く澄んでいた水はコーヒー色に変わり、泥水を形成していく 。カエルやカニやさまざまな虫が道路のあちこちに顔を出している。暗闇に轟々と流れる川の音が鳴り響いている。

轟々としぶきが上がる雨乞の滝口から流れ出る水は神山の山道のようにくねくねと曲がって下っていく。稲田に入って灌漑用水となり、国道下のコンクリートの排水溝を通って鮎喰川や下流に流れ込む。この水の動き、滝から穀物へ、また山の頂上から生活用水を供給する下流の川への動きは私が神山で制作した作品群の源となっている。

私はこれまで持ち運びできるミニチュアの風景彫刻、希望者が土の一部を持ち帰って育てられる作品、緑の自然と都会のコンクリートやガラスを対比させた彫刻などを制作してきましたが、どの作品も特定の場所や状況に応じて創作したものです。
緑多き山々や川、稲田に囲まれた神山では、この地に住む人々の食料源となっている稲や周りの風景を素材に制作活動しました。この作品は地域住民と周辺の自然環境によって、また地域住民とこの環境のために作られたものであり、周辺の稲田風景、住民の方々の多大なサポートのどちらが欠けても成り得なかったものです。神山という町と同じように、それぞれのインスタレー ションは人が中に入って歩ける場、暮らしと探訪の芸術作品となりました。

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