
神山の隠れ名所その3
なんでも2008年10月6日
神山の隠れ名所シリーズ第3弾。
柳水庵を紹介します。「柳水庵」(りゅうすいあん)といいますが、地元の人たちは「柳の水」(やなぎのみず)と呼びます。
四国霊場八十八カ所の「藤井寺」から「焼山寺」へ向かう中間地点にある小さな庵です。その昔、弘法大師が霊場を開くときここに立ち寄り一休みしたところ。
喉の渇きを覚えた大師さまが、柳の木で作った杖を地面に立てたところ水がこんこんと湧き出たという伝説の残るところ。
ここへのアクセスは、県道石井神山線を鮎喰川に沿ってさかのぼる。広野の家並みが途切れて五キロほどいくと阿川という徳島バスの停留所があります。そこで道が二つに分かれますが右手の細いほうの道を進みます。
三キロほど進むと二ノ宮神社。この神社、馬の神様として有名です。昔はこの神社の秋祭りは有名で近在近郷の多くの人でにぎわいました。
車がなかったころ神山から出される材木は、馬車で運ばれました。「馬車引き」(今でいうトラックの運転者さん)という職業があったのですが、祭にはたくさんの馬が集まりお祓いを受けていました。大勢の人が押し合い徳島市の通町の「十日恵比寿」ほどの賑わいでした。
この神社の前の道を過ぎると松尾という部落に入ります。道が急に狭くなりますが進むにつれて道幅も広くなります。分かれ道には標識も出ていて、「柳水庵」の矢印に向かえば迷うことはありません。神社から五キロほどで到着します。
松尾へ向かう山道はヘアピンカーブがありますが、大きな車でも通行可能です。
松尾部落を越え峠に差し掛かったところが「柳水庵」です。峠を越えると吉野川市の美郷です。
四国霊場を歩いて巡礼する人が立ち寄りますが、普段は静かな佇まいの庵です。
この日は二組ほどのお遍路さんに出会いました。歩きのお遍路さんです。
お遍路さんの衣には「同行二人」と書かれています。一人旅のお遍路さんにもこの文字が書かれていますが、誰と「同行」しているかといえば、もちろんお大師様と二人という意味です。
この水が「柳の水」の水なんでしょうか・・・・。
帰り道、二ノ宮の家筋まで下りてくると西側に見える山があります。地元の人には「平家山」と呼ばれています。源平合戦に敗れた平氏の落人伝説の残る場所です。
庵のすく下に新しい接待小屋が建てられています。宿泊も可能です。最近こうした小屋が多く見られるようになりました。一夜を明かしたお遍路さんが、お礼に巡礼フダを貼ってあります。
数回まわった人は白色の札ですが、数十回も巡礼した人は緑色、さらには回数が増えると赤の札になるそうです。
百回以上巡礼した人は金色の札になるそうです。トオルちゃん、退職した年から何人もの友人から四国巡礼の誘いがあったのですがまだ一回も回っていません。京都などのお寺を巡るのは好きなのですが、巡礼をするほど信仰心がないのです。極楽浄土にはいけそうもありません。
きょうも小さな秋を見つけてきました。
中原 亨
神山アーティスト・イン・レジデンスの自称学芸員。これまで招聘した作家たちの作品の解説はお任せください。年間を通じて数多くの訪問者を案内しています。 神山を元気にするため老体を鞭打ちと東奔西走しています。NPOグリーンバレーの理事。
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