神山で暮らしたい人と空き家や地域との仲介役 |神山町移住交流支援センターで働く

終了2023年1月11日

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投稿者:移住支援センター

※求人記事を準備している間に、ご縁あって採用者が決まりました。求人募集は終了していますが、センターの活動を多くの方に知ってもらうため、記事を公開します

「日本の田舎をステキに変える」をミッションに、神山町でさまざまな事業を展開してきたNPO法人グリーンバレー。いまは主に4つの事業として、神山アーティスト・イン・レジデンスの企画運営をはじめ、神山町農村環境改善センターの指定管理、神山町移住交流支援センターの受託運営や、神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックスの運営を行っています。

神山町移住交流支援センターのスタッフ。左から、後藤涼介さん、伊藤友宏さん、吉田涼子さんの3名

今回は、神山町移住交流支援センター(以下、センター)で働く人材を募集しています。移住交流支援とは、どんな仕事なのか? センターで働く伊藤友宏さんにお話を伺いました。

—神山町移住交流支援センターについて教えてください。

そもそも神山町には不動産業がありませんでした。その理由として、これまで家や土地は親から子へと代々引き継がれるか、親戚や知人の間でやりとりをすることが多かったことと、家や周囲の農地や山林と近い関係にあることなどが考えられます。

そんな神山町で、後のグリーンバレー理事となる地元メンバーが主体となり、まちづくりの一環として、神山で暮らしたい人に向けて空き家の紹介をはじめたのが2002年。そして、2007年秋に神山町移住交流支援センターが開設され、神山町からグリーンバレーに事業として委託されるようになりました。私が働きはじめたのは、2015年からです。

長い間使われていなかった空き家は、家の周りに植物が覆い茂っていることも

-伊藤さんが担当されるようになってから、現在まで変化は?

私が働きはじめた当時は、理事たちのネットワークで紹介できる空き家が尽きてきて、その情報が足りなくなってきているのが課題でした。建築や不動産のことはわからないことばかりでしたが、専門家の方に相談したり、私自身も宅建の資格を取るなど知識をつけたりしながら、理事頼みにならずに自立できる方法を探しました。

以前は、センターで契約書作成のサポートをしておらず、口約束のような契約がトラブルにつながったようでした。契約の仲介を、提携している不動産業者にお願いする体制に変更し、空き家の家主さんや借り主も安心できるように、ひとつずつ丁寧に契約を交わすようになってから、スムーズに進められるようになった気がします。

3年前に新しいスタッフが入社するタイミングで業務の効率化を図ろうという目的で、移住支援や空き家の相談などを管理するシステムをグリーンバレーに導入したのですが、彼の得意な分野を活かして、その構築作業を一緒にやってもらいました。また、モノストック(※)に取り組みはじめたのも同じ時期からです。当時私ひとりだったら、やりたくてもなかなか手が回らなかったのが、ふたり体制になってバージョンアップして取り組めたと思います。

町内在住・在勤者に向けて毎月開かれるモノストックオープンデーの様子

※モノストック:移住交流支援センターで行っている空き家片付けや改修工事で出てくるモノを倉庫にストックし、毎月のオープンデーで町内在住・在勤者に開放し、リユースを促進する取り組み。


-どうしていまのタイミングで求人を?

いま準備中なのですが、今年度中に不動産業を開業したいと考えています。これまでやって来たことと大きく変わるわけではありませんが、不動産業をやることによって、より専門的に移住支援や空き家の相談ができると思っていて。

不動産業について、この5年間は、提携の不動産業者さんからいろんなノウハウを教えてもらいました。不動産業をやることを伝えたら、「グリーンバレーがやるのであれば、神山町にとっていいことなんじゃないか」って応援してくれています。

いままで神山になかった不動産業の仕組みを、新しい体制でつくっていきたいなと思い、このタイミングで求人をすることになりました。

-センターの仕事は、どんなことがありますか?

いちばんは移住相談ですね。神山に興味を持ってくれた方の相談を受けます。神山町では年間100〜150件ほど移住の相談を受け付けています。相談される方は、まだ神山に住んでいないので、まずは外から見える神山のイメージをもとに、いいところだろうなと思って問い合わせしてくれます。そのイメージがピタッと当てはまればいいのですが、神山は都会に比べると、子どもの進学の選択肢が限られていますし、車が運転できない人にとっては不便なまちに感じてしまいますよね。住んでいないと見えてこないことをきちんと整理して、事前につまずきそうなところや、移住してもらう前によく考えてほしいポイントを丁寧に伝えていきます。

神山は移住支援をたくさんやっているから、すぐに住める家を数多く整備されていると思って問い合わせされる方もいます。ただし、センターが案内しているのは空き家ですので、まずはイメージに合う空き家があるのかどうかということや、物件探しには時間がかかるし、家の改修にはお金がかかることなどを丁寧に伝えていく仕事ですね。

空き家の片付けもセンターの仕事です。長い間住んでいなかった家を片付けするとなると、粗大ゴミを運び出すことはもちろん、神山町のゴミの分別ルールに従って何十袋ものゴミを分別する必要があります。埃っぽい場所で作業したり、夏場は暑く、冬場は寒い中、外で作業することもあります。人気のない空き家に入っていくのが怖く感じる人や、昆虫や小動物が苦手な人はあんまり向いていないかもしれません。でも、体力があるかないか、重たいものをどれだけ運べるかはあまり重要ではなくて、その人が精一杯できる範囲でいい。片付け作業は、アルバイトで手伝ってくれる仲間がいます。いずれはそういうチームをまとめあげて、空き家の片付けも一緒に楽しく作業していけるようになってほしいですね。

空き家の片付けは、センターの大切な仕事のひとつ

-勤務先はどこですか?

基本的には、グリーンバレーが指定管理で運営している神山町農村環境改善センターです。神山町移住交流支援センターも同じ建物の中に事務局が併設されています。日によっては、物件案内や片付けなどをするためにまちのいろんな場所に出向くこともあります。

神山町農村環境改善センターの外観とグリーンバレー事務局の風景

-どんな人に応募してほしいですか?

理想を言えば、宅地建物取引士の資格を持っている方。もしくは、仕事をしながら学んで、宅建の資格を取得する意欲のある方と出会えるといいですね。神山の事情をよく知っていることも大切だと思っています。いま神山で暮らしている方や、元々神山に住んでいたことがある方、少なくとも何度か神山を訪れたことがある方に来てほしい。神山で住みながら、生の声を吸収してほしいなと思います。まちの中に住んでいて、まちのことを知っているという経験が、そのまま活かせる仕事なので。あとは、相談者のどんなふうに暮らしたい、また、家主さんのどんな人に使ってほしい、というそれぞれの想いに寄り添っていけるような方がいいですね。

-センターの仕事のやりがいは?

家主さんが空き家の維持管理に困ってセンターに相談をくれて、ちょうど条件の合う人に空き家を引き継ぐことで、人の手を入れてもらって、家を蘇らせる。人が住むことで、家主さんは安心できるし、周りの人たちも自分が暮らす地域がどうなるんだろうっていう不安が希望に変わっていくんですよね。そういう言葉をお礼として言ってくれたりするので、やりがいを感じます。

また、空き家問題や難しいことに直面する分、まちに新しいことが生まれていく変化もダイレクトに見ることができます。この先、人口が減っていくことは見えているので、その厳しい現実を受けとめつつ、いかに新しいまちに転換させていくか。そういう意味では、まちづくりをしていると実感できる仕事です。

あとは、神山のいろんな地域でいろんな人と知り合えて、その仕事がそのまま暮らしと地域につながっているっていうのは大きいですよね。神山のことをもっと知りたい方にはおもしろいと思いますよ。

神山のいろんな地域に出向いて、情報を集めていく

-今後、センターの目指すことは?

今までどおり空き家と移住希望者のマッチングを、一件ずつ積み重ねていくことに変わりはありません。ただ不動産業を始めるにあたって、私の個人的な目標になりますが、実現していきたいと思うことがふたつあります。

ひとつめは、空き家を使った賃貸物件の仕組みづくり。
いきなり空き家を借りるのって大変なんです。物件が見つかるタイミングが分からないので、引っ越しの日をなかなか決められない。かといって、神山にはアパートなどの賃貸物件も少ない。アパートのような箱物を建てて、庭も小さく最低限で管理できるようにするのが、まちなかの不動産の常識なのかもしれませんが、それって神山では違和感がある。神山にある空き家を賃貸物件にしていこうと思ったら、建物を改修して終わりではなく、庭や周りの土地の管理も必要になってきます。空き家の片付けをアルバイトの方に手伝ってもらっているみたいに、敷地の手入れの得意な人とチームをつくれたら、グリーンバレーが間に入ることで、改修され、手入れされていく物件が増えていくかもしれないですね。

ふたつめは、新築の家の提案。
いまは空き家の紹介がメインですが、新築を考えている方もいる。工務店じゃないけれど、こういうふうに家を建てられますよ、って見えるかたちで提案できたらいいですね。神山の設計士さんが設計して、神山の木材を使って、神山の大工さんがつくった家を提案する。神山の団体がやるから、一緒に提案してつくっていけるかもしれない。それが、グリーンバレーが不動産業をやることのまちにとってのメリットでもあるのかなと思います。

今回、求人をして、センターで働くことになる方の特性や技術・資格などによっては、新たな事業をスタートできるかもしれない。私の思い描く目標をどこまで達成できるか分かりませんが、これから一緒に試行錯誤していければなと思っています。

【インタビュー・文 いつもどおり】


募集要項

募集職種 特定非営利活動法人グリーンバレー
移住交流支援センター担当スタッフ
雇用形態 正社員
仕事内容 ・移住相談&空き家現地案内
・空き家相談
・空き家片付け
・契約書作成説明など不動産仲介業務(有資格者)
給与・待遇 月給18〜25万円(経験・スキルを考慮して決定)
・各種保険(健康保険、雇用保険等)
・交通費補助有り
勤務時間 ・週5日勤務 8:30〜17:30(昼休憩1時間)
・年間休日120日(年末年始含む) 有給休暇(労働基準法による)
*休日取得日については職員内で調整
応募資格 ・普通運転免許を有し、業務にて運転可能な者(社用車あり)
・宅地建物取引士の資格保持者もしくは資格取得予定者
選考基準 ・(利害関係者間の)調整能力のある人
・課題解決力が高い人
・地域づくりに関心があり、チャレンジする人
勤務開始予定 2022年4月(応相談)
採用人数 1名

求人に関するお問い合わせ
 TEL: 088-676-1178
 MAIL: greenvalley@in-kamiyama.jp 
 NPOグリーンバレー(担当:伊藤、竹内)

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移住支援センター

物件紹介から交渉、契約、地域への順応支援にいたるトータルサービスを提供。 「こんなところに住みたい」という移住希望者の要望と、「こんな人に来てほしい」という所有者や地域住民の仲介役を果たします。 「これがダメなら、あれはどう?」というような不動産屋さん的な対応はしません。 最適で、最善の組み合わせを実現するため、一件一件に時間をかけます。 家探しには忍耐が必要です。その忍耐力をお持ちかどうかも、マッチングの大きな要素となります。

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