大麻比古神社
なんでも2011年11月2日
車で神山入りしたおかげで、ここぞとばかりに色々なところに
足をのばしている神山塾の渋沢清夏です。
11月1日に徳島唯一の阿波国一宮である大麻比古神社で
例祭があるという情報を入手し参拝に行ってきました。
例祭というものがどういったものなのかちっとも知らず、調べず
まあこじんまりとしたものなのだろうなと、あまり期待をせずに
行ったのですが・・・。
平日の昼間ということもあり、参拝に来ているのはご老人ばかり。
それと目をひいたのが引率されてきている人々。
老人ホームからきた車椅子に乗ったご老人
身体障害者の方、知的障害者の方。
そういった方々がほうぼうから参拝にやってきます。
神社の前で記念撮影を撮る一行
明るい色の服を着て奇声をあげながら歩き続ける団体
そこに付近の小学生たちが課外授業でやってきます。
遠くから祭囃子が聞こえてきて
男たちのどすのきいた掛け声がずんずん近づいてきます。
太鼓のリズムがそれに拍車をかけて
腹の底から身体中に響き渡り、そこに参拝するための鈴を鳴らす音や
鳥の鳴き声や、誰かの奇声が重なり合います。
藍の地に天狗を染め上げたお揃いの法被を身につけて
地下足袋を履いた十代後半から
ご老人の団体が獅子舞を踊り始めます。
その拍子をとるのはヤンキーチックな化粧を施された
まだ幼い子供たち。
おめかしした彼ら彼女らの拍子にのって
獅子が舞いを始めます。
一つの獅子に男が二人入り、踊りを繰り広げていきます。
アイヌの神話の中に、人が熊の毛皮を纏い熊の世界に
入っていくという物語があります。
熊は神の化身だとされています。
獅子を身に纏い、神社に向かい踊るその姿を見ていると
まるで彼らに神が乗り移っているかのような幻覚にとらわれました。
「若いっていいなあ」
「もうへばってるのかあ」
舞いは何組かが順々に交代をしていくのですが
そのたびに誰かが茶々を、野次をいれていきます。
男衆たちの間からはどっとした笑いがはじけ飛びます。
絡んでいくのも絡まれるのも全ては期待と予測
シナリオ通りなのだろうけれどもそのやりとりを見ていたら
不覚にも涙がこぼれてきてしまいました。
年若き者は自然と年配の方を敬い
体力が衰えて踊れなくなった年配者は
その場を先導する者となり
脂ののった年代のものは一番派手に踊り狂う。
地域毎にお神輿も出ていて、思い思いのそれぞれの地域の色があり
隣り合っている地域に違いなくて、ちいさな範囲のことなのに
面白いくらい、服装だけでなく、漂わせる色が違う。
そう、このお祭りをみていてずっと感じていたのはこの差異でした。
それぞれ個性を、特色を出そうとしていて出ているものではなく
ごく自然に滲み出ていました。
その団体ごとにちゃんとそれぞれ役回りがまるであるみたいに
誰一人として似たような人がいなくて
うまくミックスされていました。
街なかで見かければ思わず恐怖で避けてしまう知的障害者の方も
皮膚に様々な色の班がある人、全身からお酒の匂いを発散させて
足を引きずっている人、ずっと口を半開きにしている女の子
スーツの上に法被を身につけている人
10センチはあろうかという細いヒールの靴を履いている女子大生
お父さんと同じ仕草をしている小学生
我が子の晴れ姿をわき目もふらずにとりつづけている父兄
礼服を身に付けた集団
誰にも顔がありました。
どこかの誰かみたいな顔をした人が見当たりませんでした。
混沌としたカオス
なんでもあり
祭られている神様の前でそんな姿をお披露目しているよう。
こんな風にわたしたちは今生きているということを。
祭りというものを通して、地域の人々がひとつになることで
実地を通して、目上のものを敬う心が自然と身に付き
身体の自由がきかなくなった人にもきちんと役割があり
誰一人かけることなく、存在意義がある。
それをまざまざと見せつけてくれました。
それにしても祭りのときの男の人ってかっこよいですね(笑)
神山塾2期生
職業訓練講座・神山塾の2期生です。 北海道から沖縄まで、日本全国から神山へ集ったメンバーが地域の人たちの活動に参加させていただきながら、各々のくらし方働き方を半年間見つめ、探求します。 みんな個性的なのにまろやかな15姫2太郎で構成。
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コメント一覧
「体力が衰えた年配者は、その場を先導する者となり…」とありますが、 自分の地区のお祭りでは、高齢化の影響もあり、何時まで経っても 先導する役割が回って来ません。 なので、今年も神輿を担いでいたら、肩を痛めてしまいました(笑)。 遂に…。困ったものです。過疎化&高齢化!
2011年11月2日 23:10 | 大南 信也
大麻彦神社は、お正月にしか、行ったことがありません。 ここの「お祭り」を、渋沢さまの投稿で初めて見せていただきました。 獅子舞、露天商など・・・華やかです。 「政治」のことを「政事(まつりごと)」といいますが、もともとの語源は「祭りごと」。 「祭り」の差配がうまくできる人、つまり統率者を「首長」っつうのでござんしょ?
2011年11月4日 01:34 | ニコライ
大南さんがお神輿を担いでいる姿、見てみたかったです。 見逃しました・・・。残念。
2011年11月9日 00:10 | 神山塾2期生