神山時間

なんでも2011年11月9日

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投稿者:神山塾2期生

ぼやぼやしていたら、いつの間にか季節が移り変わり
風の音を耳にし、秋が深まっていることを感じている
今日この頃の神山塾生の渋沢清夏です。

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先日大盛況のうちに終了した、神山のメインイベントKAIR。
塾生たちは作品を観に来られた方々の道案内&作品についての
説明をするために、作品が展示されている付近や道の駅などに立って
微力ながら協力いたしました。

そんな中のとある一日。
平日ということもあり、訪れる方はまばら。
暖かな日差しを背に受けながら、何をするでもなく
とりとめのない話をつらつらと塾生の子と話しておりました。

特に大盛り上がりするでもなく、会話が途切れても
沈黙を気まずく感じるわけでもなく
双方が思いついたことを口にし
それについて二言、三言言葉を返す。

道路の両脇に置かれたKAIRの赤と白の旗が
紅葉することのない木々の緑と
どれだけ見渡しても雲の欠片も見当たらない空の青の中に
とてもよく映え、旗がはためく音と川の流れる心地よい音が
耳に入ってきます。

こんなにぼんやりとした時間を過ごすことは
一体いつくらいぶりだろうと
都会で働いていた頃のことを思い返しました。

何かにせっつかれるように、毎朝満員電車に乗り込み
人と人との間を縫うようにして歩き
知らない誰かが携帯電話で話す声や、車のクラクション
カラスの鳴き声に街頭テレビから流れ続ける音声が
鳴りやむことなくループのように続いていきます。

その現実は今もどこかで続いているのだけれども
陽だまりを背に受け、うつらうつらしながら
通り行く地元の方に挨拶をしたり
目を瞑って日差しを感じたり、時折通り過ぎて行く車を
見遣ったりしていると
そこにいた頃の自分がよく思いだせなくなってきました。

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こことそこの時間の流れは同じはずなのに
都会にいた頃とは違う流れのような気がなんとなくしています。

-神山時間-

はじめて徳島入りしたときは、

「県庁所在地なのに、さびれてるわー」
「田舎だなあ」

と感じていたのに

今では買い物をするためなどに市内に行くだけで
人と車の多さにどっと疲れてしまいます。

「早く用を済ませて神山に帰らなくては!帰りたい!!」

という気持ちになってしまうのです。

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トンネルを抜けて、神山の山の木々を目にすると
思わずアクセルを踏む足の力が緩みます。

音楽を消して、窓を開け、神山の空気を車内に注ぎ入れ
自然の音に耳を澄ませます。

森の中を歩いていると、小さな虫が動き
草の葉を揺らす音にびっくりして足を止めてしまいます。

リラックスしているときや集中しているときなどに
発生する脳波をα(アルファー)波というそうです。
そのα波は自然の中に身を置き
自然の音に耳を澄ますだけで
増大するとのこと。

効果として

・ストレス解消
・想像力の発揮
・記憶力の増大

などがあるそうです。

サテライトオフィスとして、
続々と都内の企業が神山入りし始めてきていますが納得。
アーティストの方々が
自然豊かな地に住居や別荘を持つのも頷けます。

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沈んでいく夕日を眺めながら、急激に下がった温度に

「寒いね」

と言い合い、それぞれの家路へ。

顔なじみになった地元の方とすれ違えば
どちらかともなく笑みを浮かべ

「こんにちわ」
「日の入りが早くなったねえ」

と言葉を交わします。

それをしたくて、少々遠い道のりでも
車には極力乗らずに歩いて帰ります。

なんてことのない一日
だけどとっても贅沢な一日
そんな神山での日々

それらをそっとつなぎあわせて
心の襞に忍ばせながら一日一日、一瞬一瞬を
過ごしていきたいなと思いながら
今日もてくてく神山を歩き続けています。

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神山塾2期生

職業訓練講座・神山塾の2期生です。 北海道から沖縄まで、日本全国から神山へ集ったメンバーが地域の人たちの活動に参加させていただきながら、各々のくらし方働き方を半年間見つめ、探求します。 みんな個性的なのにまろやかな15姫2太郎で構成。

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コメント一覧

  • 神山塾二期生の皆さんKAIR(神山アーティスト・イン・レジデンス)2011作品展、作品制作の手伝いをして頂きありがとうございました。 皆さんが居なければKAIR2011作品展は形に成らなかったと言っても過言ではないでしょう、KAIRはまだまだ完成されていないし今も進化しています。 やはり、道の駅案内所などは女性中心で構成し、屋外展示場は我々おじさんが行うべきだったかな?

    2011年11月9日 06:21 | 杉本哲男

  • 今の都会にないものは、人と人のつながり。神山に来るとほっとするのも、自然が豊かなだけではなく、温かい人のつながり。そんなこんなで私も神山に良く来ています。神山塾生のみなさんのkair へのサポートは外部の私の様なものから見てもすごいなの一言です。これからも神山のよき応援團としてよろしく!そしてお疲れさまでした。

    2011年11月9日 08:58 | 澤 祥二朗(通称 ショウ)

  • タイトル画像に「高くなった秋」、流れるような文章に「時間や心の変化についての深い洞察」を感じました。 何度も何度も読み返したくなります。味わいを深めながら。

    2011年11月9日 16:15 | 大南 信也

  •  渋沢さん、詩人ですね。そしてすばらしい写真家です。 神山に住んでいる人間は、神山の人情や風景のよさに気付きにくいものです。あなたによさを教えてもらいました。残り少ない神山生活、十分に堪能してください。

    2011年11月11日 16:16 | 中原 亨

  • 6枚の写真。 すべて いいわぁ・・・ 良いセンスしてるぅ・・・・。 私も、「静かな」 「時間」 の 溜(た)めが、 生きてゆくうえに 必要だと感じています。

    2011年11月12日 00:39 | ニコライ

  • 初書き込みです。 ずっと神山に住んでいるのに、外からいろんな方が神山に来てる事実を最近まで知りませんでした。 お恥ずかしい。 久しぶりにこのサイトを覗かせていただきましたが、ここから神山を再発見できそうな気がします。

    2011年11月12日 12:59 | 久保智也

  • 久保さん、 第二期神山塾生は16名いて、北は北海道帯広から南は九州福岡まで、日本全国から集まっており、神山を明るく照らしてくれています。 いろんなことが進行中なので、興味があるものに参加するのも楽しいですよ。

    2011年11月12日 20:43 | 大南 信也

  • 皆さまからの温かきお褒めのお言葉、本当に嬉しいです。 ありがとうございます。

    2011年11月20日 22:52 | 神山塾2期生

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