久しぶりの隠れ名所シリーズです。今日紹介するのは左右内(そうち)の「一本杉」です。ここへのアクセスはいろいろあります。四国八十八箇所の歩き遍路する人は、鴨島の藤井寺から山越えをして柳水庵、一本杉、焼山寺へとたどります。車で柳水庵から一本杉までは行けなくはないのですが道幅も狭くおすすめできません。

自家用車で一本杉に行くには左右内方面から行くか阿川の二ノ宮神社前→宇度木(うとうぎ)→庄部垰→一本杉のコースがいいでしょう。

庄部を過ぎると平坦な山道で遠景のパノラマも楽しめます。途中の分岐点には標識もあるので一本杉の矢印の方に走らせてください。

この一本杉、弘法大師空海が藤井寺から焼山寺に向かう途中、手にしていた杉の杖を地面に立てたものが根付いたといわれています。弘法大師の足跡は四国のいたるところにありますが、一本杉もその一つです。

真言宗の開祖、弘法大師空海(774～835)といえば平安時代に遣唐使として長安に渡り恵果(けいか)の弟子となり密教の奥義を伝授されました。それを日本に持ち帰り、嵯峨天皇の信任を得て東大寺別当を歴任、のちに高野山を賜って高野山金剛峰寺を開創した高僧です。真言密教だけでなく満濃の池などの社会事業、教育機関「手芸種智院」、書では日本三筆の一人として謳われている多才な活動をした人です。

弘法大師の杖立て伝説が本当なら樹齢1200年以上ということになりますね。私の家の宗派は真言宗です。分派はありますが日本でも二番目ぐらいに大きな宗教集団ですね。全国の寺院数約一万、信者数一千万人ほどですか。
ちなみに日本最大の仏教教団は浄土真宗(親鸞上人の開祖)、寺院数二万寺、信者約千三百万人といわれています。

弘法大師の「大師」とは天皇から高僧に賜る称号ですがこれまでに24人の高僧に与えられているそうです。空海と同時代に活躍した人では天台宗の伝教大師最澄がいます。四国では「お大師さん」といえば空海のことを指しますよね。田舎では「お大師講」という風習がありました。各家持ち回りで月に一度お念仏を唱える集まりです。

この集まりが情報交換の場になったり、相談ごとをしたりして、部落の地縁的なつながりが出来ていたものです。高齢化が進みこのような風習もなくなりつつあるのはさびしいものです。

退職して６年、いろんな友達から八十八箇所参りを誘われます。でも不信心なトオルちゃん、まだ一度も行ったことがありません。京都などのお寺を巡るのは好きですが、紅葉を見たり寺院の佇まいを見るのが好きなだけで根っからの信心深さから行ってるわけでないのです。

でも、遍路道などを歩くと「お大師さん」の偉大さに心を打たれないわけではありません。「般若心経」などの一言一句は人に解説できるほどの知識は持っていますが、ただ本を読むのが好きで理解しただけの話です。

そろそろ年だし、もっと信心深く生きてもいいのかな・・・・。