デイブ、鍛くんについて語る|2019年4月

農と食文化2020年3月23日

西村 佳哲

投稿者:西村 佳哲

特集「Why are you here?」の第5話「デイビッド・グールド / From New York, USA」(2010年3月23日公開)のインタビューでは、デイブから鍛君の話も聞かせてもらった。文字数の都合で省いたその部分を、こっち(日記帳)に公開します。

鍛くんは、神山の高校3年生で(2020年3月卒業)。生粋の神山っ子。料理の道に進みたくて、1年生のとき父親と「かま屋」* を訪れ「アルバイトをしたい」と相談。皿洗いから始め、追ってシェフ・イン・レジデンスで神山に来たデイブと出会い、仕事を手伝いながら、彼の調理を間近にみる時間をたくさん重ねた。この春、大阪の調理学校に進学する。


──鍛くんのことも、少し聞かせてください。

真鍋 鍛くんは「Hope」と呼ばれている。(鍛 → キタイ/期待 → Hope)

Dave When you meet Hope, you know that he is very special.

真鍋 会えばすぐ分かるけど、彼は本当に特別な存在だと思う。

Dave You just know “wow this person is, he’s like a Buddha”.

真鍋 会った瞬間に「ブッダだ」とわかる、って。

──言いすぎじゃない?(笑)

Dave Do you think “Hope” is like meeting a Buddha?

Amy(通りがかりの、オーストラリアから来ていた料理人) Yeah, he is an angel.

真鍋 天使みたいだねって。

Dave He was interested in cooking and working with me, so he became my partner doing Izakaya dinners. Probably totally new experience for him. And sure enough I was very [laugh]harsh.

真鍋 ホープは料理とデイブと働くことに興味があったので、「居酒屋デイブ」をやるパートナーになったんだ。すべてが彼にとって新しい経験だったと思う。そして、相当厳しかったと思う。


2018年11月

2018年12月

2019年1月

Dave That is always my way of teaching people and working with people. I’m always very harsh, and I always make sure to explain why for you to know as a lesson, or sometimes to say I’m sorry I was too harsh.

When you are a chef, you tell everyone what to do. Maybe sometimes they are making mistake  because of you have failed to prepare. I assume responsibility for all the mistakes that happen when someone is working and cooking with me. That’s my feel. 

真鍋 それが人に教えたり、人と働くときの自分のいつものやり方。いつも自分は厳しいと思う。そしていつも、レッスンとして理由を説明するようにしているが、厳しすぎて「ごめんね」とも、ときに言っている。
シェフであるということは、スタッフのみんなに、なにをするのかの指示を出す。そしてときに自分自身の準備不足によって、彼らが失敗することすらある。だから自分と誰かが料理するときは、すべての失敗の責任は自分にあると思っている。

Dave The most times in the moment that’s happening,  you can’t really explain to someone “I feel for you”, “I’m sorry this is this why I’ve made this mistake”, “I did not prepare”, “I did not explain to you”,”I made this tsukune and it’s sticking to be grilled  because it’s too wet”. 

The real proble is that I can’t be OK with having made this mistake. I’m angry at myself. It's all going to Hope. So I think we had a couple of nights where I had… afterwards I would say I’m sorry. 

真鍋 でもその自分の準備がよくないことで、鍛くんが失敗していたことも多々あって。「すまないな」と思いながらやってきたところはある。でも間違えたり、うまくいかなかった場面では、それは彼の責任になっているので、わりと厳しく言ってしまう部分はあって。

自分自身に「間違いを起こすべきでない」と怒っているのに、状況としては鍛くんに言ってしまっていた部分がある。一緒に料理をつくった中に2晩くらい、「僕自身のせいだ」と自分が謝っていたときもあったと思う。

Dave Also for better or worth, he is a very good grill cook now. I’m proud of him.

真鍋 それでも結果的に、彼はいいグリルクック、炭を扱う料理人としてすごく成長した。それをとても誇らしく思っている。

2019年10月

──そのほかにも気づいた変化があれば。

Dave Maybe responsibility. When you are learning craft, you start with no experience.  You don’t understand how much control you have over the situation. So you make mistakes and you learn from the mistakes but maybe that’s small things. Bigger lesson is you start to understand how much power you have. When you start to connect that feeling, then you grow I think exponentially. 

真鍋 おそらく責任感じゃないかな。クラフトという技術を学ぶ上でまだ経験が足りない時期は、自分がどれくらい状況をコントロール出来ているのか、まったく分からないと思う。
失敗を重ねながら、失敗から学んでいくわけだけど、でもそれはちっちゃな話で、もっと大きなレッスンは「自分自身がどれくらいの力を持っているか」認識すること。それを感覚的にわかり始めると、飛躍的に成長するんじゃないか。

Dave So I think I watched him become independent and very smart, and he is not surprized when something fails. And I know that he is aware if when something is failing, how want to make a change and how to fix.

真鍋 見ていて、すごく自律的でスマートになったと思う。そして何かがうまくいかなくても、動揺しなくなった。失敗してしまいそうなとき事態をどうやって上向きにするか、状況のコントロールを始めている。

Dave I think the skill itself that lot of cooks and chefs never learn.

真鍋 実は多くの料理人やシェフたちが学んでいないことを、彼は学んだと思うんだ。


このインタビューは2019年4月のもの。数ヶ月後の夏、鍛くんはデイブに会いに、アメリカ東海岸を訪れた。本人の旅のレポートはこちら。

高校3年間のいろんな出会いが、自分を少しずつ変えた。 2019年10月18日

2019年10月

2020年3月
ホープ・ラストナイト(4月から大阪で学ぶ鍛くんのご飯をいただいて、チョイチョイ本人をいじる楽しい夜)の一コマ。よい旅を!
 

* かま屋|フードハブ・プロジェクト
* イン神山/特集「Why are you here?」
 第5話「デイビッド・グールド / From New York, USA」

西村 佳哲

西村 佳哲

にしむら よしあき/1964年 東京生まれ。リビングワールド代表。働き方研究家。神山つなぐ公社 理事。武蔵野美術大学卒。つくる・書く・教える、大きく3つの領域で働く。著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『増補新版|いま、地方で生きるということ』(ちくま文庫)など。

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