神山創造学のいま

学び2020年4月22日

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投稿者:森山 円香

 

こんにちは、森山です。歩くこと、そして深呼吸をすることが増えました。

めまぐるしく状況が変わり、判断の連続。物事に向き合う自分の姿勢が試されている、と感じる日々です。医療に携わる方々、組織の意思決定を担う方々の心労は計り知れません。最前線に立って命や暮らしを守ってくださっている皆様に心から感謝を申し上げます。

 

今日は、高校のいまについて書き残しておこうと思います。

国の緊急事態宣言を受けて、入学式前日に徳島県下の公立学校の再休校が決定。急遽、県外からの新入生たちは自宅待機となりました。
親元を離れて神山で高校生活を過ごすことを決めた子たちに、少しでも入学式を感じてもらいたい、と苦肉の策でスマホから中継することに。


ベタベタのマスキングテープから即席感が伝わりますね…
新入生として名前を呼ばれたときには「はいっ!」と、スピーカー越しに声を聞かせてくれました。

 

在校生たちはといえば、3月2日から休校で長い春休みを過ごし、2日間学校に来てまた約1ヶ月の休校。生活リズムが狂って久しぶりに朝から登校するのがしんどかった、という生徒の声も聞きました。

一方、こちらの都合はお構いなしに、植物はぐんぐん育っていきます。特に、昨年度から耕作放棄地を復活させて小麦を育てるプロジェクトが始まっています。(詳しくはフードハブ・プロジェクト活動日誌「城西高校神山校 “まめのくぼプロジェクト“始まっています。」を。)

生徒たちが学校に来られない間に、小麦が穂をつけて収穫期を迎えてしまうかもしれない。その成長過程を間近に見られないのは残念すぎる。どうにか畑の様子を伝えたり、家からなかなか出られない生徒たちが学べる環境をつくれないだろうか、と考えました。

そして先生たちと相談した結果、休校期間中の緊急措置として、LINEのオープンチャットを学年単位で導入することに。

世には便利な教育系ツールが様々あるものの、普段からオンラインのツールや生徒用タブレットを取り入れていない現状かつ生徒たちには2日後に伝えないといけないという限られた時間の中では、生徒たちが既にアカウントを持っていて使い慣れているLINEアプリを活用するのが最も実現可能性の高いギリギリの手だったと思います。

このオープンチャットという機能は私自身今回はじめて知りました。
グループラインに似ているのだけど、一番の特徴は、個人のLINEアカウントを他の人たちに知られずにグループ参加ができること。個人間の連絡はできない仕様になっています。先生やクラスメイトにアカウントを知られたくない、という人でも安心して使えるのが良い。あとはもちろんクローズドにできる、管理者権限があることなども学校的には安心ポイントでしょうか。
デメリットは個別のやりとりができない&グループ電話機能が備わっていないことから双方向性が失われやすいこと。何か別のサービスと組み合わせて使う必要があります。

 

導入前には先生たちと使用法を学ぶ研修を。

 

初回、生徒がいない教室で、カメラに向かってメッセージを送りました。写真はまめのくぼプロジェクトを担当するフードハブの樋口さん。


三脚を忘れて、苦し紛れのイス on the table。マナーが悪いのですがお許しを。

 

創造学は神山をフィールドに日々学んでいますが、いま学ぶべきはこの社会で起きていること。新型コロナウィルスについての話を避けて進みたくない。
初回は、いま社会で起きていることの理解を深めよう、と見てもらいたい動画や記事をいくつか送って、感想を書いてもらう課題を出しました。課題提出もスマホから。

「この1ヶ月(3月2日〜4月7日の休校期間中)の自分自身の行動や気持ちを振り返って、いま思うことを書きましょう。」という問いに対して、それぞれの率直な声を聞かせてくれました。一部抜粋でご紹介します。

3月2日から休校になり、友達とも遊べないし いつもなら学校に行って勉強したりしてるけどそれも出来なくなりストレスも感じたし、 学校に毎日通い、友達と会えるのは当たり前じゃないって事が分かった。

正直に言うと、やはり凄く暇です。勉強勉強と言ってもやはり自分では中々動けずかといって強制されてもやる気が出ません、なので、僕は今記事の例にもあった通り、筋トレなど様々な過ごし方をしています、普段あまり出来ない事をしているのでどこか新鮮な気持ちです

テレビの中には、専門家とか大学教授とかの偉い人たちがどの番組にも出ていて、こうするべきだ、ああするべきだ、と偉そうに喋っています。そういう情報も大切だと思うけれど、私は、今はもっと、がんばろう!とか、ひとつになろう!とかそういうことを言って欲しいなぁと思いました。Twitterをみても、政府への誹謗中傷などで溢れていて、みんながみんな怒っています。私は、コロナウイルスの事でいつも不安になるし、嫌だなぁ、しんどいなぁという気持ちになりますが、どうしてしんどいんだろう?と考えたら、私はみんながみんな誰かに怒っているから、こんなにも辛い気持ちになるんだと思います。不安な気持ちをぶつけたくなる気持ちも分かりますが、受け入れて自分で行動を起こすことが今できることなんだと思ってます。

 

 続いて、「直売所、農家が存在感 消費者の食支える」(日本農業新聞、4/9配信)の記事を読んでの感想。

緊急事態宣言があり、自粛をしている中 自粛をする家庭を支えるために直売所を利用してもらい安心安全な野菜を届ける農家さんに、カッコよさを感じる!

コロナウイルスの感染拡大が世界中であるいま世界の物流にやはり一番の影響がありその中でも食料についての物流が一番私たちの生活に影響が出るのではないでしょうか。いまの時期に国内での食料自給率をあげていかなければいけないのでは?と私は思いました。

食べることはどんな状況になっても必要なことなので、無くなることは想像し難いけれど、無くならないことの裏には農家の方の努力があるのだと気づきました。一見新型コロナウイルスと農業は関係がないように思うけれど、外国からの輸入が減ることで国産の物や地元で栽培された物の需要が高まっているようです。 今まで、日本では食料自給率の低下が問題であると様々なところで聞きました。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化している中では少し不謹慎かもしれませんが、この機会に国産の物や地産地消に目を向け、食料自給率を上げられるようにするのもいいと思いました。

特に2年生たちからは食料自給率の問題に触れた声が多かったので、この話をもっと深めてみようと、翌週にはクラスメイトから出た疑問を紹介する形で、農業従事者の低下の現状やこれからの私たちの食生活についてさらに考えていきました。

今の日本の食料自給率は37~38%で 世界で見ると最下位に近いです。 (ちなみに徳島は43%) 原因としては日本人の食生活の変化があたります。 元々、米主食だったのが戦争後欧米風になって行くにあたりパンや海外産の肉などの輸入なので食生活が変わっていき今のような状態になっています。 これから食料自給率を上げるには? まず、日本各地に沢山ある耕作放棄地を蘇らせることが重要になってきます。そうすれば最大限に活用をすることができます。 次に、農業生産力の向上です。 農業をする人口の現象&高齢化。 この中でどれだけ生産力を上げることが出来るか。 農作業の省力化&効率化することや5Gが主流になろうとしてる時代ICTやAIなどが注目されてくるでしょう このまとめた文から自分は食生活が変わったことは仕方ないけど耕作放棄地をよくできると今まで海外に頼ってた食物が自分たちで作れるようになる、更に省力化&効率化されることで尚更作りやすくなると思うがただ、これをするに当たって管理費や、耕作放棄地を蘇らせる、ITを取り入れる時間などが多く時間を取ることが問題かと思いました。
 

中国はアメリカに次ぐ第2の食料供給地でその中国がコロナで移動制限などで食材の収穫、流通が滞り輸入が大きく落ち込み、ネギ、ニンジン、ゴボウ、キャベツなど8.9割減となり、価格も上昇し、仕入れ値は一時的に通常の7割高という、先行きは中国国内の状況次第で不透明らしく、コロナの影響は体だけでなく、食料にまで影響が出て来たなと思いました。スーパーなどで野菜や米など値上がりしたり、品薄になったりしないのかと思いました。そして身の回りで、よくメイドインチャイナを見るので食材だけでなく、色々なものに影響がでるのでは思いました。
(参照URL:東洋経済オンライン、『コロナショック「食の中国依存」露呈した危うさ』

日本に輸入してもらっていたものが停止になりつつある。 以下のものが例。 ロシア 4月~6月の小麦を700トンに制限。 カザフスタン 小麦粉など4月15日まで禁止。 ベトナム 米の新規・契約を停止。 カンボジア 4月5日から米を停止。 インド 米や小麦を制限。 ウクライナ 小麦などを検討中。 セルビア ひまわり油などを一時的に停止。 自分が思うにこのままコロナが拡大し治まらない状態になるとしたら絶対的に食料の輸入がこれ以上にもっと減少していくと思う。そーなると日本全員の食料品がなくなってしまうと思う。拡大をふせぐ一人一人の行動でどうなるか、これからが変わっていくと思う。本当にそーなってしまった場合は今の段階から自分たちで野菜などの食料を育てたり油や米や小麦などを考えて使うことが重要とされると思う。
(参照URL: 日本農業新聞、『新型コロナ拡大で食料生産国 自国優先し輸出制限』)

現在のコロナウイルス拡大の状況の中で、 世界の食糧貿易に影響が出て、自国を優先し 輸出を制限する、というニュースを見ました。 当たり前だと思いました。 輸入に頼っていた事って危険な事だったんだなぁと思いました。 ですが、反対に、米国、カナダ、オーストラリアは輸出制限に反対をしているそうです。 全体的に見て輸出制限は無用な混乱を招いていて危ないです。 食糧不足というと、2008年の米騒動を思い返す方もいらっしゃると思いますが 今の私たちの状況は、「不作」ではありません。 「雇用者や、物流の問題」です。 世界中に穀物の在庫はあるそうです。 コロナ以前の社会は、グローバルということが 美徳であるかのように扱われていましたが、 これからはローカルの時代になっていくのかもしれないです。 私はこの情報を見た時、まさに神山!と思いました。 特にフードハブの地産地食のような取り組みのが 目立っていくのかなーと思います。
(参照記事:CUBE MEDIA、『コロナによる食糧不足 なぜ起こるのか・影響範囲は?』

生徒たちが提出してくれた内容はお互いに見えるようにしています。それは、同じ記事を読んで抱く感想の違いや、調べた内容の多様さを感じ取ってもらうため。
オンラインながらお互いのコメントに触発される様子を見て、「生徒同士で学んでいるなぁ。」とつぶやく先生たち。

 

そして、こちらがまめのくぼの様子です。小麦がふさふさ、雑草もふさふさ。
生徒たちと行なう予定だった草抜きができず、普通科の先生たちも駆けつけて先生みんなで作業。日差しも厳しくなってきました。


生徒たちに様子を届けるため作業中の先生にカメラを向けると、「はやく学校に来て。君たちの力が必要だ。まじで。」と愛のメッセージ。

 

翌週はライブ配信に挑戦。午前中に配信することで、生活リズムを整えてもらいたいという思いがあります。

2、3年とも視聴率はだいたい6〜7割。見逃した人はアーカイブで見てもらいました。

普段は動画で見て課題をやってるけどLIVEはLIVEで実際に授業を受けてる感じがして良かったです!!!

いつもの授業より 新鮮な感じがした。ライブ配信の後 (課題提出が)LINE感覚なので自分の意見も返答しやすいと思った

11時に見えない人がいるからライブじゃない方がいい

話が長い、新たなやり方で凄いとおもった

前置きがもう少し短いともっと楽しく見ることができた

はい、話長いおばさんですみません。汗

 

奇しくも、ライブ配信をした日のちょうど3年前は、神山創造学がスタートして初の授業をしていました。

時代も変わって、授業も変わって、私たちも変わっていくのね、なんてちょっと感傷的になってみたり。

 

オンラインで全てが代替できるとは全く思っていません。できるのは、これまで培ってきた土台のもとに今できることを重ねていくこと。ワイヤワイヤとやっていきましょう。

明後日と来週は登校日。みんなに会えるのを楽しみにしています。

 

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森山 円香

岡山出身。 2016年4月〜2022年5月まで、神山つなぐ公社でひとづくり分野を担当。NPO法人まちの食農教育の理事をしています。 このまちに来て、石を積めるようになりました。(でもまだまだ)

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