【神山校石積み実習】どこででも学べる時代に、ここでしか学べないことを

学び2021年2月11日

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投稿者:森山 円香

と、大きく出たタイトルにしてしまいましたが、
神山校での石積み実習を今年も行ないました。舞台はまめのくぼ。
講師は毎度おなじみ、石積み学校の金子玲大さん。もうかれこれ4年目ですよ。


今年の獲物はこちらです。縦1.5m×横4mくらい。草に覆われて石が見えない状態ですが、すこし膨らんできています。左側はコンクリートブロック。

崩し切った状態からスタート。約3時間×2日で完成させます。

1日目。
掘りが少し浅かったので、つるはしやシャベルを使ってしっかり掘ります。

積み方のレクチャー。控えの長さと面の厚さからツラ(表面側)を決める、奥に重心が行くように後ろ下がりに置く、石を置いたら後ろにグリ石を入れて安定させる、など。
ボーイズ、「?」が頭に浮かんでいます。

積み作業と同じくらい大事なのが、グリ石を集める作業。
用意されていたグリ石が大きかったので、割って使います。

 

1日目終了。だいたい半分積めました。

2日目はもう一つのクラスにバトンタッチ。
この日は朝から気温が低く、霜が下りて石がキラキラ光っていました。

安全面の注意事項と積むときのポイントを伝え、早速作業スタート。
どんどん積んでいく生徒たち。
あーでもない、こーでもない、と石の置き方について話し合ったり、
「ぐり石くださーい!」「はいよー!」と呼びかけあったり。石を通じたコミュニケーションが展開しています。

クラスが変わっても必ず現れるのが、グリ石と戯れる男子たち。

様子を見に行くと・・・

なんと、ミニチュア石器をつくっていました!なかなかのクオリティ!

 

こちらは休憩時間になっても手が止まりません。

金子さんはというと・・・

親が35歳です、という生徒の言葉に衝撃を受けたらしく、
ロックバランシングで精神統一中。

晴天。石積み日和です。

後半、慣れてきたのか作業のスピードがさらに上がり、
余ったグリ石を集めたり砂山をならしたりして・・・

・・・完成!
\パチパチパチパチ​/

 

Before

After

 

午後は2クラス合同で振り返り。
自分たちの作業内容を振り返って、疑問や金子さんに聞いてみたいことを出し合います。

質問が出る出る。
「こんなに質問くるとは思わなかった」と焦る金子さんの図。

石積みの役割、積み方、歴史、金子さん自身のことなどなど、たっぷり話してもらいました。

生徒たちの書いた感想を読んでいると、「グリ石」の存在が印象に残っている子が多くいたようです。普段、見えないところですもんね。
ちなみに、漢字では「栗石」と書くそうです。でもその意味するところは金子さんもよくわからないそう。どなたか、ご存知ですか?

感想を少しのぞいてみましょう。

「登校中、散歩中、歩いているとよく石積みを見かけます。よく登っていました。思った以上に考えて積んでいたのでびっくりしました。」

「適当に乗せたらいいと思っていたけど、ちゃんと乗せないといけないのは初めて知りました。じいちゃん家でも手伝っていきたいです。」

「実際に体験すると、思ったより大変でした。大きい石だけだと思っていたのに、『グリ石』という小さい石も使ったので大変でした。下に大きい石を積んで、上に行くほど小さい石になるようにしました。その組み合わせ方も考えながら作業していると、分からなくなるほど難しかったです。(略)小さい頃に石を積んで遊んだ記憶があって、その時とは全然次元が違ったのでびっくりしました。」

「石を運んだり積んだり、とても大変で疲れるけど、完成したとき気持ちいいなと思いました。」

「今日私たちの完成させたものがずっと長く残ってほしいなと思います。」

「色んな地域や外国での石積みを見たけど、地域によって石積みが全然違った。石の積み方によって個性が出ている。楽しさやおもしろさ、大変さがとても分かりました。」

「石積みは今減少傾向にあると知って、少しでも多くの人が協力してくれると願おうと思った。」

石を積む、という一見すると地味な肉体労働の裏には、ものすごい価値があって、でもこのままだと失われかねなくて。世界に目を向けると、持続可能性の観点から再評価される動きがある。
自分たちの手でつくったものが景観となり、この先50年、いや300年以上も続いていく。
この奥行きと時間軸に私自身がハマってしまっているんですが、どうなんでしょうね。マイナーなのかしら。

石積みに限ったことではなく、手を動かしたからこそ分かること、物の見え方が変わることってたくさんあると思うんです。ここではそういった経験や機会を積み重ねていきたいものです。

 

それにしても、石を積める高校生って、日本中、いや世界中探してもそんなにいないと思うんですよ。

金子さんの次なる野望は、石積み甲子園。ぜひ、やりましょうね。

 

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森山 円香

岡山出身。 2016年4月〜2022年5月まで、神山つなぐ公社でひとづくり分野を担当。NPO法人まちの食農教育の理事をしています。 このまちに来て、石を積めるようになりました。(でもまだまだ)

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