「町の人たちが混ざり合う場を作りたい。」あゆハウス生と神山まるごと高専生が力を合わせひらいた、えんがわ七夕祭り。
なんでも2023年7月23日
7月7日(金)の夜にひらかれた「えんがわ七夕まつり」
神領・寄井にある会場のえんがわオフィスには、開始から1時間後の18:00時点ですでに人、人、人…!小さな子どもたちからご近所のおとうちゃん、おかあちゃんまで。梅雨の湿気にも負けず、活気にあふれていました。
飲食店の方々はじめ町内のみなさんにより提供されたフードやドリンクの数々が並んだほか、学生企画のフェイスペイントサービスや、DJパフォーマンス、子どもたちによるブレイクダンスにビンゴ大会、銭太鼓、そして阿波踊り…と、お楽しみ要素はこれでもか!というほどてんこ盛り。
企画・運営したのは、神山で暮らすあゆハウス(*1)生と、「一緒にやりたい!」と手を挙げた4人の神山まるごと高専生(以下、高専生)たちでした。
*1 あゆハウス…城西高校神山校に通う生徒のための町営寮。「神山校で学びたい」「神山で高校生活を送りたい」と意思を持って町外・県外から神山へやってきた寮生が暮らす。
地域の方と集う場として、えんがわオフィスで働くみなさんが始めた七夕祭りのバトンを、彼らはどんな風に受け取ったのでしょうか。
当日までの歩みや終えた今感じていることを、中心となって動いてきた3人に伺いました。
●話を聞かせてくれた人
お祭りの統括リーダー 大東伊織(あゆハウス 3年生/以下、いおり)
縁の下の力持ちなピンチヒッター 片桐理乃(あゆハウス 3年生/以下、りの)
高専チームのリーダー 菊井福音(神山まるごと高専 1年生/以下、ふくね)
去年は「えんがわ秋祭り」という形でお祭りを開催していたよね。
いおりそうですね。当時3年生だったあゆハウス生の”すなっち”が、神山を離れる前に「お祭りをしたい!」って。それで、えんがわオフィスのみなさんと交渉し、コロナ禍以前に開催していた「えんがわ七夕祭り」をあゆハウス企画として復活させてもらいました。七夕じゃなくて、秋に開催したから「えんがわ秋祭り」。
▲インタビュー時に撮影できなかったため、七夕祭り当日のいおりをこちらに。味のある顔してるねえ〜
今回、ふたたびあゆハウス主導で「お祭りを開催しよう」となった、きっかけは?
いおり秋祭りを開催したあとにいろんな人から「またやってほしい」って声をたくさんもらっていたし、僕たちもまたお祭りをしたいなって思っていました。そしたら、「今年も、お祭りしない?」ってえんがわさんから提案があったんです。
僕自身は、去年は企画の中心メンバーではなかったけど、当日、会場でいろんな人が混ざり合っている状況が「おもしろいなあ!」ってすごく印象に残っていて。「次は自分も場を作る側になりたい」って思っていたから、「やります!」とやる気満々で返事しました。
▲昨年の秋祭りで、会場の装飾をするあゆハウスメンバー(写真左から:菊ちゃん、いおり、ようたろう)
まず話し合ったのが、コンセプト。決まったのが「町の人と、あゆハウス生と、高専生が繋がれる」「町の人同士も、織姫と彦星みたいに繋がれる」場にしようということ。そこから、フードやドリンク、ステージなど、誰に、何をお願いするか決めたり、チラシを作って配ったり、装飾をどうするか考えたり、あとは、えんがわさんとも打ち合わせをするなど、本当にいろいろなことをしました。
▲えんがわオフィスに集まって、必要な物の確認など事前打ち合わせも実施。
今年は高専生とも一緒に運営をしたんだよね。
いおりそうです。あゆハウスと高専生の交流会をしたときに「七夕祭りをひらくよ」って話をしたら、何人かが「おもしろそう!」「参加したい!」と言ってくれて。「それならもう、一緒にしよう!」ってことで、共同で企画・運営することになりました。
高専からは4人が企画チームに加わって。連携するのにリーダーがいるといいよね、って話してて手を上げてくれたのが福音さんです。
ふくねわたしは、あゆハウスメンバーとのミーティングに参加したり、そこで決まったことを高専の子たちに伝えたりしていました。あとは、必要なものを確認して買う、ということもあったけど、予算内に収めるためには?ってめっちゃ考えて、計算しまくって。苦労しました。
お祭りに参加することはこれまでもあったけど、自分が開催する側にまわるのは初めてだったので、「こんなに大変なんだな」って実感しました。
いおり僕も、ここまで大きな規模のイベントでリーダーをするのは初めてだったので、めちゃくちゃ大変でした。全体を見て、指示を出して、っていうのが難しかった。自分の力だけでは限界があったし、ハウスマスター*2とか、周りの寮生とか、高専生とか、いろんな人のサポートのおかげで「なんとか開催できた」っていう気持ちです。もう頭が上がりませんね、本当に。
*2 ハウスマスター…あゆハウス生の暮らしをサポートするスタッフ。
当日に向け、準備が難航しているなか”ピンチヒッター・りの”が登場したんだとか?
いおりそう。お祭りの直前に、僕が体調を崩して、でも当日に向けてやらないといけないことはたくさんあるって状況で「はああ、無理い!」ってなって。その時に助けてくれたのが、りのでした。もう、本当に、りの様々です。
一同笑
りの私は今、あゆハウスを出て下宿をしているから、お祭りの企画にはあんまり関われていませんでした。でも、ずっと「関わりたい!」と思ってた。「手伝って欲しい」って言われた時はすごく嬉しかったです。
直前の参加だったけど、そこから当日までのやることをリスト化したり、みんなに情報を共有する資料を作ったりしました。去年もリーダーのすなっちと一緒に中心になって動いていたし、これまでもあゆハウスでのイベントで運営を担ったことがあるから、その経験が生きました。生きる場をあゆハウスメンバーのみんながくれたなって思う。
みんなで企画をして、お祭りを開いて、あゆハウスでぎゅっと一つになれる瞬間に、自分が立ち会えたことはすごく嬉しかったな。
ちなみにそれは、お祭りの何日前のこと?
いおりお祭りの、10日くらい前だったかな。
すごい直前だ!もう、救世主だね。
いおりそう。救世主。もう本当に、りの!ありがとう。
▲裏方だけでなく、お祭り当日もビンゴ大会の司会を務めたりと大活躍でした。(写真中央右、モニター横に座るのがりの)
印象に残っていることはある?
僕は、準備の段階でいろんな関係性が生まれたのが印象的だったかな。
出店をお願いしに下分加工所で活動する粟飯原さんの家を訪ねたら、話しているうちに、家にあるタブレットとアプリの使い方がわからんって話になったんです。「じゃあ、一緒にやってみましょう」って、Wi-Fiの設定をしたり、アプリの操作を教えてたりしていたら、その流れで”神山町芸能大会”の動画を見ることになって。
動画を見ていて目についたのが、”銭太鼓”の演奏でした。「すごい!これは、お祭りで披露してもらったら楽しそう!」って思ってそれを話したら「この人たち知っとるけん、紹介するよ」って。粟飯原さんが銭太鼓を演奏する方々と繋いでくれた。それでお祭り当日に、実際に披露してもらうことができました。
お願いした人から連鎖的に他の人に繋がっていく、っていう人と人との繋がりを感じられて面白かったです。
▲当日に披露された、銭太鼓の様子
ふくね私はお祭りの最後の阿波踊りが印象に残っています。高専生は踊らないかなって思ってたけど、みんな結構一緒になって、踊ってて。
高専生は、踊らないと思ってたの?
ふくねはい。思春期だから。みんな照れて踊らないかなって。でも、意外とみんな踊ってた。その光景を見て、高専もどんどん町に入っていってるなって感じました。その場にいる人みんなで輪になって踊っている姿は見ているだけでも楽しかったし、徳島に根付いているこの文化をずっと残していきたいなって思いました。
こうして改めて七夕祭りを振り返ってみて、感じることを聞かせてください。
ふくね企画の部分では、あゆハウスの人たちに任せすぎてしまったなって、申し訳ない気持ちがあるけれど、こんなにたくさんの人を楽しませることができるんだ、っていうのを実際に体験できて、すごく楽しかった。また次もしたいな。来年は、当日会場に遊びに来ていた子も企画側に誘ったりして、高専チームのメンバーをもっと増やして、一緒に盛り上げていきたいです。
りの七夕祭りの開催を喜んでいる、っていう地域の人たちの声をたくさん聞いていた分、楽しませなきゃ、頑張ろうって思ってた。でも、その前に、企画しているあゆハウスや高専のメンバーみんなが楽しめている状況が理想だったから、それができたのはすごく嬉しかった。
できなかったこと、うまく進まなかったこと、反省はあるけれどそれはそれとして。お祭りを通じて、あゆハウスの良さを改めて感じたし、神山の良さも改めて知ったし。いろんな良さに気付けたイベントでした。来年は遊びに来たいなって思います。
いおりやっぱり難しいなって感じることは多かったし、もっとうまくできたなって部分もあったけど、最終的には、地域の人と、あゆハウスと、高専生とが一緒になって、一つのお祭りができて。いろんな人が交流できる場になったってことがすごく嬉しかった。
本当は来年もまた企画したいけど、留年したらきっといろんな人に怒られるから…。遊びに来ます。来年も再来年もお祭りが続いていって、神山の一つの文化になったらいいな。
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