0704 #神山の伝統・文化に触れる日〈鮎喰川コモン〉

学び2024年8月7日

投稿者:もくもく編集局

はじめに
突然ですが、
―みなさんは鮎喰川コモンのロゴマークを見たことがありますか?
コモンカードに印刷してあったり、コモンハウスの入り口の表札にもあったりと
「見たことあるで!」という方もいるのではないでしょうか。


では、またまた質問です。
―このロゴマークがどんな意味を持っているのかご存知ですか?
 
このロゴマークは、
鮎喰川コモンに集う人々の「触れる」「重なる(混ざり合う)」「ひとりの居場所」
という関係性を、抽象的に描かれた自然の中の石を用いて表現されています。
 
なんでロゴマークの話をしたん?…という声が聞こえてきそうですね。
今回、「神山の伝統文化にふれる日」という企画を7月4日(木)に開催しました。
たくさんの方にご協力・ご参加いただきました。
まさにロゴマークの意味通り、
伝統文化や思いに「触れる」、様々なひとが「混ざり合う」、それぞれの「居場所」として
過ごしている姿をたくさん見ました。

 今回のレポートでは、企画に対するわたしたちの思いや、
ご参加・ご協力いただいたみなさんの当日の様子をお伝えできればと思います。
 


わたしたちの思い

神山町で暮らす。

 

暮らしてはいるけれど、いつもやりとりをするひと以外で
どんなひとが住んでいるのか、知る機会は意外と少ないですよね。
私たち人間は、生きていくうえで様々なものをラベリング(分類)する癖があると
どこかで聞いたことがあります。そのほうが考えるのが楽ですからね。

「りんごは果物」「ウサギは動物」という風に、
「子どもは○○だ」「大人は○○だ」「高齢者は○○だ」…などと
無意識のうちに分類をしているのかもしれません。
ただ、関わることや場を共有することで、
ラベリングされたひとの中にも、様々な思いや性格のひとがいることがわかった
という経験がある方もいるのではないでしょうか。

 わたしたちは「神山の伝統文化にふれる日」を、伝統文化にふれつつ、
「それぞれの生活を過ごしているけれど、神山町という場を共有している感覚」、
「あのひと元気かなとふと思い出す何気ない日常」
そんな雰囲気が人々の中で実現できればと考えました。
お互いを知ること・つながることへのきっかけの一歩として
みなさんの心に残ればと感じています。


世代を超えて、枠を超えて

「暑いなあ。」

梅雨の晴れ間。
湿度も高く蒸し蒸しとした暑さの中、
「神山のお父さんお母さんから学ぼう」
「子どもの遊び編:コマ回し ジャグリング」企画のため、
老人クラブの皆さんが子どもたちへのプレゼントを抱えてコモンハウスを訪れました。

「(お菓子の)数いけるかなあ。」
「ちょっと練習しとくで。」

少しソワソワしているお父さんたち。
コモンハウスの中の様子を見たり、外へ出てコマ回しの練習をする姿がありました。
通りがかりの子どもたちが、回ったコマを手に乗せるお父さんを見て目を輝かせています。

「…かっこいい!!」
子どもたちの期待が膨らむ様子がわかりました。


お父さんたちからの自己紹介の後、はじめの掛け声がかけられます。

「コマ回ししてみたい人~!」
少し様子を見ながら…「やりたい!」




お父さんたちの元へ駆け寄る子どもたちのまなざしは、
少しの緊張を含んだ期待のものでした。
一方、お父さんたちのまなざしはとてもやさしく、
すぐに子どもたちもリラックスしたように感じます。

「少し濡らしたタオルで紐を拭くと巻きやすいけんな。」
「コマを手に乗せる前に、お盆に乗せる練習をしてみ。」

お父さんたちの的確な助言に、子どもたちは一生懸命、でも、楽しく実践していきます。
お父さんたちが子どものころに試行錯誤して編み出した方法を、
子どもたちが吸収していました。

次第に子どもたちが自ら、
「コマを手に乗せる方法を教えてください!」とお願いができるようになりました。
「ええよ!!」と、お父さんの元気な返答に、子どもたちもスタッフも元気をもらいます。

「あー!!惜しい!!!」
お父さんの本気のリアクションから、
真剣に子どもたちと関わられていることが伝わりました。

はたまた、穏やかに教えるお父さんや、一人一人に合わせて声掛けをするお父さん。

「こんな感じ?」
「そうそう!できた!」

お父さんと子どもたちが「うれしい」「楽しい」という気持ちを共有している様子が、
コモンハウス内にやさしい雰囲気を伝えました。

 


一方、ジャグリングなどの大道芸では、見慣れない道具に子どもたちは興味津々。
様々な技が披露されました。

しばらくしてから、館内では手狭だったので
外で技を見たり、練習をしたりすることになりました。

様々な道具に触れられることで、子どもも大人も楽しめる空間が生まれました。

でも、中には、輪に入りにくい子や、気になるけど圧倒されてしまうという子も。
そんな中、山下さんから「やってみる?」のひとこと。

徐々に張り詰めた糸が解けて、チャレンジできるようになりました。

『やってみて、できてうれしい。』
表情からそんな声が聞こえるような気がしました。
他のだれかと話せるきっかけにもなったように感じます。


また、コモンハウス内が普段の様子と違うためか、最初は少し疲れている様子の女の子がいました。
しかし、穏やかに関わってくれるお父さんとの距離感が心地よかった様子。
長い時間を共有していました。


今回、世代や枠を超えて、お父さんや子どもたちがお互いを知り、
つながり合う優しい雰囲気が生まれました。
すてきな雰囲気は、
お父さん方はもちろん、
有志の草履づくりのみなさん、
おやまキッチンの秋山さんとEncounterCoffeeの大脊さん、
そして寄井座ジュニアの皆さんがいたからこそ作り上げられたものだと感じています。
ここからは、そんなみなさんの様子をお届けします。


ともにつくる

午前中、前回参加された方を中心に草履づくりがスタート。
みなさん、当日ご不在だった松本さんのことを想いながら草履を作り込んでいる様子でした。

🌲以前開催された草履づくりの企画については、以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.in-kamiyama.jp/diary/80581/


草履づくり未経験で、海外から短期留学でやってきた女の子。
前回参加された町内の方や、
老人クラブのコマ回し企画でも登場する河野敬誠さんからレクチャーを受けながら
草履づくりに取り組みました。


和気あいあいとした雰囲気が印象的でした。


たべものでつながる

企画当日、大きな荷物を搬入される方の姿がありました。
コモンハウスの台所の戸を全開にし、机を置き、商品のディスプレイやメニュー表を置いて…
ついに7月4日限定のコーヒー屋さんとパン屋さんが開店されました。

1店舗目は、EncounterCoffeeの大脊さん。コーヒーなどの飲み物の販売です。

2店舗目は、おやまキッチンの秋山さん。珍しい生米パンの販売です。

「この二つのお店で化学反応が起こりそうな予感!」
すてきなお店を前に、スタッフもワクワク。
この後来館される皆さんにおすすめをお伝えしたくて、ちょっぴりお先にいただきます!
…めちゃくちゃおいしい!!午後からの活力になります。

「はじめまして」
「今日はよろしく願いします」
出店のお二方、初対面だったようで、お互いのコーヒーやパンを楽しまれていました。

開店してからしばらくして、子どもたちが小学校から帰ってきました。

「え、もう買っていいの?」
「どうぞ!なににしますか。」
「なににしよう…?」
なにやらお小遣いを手に慎重に買うものを選んでいる様子の子どもたち。

「ん~…ベーコンエピください!」
「はい、わかりました!」
秋山さんへしっかり伝えられたようです。


中には、年上の子と注文の練習をする子も。
それをあたたかく見守る秋山さんと大脊さん。
みんなちょっとずつお兄さん・お姉さんになっていくね。

 
小上がりや外に設けられた休憩スペースでは、
ちいさな子と保護者の方が絵本を読んだり、
ジャグリングを見ながらパンや飲み物を楽しんでいました。

しばらくすると、町内に住む寄井座ジュニアの先生がお店の前で立ち止まりました。

「これお米から作っとるん?」

生米パンを介してやりとりが生まれていました。


丁寧に作業をされる大脊さん。美味しい飲み物にみなさん舌鼓を打たれていました。
暑いときにぴったりの飲み物から、深い味わいのコーヒーまで販売されています。

おいしさがこちらまで伝わるみなさんの笑顔が印象的でした。

飲食を通して、企画を盛り上げていただきました。
おいしいものを口にすると、こころもからだも元気になりますね。

 



人形浄瑠璃で ひろがる

寄井座ジュニアの練習拠点であるコモンハウス。
練習時間になると続々とやってくる大人や、小学生~高校生の子どもたちの姿がありました。
7月21日の本番に向けて練習しているとのこと。
本番直前の大事な時期に観劇できるとあり、
観客のみなさんも大変楽しまれている様子でした。


カンッ  カンッ  カンッ
と、リズムが刻まれ、そのリズムに合わせて子どもたちの声が通ります。
そこへ、人形や船が登場。
扇や釣り竿などの小道具も見ることができました。

観客のみなさんは熱心に人形浄瑠璃に見入っています。
人形浄瑠璃の先生は、あたたかくも真剣な眼差しで子どもたちを見つめていました。


観客のみなさんの中には、外国から短期滞在をされている家族の姿も。

老人クラブのお父さんも、コマ回しの準備の合間に見学されています。

いつもと少し異なる状況の中、
演者である子どもたちの声や動きに熱がこもっているように感じました。

その熱につられて、近くで過ごしていた小学生の体が、
人形浄瑠璃の拍子に合わせて自然と動いている。


「いやあ、すごいなあ。わしも阿波踊りなら踊りこめるんやけどなあ。」
「え!阿波踊りできるんですか!」

寄井座ジュニアに触発されて、お父さんの阿波踊り魂も揺さぶられる。

「人形動かしてる子、とても高い下駄履いてるね!」と、
海外から短期留学に来た女の子と大人のやりとり。歴史や文化の話に花が咲く。

そして、人形浄瑠璃、終わりの合図。

たくさんの拍手が送られていました。

単純に人形浄瑠璃と言っても、演者、指導者、観客が関わります。
ここまで登場した方々を見ても、演目に対する思いや受け取り方、考えることは様々。
その思いや考えを他の人と共有することで、
知識や考え方などの新たな広がりが生まれるように感じました。


カテゴリーを超える


企画当日、いつもより多くの人々がコモンハウスへ訪れました。

子ども、大人、お年寄り、若者、日本に住む人、海外に住む人、女の人、男の人…など。

あえて分類するとこんな感じ。

その人のことを知らないとそれまでだけど、
それぞれの人にはきっといろんな思いや考え方、背景があります。

企画の最後。印象に残ったエピソードがあります。
 


楽しい時間はあっという間で、
コマ回しやジャグリングの時間に終わりが近づいています。

「また遊ぼうね」
「うん、また遊ぼう」

お父さんと子どもたちの会話からそんな言葉が聞こえてきました。

おそらく、毎日 会うことはないと思う。

でも、ゆるく、ながく、まちの中で関わり続ける。
次に会ったときに、「元気だった?」「コマ、うまくなったで?」と
お話ができるかもしれない。

ふと、「あのおっちゃん元気かな」「あの子らは中学に入学したんかなあ?」と
思いを馳せることができるかもしれない。

そんな、関係性が作られたのではないかと感じました。


この企画でできた関係やきっかけが、
まちの中で少しずつ心地よい雰囲気を作りだしてくれること願っています。

また、わたしたち鮎喰川コモンも、みなさんの思いに寄り添いながら、
一人一人の「居場所」として、
人々が「混ざり合う」場として、
思いや文化に「触れる」場として、活動していきます。

もくもく編集局

鮎喰川コモンで開催されるイベントや、催しなどの様子を記録・発信していきます。アカウント名は、コモンのゆるキャラ「もくもくん」に由来しています。

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