石を積める人が増えると
なんでも2020年2月29日
本記事はイン神山内の「ほぼ月報」という枠組みの中で執筆しました。2019年〜2021年までは神山つなぐ公社が「まちの様々なプロジェクトのいま」を、2022年以降は神山つなぐ公社とグリーンバレーで「神山に関わるみなさんと共有したいまちのできごと」をお伝えしています。
「石積み学校」*は、東工大の真田純子先生が徳島で教えていた頃に始まった、崩れた石積みの修復作業を通じて技術継承と景観修復を行う、一粒で二度美味しい活動。上勝町の地域おこし協力隊を経て、いまは京都に拠点を持つ金子玲大さんが引き継ぎ、全国各地で開催している。
「神山でも出来ないかな」と思った伊藤友宏さん(NPOグリーンバレー/移住交流支援センター)が彼らに相談。4年ほど前から不定期で開催されるようになって、各回十数名が参加。町外から宿泊で参加する人も多い。
〝◎腕力に自信がなくても大丈夫
石の持ち方や運び方にもコツがあるので、そんなに力はいりません。それでも運べないときは他の人に任せましょう。次の積み石やグリを準備する役回りも重要です。石積みはチームワーク!〟
公開版としては6回目になる神山の「石積み学校」が、2/10, 11に開催されている*。伊藤友宏さんに話を聞いてみました。(上の写真で右端のひと)
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──なにが、あなたを石積みに向かわせているのか?
伊藤 直してゆく過程が楽しいし、いい運動にもなるし(笑)。最初は吉野川市美郷の高開(たかがい)で開かれた「石積み学校」に、一人で行ってみたんです。4~5年前。
そのあと上分の江田集落(神山)で田んぼや畑を借りている植田くんらと話して、「石積み学校」を開いて崩れているところを直し始めた。金子さんに来てもらって。学びたい人が一定数集まるから、作業になるんです。
江田は菜の花を見にたくさん人が来るところだけど、それとまた別の人の流れが出来るし。地元の人にも「ありがとう」と言ってもらえて、つづいている。
──学校では、誰から教わっている?
伊藤 金子さんと、真淵清善さん。真淵さんは神山の土木工事会社(神領/司建工)で働いてきた人で、80代。初めて相談にうかがったとき「一回では終わらないよ」「そんなつもりだと、あまり協力する気にならない」と聞いて、これはつづけないとなと(笑)。
職人さんだから要求レベルが高い。「ワークショップで楽しく学んで」というノリにはなりづらいけど、僕も金子さんもとても勉強になっている。
真淵さんが働いていた司建工の社長さんは、仕事が忙しそうな時期でも真淵さんの参画に協力してくれて。別の土木会社(上分/西森組)も、板とか杭とか道具を自由に貸してくれて。僕らが使えるように、近くの資材置き場に別の工事で出た石を仮置きしていてくれたり。
若い人が農地を借りて作物をつくっても、地元の人の方が当然上手なので「めんどう見てあげている」感じになる。でも石積みについては、地元の人があきらめていた部分に手を入れてゆけるので、役に立てるし、応援もしてもらえるし。みんなハッピーなんですね。そこがいい。
──2/10, 11はどうでした?
伊藤 その前に2回作業をした石積みのつづきで、今回で一区切りついた。普段から水の流れがある場所で、作業はわりと過酷でしたね。
江田はもともと水の豊かな場所なので、積み直してゆくと、水が出て来てドロドロになることがある。今回はとくに程度が高くて最初の1~2段までが大変だった。その大変さを告知段階では伝えられていないという(笑)。イタリアで石積みしている人も参加していて、「安全管理が不十分」と指摘されました。あらためてゆきます。
つづけることで、〝一緒に出来る(石を積み直せる)人〟が増えてゆくといいなと思っている。昔はどこかが崩れたら出役(でやく)で集まって、自分たちで直すのがあたり前だった。そんな状況をつくっていけたらいい。
前回の参加者は、町内と町外がちょうど半々で。2月のわりと暇な時期で普段より余裕があったのかなと思うけど。これまでは町外から来る人の方が多かったんです。だから嬉しかった。
仲間が増えてゆくと、イベントにしなくても、直した方がいいところに普段からパッと手を入れられるわけだから。そんなふうになってゆけるといいなと思うんですよね。
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次回は江田のまた別の場所。茶畑の石積みを考えている様子。「秋口かなー」と話していました。
西村 佳哲
にしむら よしあき/1964年 東京生まれ。リビングワールド代表。働き方研究家。武蔵野美術大学卒。つくる・書く・教える、大きく3つの領域で働く。元神山つなぐ公社 理事(2016〜21)。著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『ひとの居場所をつくる』(ちくま文庫)など。
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