カナダ日記:アーティサンたち

なんでも2010年8月18日

クレア

投稿者:クレア

地元のCrawford Bayは10年前ぐらいまではゴルフ場が目玉だった。カナダのゴルフのシーズンは長くても4月から10月ぐらい。観光客がいる間に地元の人がゴルフ場のレストランなどでバイトして、冬は社会保険のお世話になる、という繰り返し。あまり豊かになれるような暮らしでもない。 町に来る人も、ゴルフとご飯が終わったら、することもそれほどなかった。もちろん大自然があって、湖で泳いだり、山でキャンプしたりできる。でも都会人の趣味である「お買い物」はなかった。でも、ちょっと待って。確かに鍛冶屋さんはあったよね。そして、伝統的なほうきを作っている夫婦もいた。そして子供が寝てから家の隅っこで織物や陶器を作って、クリスマス市などで売っている人も何人かいた。実はこの町に手で何かを作る人がかなり多かった。そしてちょっとずつ、それを町の売りにしようじゃないかという考え方になって、町のスーパーと郵便局がある場所(町の中心と言ったら大げさですが)の周辺でお店を建てたり、古いガススタンドや一戸建てをリフォームしてお店にしたりして、気がついたらCrawford Bayが「アーティサンの町」になってた。政府の方針でもなかった。助成金なんかほとんどない。「実は大きな企業のしわざ」的なオチもない。ほとんど(すべて?)のお店は経営者が現場にいて作業している。そしてそれがまた人を呼んで、陶芸家、石釜のパン屋、鍛冶の弟子、などなど、町が面白いところになってきた。もちろん冬は観光客はほとんどないけど、冬の間は夏のために物を作ったり、クリスマス市で売ったり、暖かい国やスキー場に避難(笑)したり出来る。いろんな意味で暮らしがゆたかになってきた。
今回の里帰りで町のアーティサンたちのお店を回って、いろいろ写真を撮った。みんな、作業しながらおしゃべりして、お客さんの質問に答えたり、作業の説明をしたりする。手作りの物を売っている店はどこでもあるけど、目の前で実際に作っている物が買えるのはなかなかないでしょう。

昔、ガススタンドと自動車修理工場だった建物が陶芸のお店とアクセサリーの二軒のお店になった。どっちも子育て中の女性オーナー、二人とも現場でレジの番をしながら作業している。

銀のアクセサリーを作るGaladrielさん。メキシコで技術を覚えた地元娘。

Galadrielさんの作品の一例

「自分のビジネスがなかったら、この町に住めれない。だってレストランでバイトなんかしてもお金が絶対足りないし、一回自分の力でお金を稼いだら、また他の人の下で働く世界に戻れるわけないわ。いろいろ大変だけど、これが幸せかな?」と語る。

陶芸屋さんはこんな感じ。現場で作業している人もいるけど、家で作って、お店に持っていって売ってもらっている人もいる。

鍛冶屋の2代目の社長の夫のCoryさん。「アツイ鉄にアツイ男だろ?」とテレながらポーズする。

鍛冶屋のKootenay Forge は娘が跡継ぎになって、夫と二人で経営している。

織物屋はわら梱でできている建物。2階に事務所があって、鍼の先生や弁護士などが日替わりに借りて使っている。その家賃がまた大事な収入となる。

織物屋のBarefoot Handweavingは経営者のJanetさんがはだしではたを操るのが名前の由来。

Janetさんがはたに糸を巻く作業中。織る前の準備の段階。

子供たちの指を織って、はたの仕組みを説明する。

Barefoot Handweavingのお店の中。夫のTedさんのアート作品をたくさん展示している。

いつもお店に寄ると話が止まらなくてて帰りが遅くなる。今回JanetさんがOne Straw Revolution(わら一本の革命)を薦めてくれた。やっぱりみんないろんな事を深く考えている。おしゃべりが長くなるとソフィーに怒られるけど、地元の職人さんとのおしゃべりが本当に心の栄養になる。

こんなほうきを見るとまずハリーポッターを思い出すのはあなただけじゃないよー

21歳の夏休み、ここでアルバイトしてお金を貯めて、日本に行った。ある意味、このほうきで日本へ飛んだ、と言ってもいいかな?笑
このお店は North Woven Broom と言って夫婦の(織物のJanetとは別の)JanetとRobが経営している。今年の春からバンクーバーで娘2人ともう一人の友達が三人で別の名前(Granville Island Broom Company)でほうき屋さんを開いた。

これも静かな作業でお客さんがいない時はおしゃべりができる

ほうきを展示するためのフックは鍛冶屋さんの物。相互依存だね。

今回紹介したお店は全て歩ける距離に位置している。そして郵便局、小さなスーパー、信用組合、レストラン、キャンプ場、公園などもある。北米の車社会では人はあまり「歩ける距離」を大事にしなくなったけど、ここはわざとビルを歩ける距離にした。決めたのはお店の経営者同士。みんなに神山の話をしたら、ぜひ会って交流したいと言ってくれたけど、どうしたら合わせれるかしら??

クレア

クレア

徳島市に住んでいるカナダ人の翻訳・通訳家。ソフィーのお母さん。Pizzicato Five を聞いて日本語を覚えた。コーヒーとチーズとチョコレート大好き。ツイッターをぼちぼちやってます @clairetanaka

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コメント一覧

  • 「実はこの町に手で何かを作る人がかなり多かった。ちょっとずつ、それを町の売りにしようじゃないかという考え方になって、…気がついたらCrawford Bayが「アーティサンの町」になってた」!って、最高だな。 計画とかコンセプトより前に、人々と仕事があるのがいい。

    2010年8月18日 20:29 | 西村佳哲

  • なんて素敵な町なんでしょうか。 同じ雰囲気の空気が流れている所、日本にも他の国にもありそうですね。 ほうきや手作りのものたちが、ぐーんと遠くへ飛ばせてくれますね。

    2010年8月18日 20:57 | aiko

  • うわ~~。なんともステキ! 前途を照らすサーチライトみたいな記事。 そういえば、数十年前の上角商店街にも、 桶屋、傘屋、石屋・・・が並んでいたらしい。 「アーティサンの町」 ビビッときました!!!

    2010年8月19日 08:46 | 大南 信也

  • クレアさん。ディープな記事を、ありがとうございました。 見出し画面の「牛の角(つの)」 いい!おいらも欲しい! 神山の一歩先を行っているような町ですね。 歩いて行ける距離にあるのと、 皆が、「お金」の為に、「魂(たましい)」と「時間」を売っていない 感じがして、いい!

    2010年8月19日 23:56 | ニコライ

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