山あいのランドスケープ・デザイン会議 | SFC石川研「神山ひとまわり」展・ナイトイベント 4/4
- 場所:
- 神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス
- 開催日時:
-
2019年8月24日
19時〜21時
*当日の中継。録画データでご覧いただけます。(Periscopeアプリのインストール不要)
>前座/学生さんや石川さんの話(36m)
>本編「山あいのランドスケープ・デザイン会議」(2h05m)
慶應大学SFC・石川初研究室の3年間のフィールドワークまとめ展「神山ひとまわり」(8/18〜25、20日休)の夜プログラム。4夜連続の第4夜は「山あいのランドスケープ・デザイン会議」。ゲストに廣瀬俊介さんと、田瀬理夫さんを招いて開催します。
メインゲスト:廣瀬俊介(風土形成事務所)
聞き手:田瀬理夫(プランタゴ、神山町のあす環境デザイン共同企業体)、石川 初(慶應大学SFC)
補助: 西村佳哲
主催: 神山つなぐ公社、NPO法人グリーンバレー
開場: 18:45 *早めにご入場いただけます(駐車場の混雑が予想されるので早めに来て吉。このページ下部の追記情報もご覧ください)
参加費:町内在住者・出身者 … 無料
町外からおいでになる人 … 1,500円[Peatixで事前申込]
この夜のメインゲストは廣瀬俊介さん。東北芸術工科大学の建築・環境デザイン学科で10年ほど教えていた方で、先日別件で同校を訪ねたら、こちらはなにも訊いていないのに「廣瀬さんに教わった」「廣瀬さんの授業が心に残っていて」といった声を複数名の副手さんが聞かせてくれた。慕われています。
僕はここ3〜4年のお付き合いで、「こんな人がいたんだ!」と驚いた。驚きのあまり友人を誘って、彼の話を聞く2泊3日の滞在機会もつくった(集まった人も互いに、自分の仕事や考えを紹介し合う大人の合宿。楽しい。右端が廣瀬さん)。
その中で彼は、自分自身の仕事について「〝風景のなかの豊かな過去を、地域の未来に生かすこと〟をめざしている」と語り、たくさんの画像も見せてくれた。その話を、慶應大の学生さんや、その夜に集まる人たちと一緒に聞いてみたい。
「いま私たちが生きている世界の様を読み、いままでに何があってこうなっているのかがわかったところで、じゃぁそういう場所なのだから、これから自分たちはどうするのかということを考えたり、過去の出来事への愛着もみんなつなげて考える」
という自分の基本姿勢を、ポーランドの女性の詩人、ヴィスワヴァ・シンボルスカの詩も引いて語っていた。
〝束の間の一瞬でさえも
豊かな過去を持っている
土曜日の前には自分の金曜日があり
六月の前には自分の五月がある〟
〝この木はポプラ、何十年も前に根を生やした
この川はラバ川、流れはじめたのは
今日や昨日のことではない〟
ヴィスワヴァ・シンボルスカ『終わりと始まり』沼野充義訳、未知谷、1997 年、11-15 頁より
彼は相談をもらってある地域に入ってゆくとき、「手描きのスケッチ」という手法をとる。
「『あれがあるのは、これとの関係がこうだから?』という小さな事実を見る。それが地域の文脈でないか。〝文脈〟という言葉を使って文脈がわかった気持ちになっている日本の建築家やデザイナーが多くないかな、ということは批判的に思っています」
「『ここはこういう場所だ』と見定めたあとに、たとえば公園や道路、そこに合わせた空間や細部の形がつくれるのが本当じゃないかな。逆に言うと、それがわからないのにどうして空間や建物の形をつくれるのかと思う。『その形、任意すぎませんか?』と思うことがあります」。
手厳しいけど、真剣ということだし、その真剣さをご自分の仕事に向けてきた事例も数多く見せてくれた。たとえばその一つは、岐阜の飛騨市旧古川町で重ねてきたもの(2000〜)。
「ここは1999年と2004年に豪雨災害があった。1999年の災害の翌年から呼ばれました。『長期的かつ本質的に地域の将来構想を立てたいので、地域の調査から協力してほしい』と役場の農林課の方に頼まれて。その人はいま52か53歳。農水省で働いていた方で、この土地の出身で。故郷のことがいろいろ心配になって戻ってきたという、たくさんの法律や行政上の知識をお持ちの方でした」
廣瀬さんは景観をその地域の生業、土木・建設工事、生活文化、自然基盤を横断して捉え、理解し、具体的なデザインに落とし込んでゆく。なので調査に2年くらいは必要になると聞かせてくれた。
その上で彼から出てくる提案は「当面使えれば」という局所最適解でなく、長いスパンで価値を積み重ねてゆくものになるでしょうから、そもそも、そんな仕事を発注している行政側の人物がすごいなと思う。
でも彼は古川町に限らず、いくつかの地域行政と仕事をしているんですよね。日本の隅々に、頑張っている人たちがいるんだな。
東北芸術工科大の立地性もあってか、震災のあと、国がズンズン進めた防潮堤工事に対する地域ごとの営みや景観を損なわない代案づくりにも、相談をもらって何カ所かかかわっている。西日本の沿岸部につながる建築家、ランドスケープデザイナー、土木関係者、そして沿岸部にお住まいの方々と彼の体験談を一緒に聞けるといいな。
廣瀬さんの屋号は「風土形成事務所」。「風土の成り立ちの理解の上に、 そこでの暮らし方や働き方を、 そのよさを引き継ぎ、いまより増して次代に受け渡す」という想いがある。仕事場は市川と益子に。市川はこんな感じ(Tweetより)。
まちへのギフトというか、誰かが活けてくれた卓上の野花のよう。こんな細部をお持ちの方です。
先に書いた大人の合宿で、廣瀬さんの話を一緒に聞いたメンバーに、同じくランドスケープ・デザイナーの田瀬理夫さんと、石川初さんがいる。田瀬さんも神山/大埜地の場所性を汲み、それができて育ってゆくことで景観が、ひいてはまちの価値がより増してゆく設計(大埜地の集合住宅)をつくり、少しづつ形になっています。
メインの語り手は廣瀬さんですが、田瀬さん、そして石川さんの視点も交えて「山あいのランドスケープ・デザイン会議」を開く。4夜の千秋楽を、ご一緒しましょう。
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慶應大学SFC・石川初研究室 「神山ひとまわり」展 特設サイト
ナイトプログラム:4夜
8/21(水)神山の昔の写真 ドドンと大投影会
8/22(木)日本の〝千年村〟の話
8/23(金)神山に3年通って:石川初 語り下ろし
8/24(土)山あいのランドスケープ・デザイン会議
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【8/20 追記】
早めの来場のお薦めと、駐車場の情報
・プログラムは19時スタートですが、会場には昼から入場できます。よろしければ早めにお越しください。
・早めの来場をお薦めしたい理由の一つに、駐車場のキャパシティがあります。直前の到着で、駐車場(30台少々)が満車だった場合、サブの駐車場に車を置いて戻ってくるのに、最短で30分ほど要すると思います。
お薦め:
・18時以前に着き、席もとって、ゆっくり展示を見ながら開演を待つ
コーヒー(豆ちよ焙煎所)とパン販売(フードハブ/かまパン)が出店予定です
・到着が18時を過ぎる人は、駐車場が満杯の可能性もあるので、下図のサブ駐車場に車を駐めて、歩いて来る
A)えんがわ 第1駐車場 … 徒歩17分
B)えんがわ 第2駐車場 … 徒歩18分
C)神山町役場 一般駐車場 … 徒歩20分
*サブ駐車場の位置は下の地図をご覧ください
*予定通りの時刻に開演します
公開日:2019年7月26日
西村 佳哲
にしむら よしあき/1964年 東京生まれ。リビングワールド代表。働き方研究家。武蔵野美術大学卒。つくる・書く・教える、大きく3つの領域で働く。元神山つなぐ公社 理事(2016〜21)。著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『ひとの居場所をつくる』(ちくま文庫)など。
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