アーティストインタビューKAIR2018

カリン・ヴァン・デ・モーレン& パット・ヴァン・ブーゴー

アート2019年5月9日

Art in kamiyama

投稿者:Art in kamiyama

インタビューの時間を割いてくれてありがとう!

それでは始めましょう。オランダからのリターンアーティスト、カリンとパットです。
(カリンはKAIR2008招聘作家として来日し、今回パットと10年ぶりに神山へ戻ってきました。)

(こちらは英語によるインタビューを訳したものです。原文が投稿されているイン神山英語サイトもぜひご覧ください。)
※以下のインタビューは、作家たちの繊細な感情表現を失わないように、録音した内容の編集は最小限に留めました。文法に忠実であるよりは、作家との会話をそのまま感じてもらえるように…


●神山アーティスト・イン・レジデンス(以下、KAIR)へ応募したきっかけは何?

パット: ジャパン!ジャパン!ジャパン!

カリン: 日本は手の届かない遠い場所だと考えていたから。公募を見て、とても魅力的だと思って応募した。

パット: 僕はカリンのアシスタントとして行くつもりだったから、もともとは応募していなくて。今回は招聘作家として呼んでもらえて、とっても嬉しく思ってる。がっかりさせないようにしなくちゃ。もう一度どこかのレジデンスに参加できるとしたら、確実に神山を選ぶと思う。
組織や団体の中で、友人のような関係を築けるなんて聞いたことがないから。それくらい、みんなと親しくなれるKAIRは特別だと思うね。


●神山での暮らしはどう?

カリン: 良い事ばかりになっちゃうけど…!とても居心地が良い。
初めて来たときは、全てが新鮮で、すごくロマンチックで。それもあって、2回目の今回は自分たちがどう感じるのか不安があった。期待しすぎて、幻滅しちゃうかもしれないって。
でも、結果最高の時間を過過ごすことが出来たよ。

パット: ちょうど今朝話していたところだよ。もっと滞在したいけれど、ハードな仕事だから集中力が途切れてしまうかもしれないねって。本当に充実した時間を過ごせたと思っているよ。


●作品を一言で表すと?

パット: 僕の作品は、夢。夢のおとぎ話。夢。

カリン: ちょっと難しいな。言うならば、調和。


●一番怖かった出来事は何?

パット: 人生の中で?アートに関係なく?人生?
カリンからどうぞー。僕に出会った事だって?!いやいやいや、僕から言います。
銃を突き付けられた時。ジンバブエで、南アフリカについて過激な意見を口にしたら、銃を向けられた。南アフリカの軍人が同じユースホステルに滞在していて、酔って僕のところに来て銃を向けて、「今言ったことを撤回しろ」って。
恐ろしかった…。

(それで?!撤回したの?!)

パット: したよ!完全に!すみやかに!
南アフリカ愛してる!無問題!無問題!って。

カリン: これが一番怖かった出来事かどうか、確かではないけど、とにかく怖かった事があって。
えー、スペインのグラナダで、美術館に閉じ込められた時。そこの館長が、館内を案内する振りをして…。私も若かったから…。10分くらい経ってから、彼が何か企んでいる事に気付いて!逃げ切った!
何も起こらずに済んだけどね、うん、とても恐ろしかった。


●一番好きな日本の食べ物は何?

パット: お好み焼き!

カリン: そうだね、お好み焼き!


●芸術への道を志したきっかけは?

カリン: ロマンティックだよ。きっかけはパット。
パットに出会ったのは、ちょうど法学部を卒業した時。1週間過ぎたころに、ペンキの入った箱を渡されて「ねえ、アーティストとして生きる方がもっと面白いよ。」って言われて、そんな風に始まった。

パット: アフリカのタンザニアを旅していたときに、8ミリカメラを持ったやつに出会ったのをきっかけに、興味を持つようになった。ズーム機能もあって。何を撮るって訳でもなく、夢中になって8ミリを使ってみたよ。それからドキュメンタリーを撮ろうって思いついたんだ。その後、タラコフスキーの映画に出会ったりして。そんなきっかけが続いて、映像に興味を持つようなって、その道を歩み始めたんだ。
18歳のときにアフリカへ行って、その1年後にタラコフスキーの作品に出会ったんだね。
理解は難しかったけど、のめり込むように観たよ。彼も夢を題材にした作品をたくさん作っていたから。


●作品をつくる上で、自分の「やり方」はある?

カリン: 無い、としておこうかな。
えー、基本的に同じものを作るのは好まないから、様々な材料を使って制作するよ。面白いことに、自分ではスタイルが無いと思っているけど、周りから見たら何か見えてくるものがあるよね。
私は自分の感覚を…、うん、その土地に応じた制作を進めていくから、自分がいる場所を敏感に感じ取れるようにはしている。歴史や目の前の自然をよく知ると、その場所だけの特別なやり方が見つかる。
何か技があって、それをどこでも使うって訳じゃないよ!

パット: ペインティングと立体作品の違いは…、立体は時間を提供できるから。時間を使って誰かに「時間」の物語を伝えられる。今回の作品にはとても満足しているよ。
家の中を歩き回って、それぞれの部屋にある物語を見てもらうことで、実際にその夢の中にいるような経験ができて、現実と夢がつながるような感覚を体感する。その体験を通して、見てくれたみんなの内なる世界と繋がる事ができたら良いなと思っている。
この作品は僕の主張としてではなく、ある夢が、見る人の心の世界と繋がる体験として、見てもらえていると良いな。

 

●作品制作の中で一番難しいと感じることは何?

カリン: 終わりを決める事。
それから…、何て言ったらいいのかな。これは良い作品だって満足のいくものがつくれる時、それが私の望みだから。でも同じことは2度と繰り返せないでしょう。無理やりになんてできない。
良い作品は、作ろうと思って作れるものではないから。様々な条件が揃ってこそ可能になる、特に大切なのは自分自身だと思う。同じ状態を再現するなんて無理があるよね。

パット: そう、僕も同じ。心を開くこと。
心を開いて、その奥には何があるのか見てみると、もろくて傷つきやすい自分いる。それを相手に見せると、カリンでさえも嫌がるんだ。辛いから。簡単な事じゃない。アートの良いところはそこにあると思う。同時に苦痛でもあるけれど。


●1か月間だけ、蟻の大きさになったら何がしたい?

パット: 人間の行けないところへ、どんどん行ってみたい。

カリン: 私は木を登るだけで十分。

パット: どこかへ入ってみたいな。今だって木は登れるから、蟻じゃなければ入れないようなところへ行って、生命の秘密を見てみたい。

 

●今まで作った中で最悪な作品はなに?

カリン: いくつかあるよ。でも一番ひどいものね…、それは多分アルミ板で作った雲。しかもその作品をつくった後半年間、腕が動かなくなっちゃった。まさに二重苦だよ。結局作品はゴミになってしまって、最悪だった。

パット: 何かな、思い出せない…。記憶から消しちゃうからね。
厄介なのは、人が好むものを僕も好むようになってしまうこと。自分の気持ちに自由になれない!
カリン、何か覚えてる?

カリン: ええと…

パット: もちろんドキュメンタリーは沢山撮ったけど。

カリン: パブロフの呪いは?

パット: 長編映画を撮った時、撮影が終わって感極まって泣いたくらいなのに、だれも映画が良かったって言ってくれなかった!でも僕は満足したけどね。こんな作品がつくれて有り難いと思った。
アート作品を撮り始めるまでは、ドキュメンタリーを撮っていたから、それが5年分…。

カリン: 10番。

パット: 10番?インスタレーションか…。そのうち思い出すだろうけど。

カリン: パットはいつもポジティブな思い出でいっぱいだね。

パット: 悪いことは忘れちゃう!

 

●このハムについて、どう思う?

カリン: ただ一言だけ。不快。
ひどい。すでに食肉に対して疑念を抱いているというのに、これは質の悪い冗談なの!?愉快な食肉とでも言いたいわけ!?やりすぎ。

パット: そうだよ、肉を食べるなら、ありがたみを持てるように、その動物の形からかけ離れるようなことは良くない。動物たちは好きで食べられている訳ではないけど、敬意を持って扱われるべきだと思う。
これを見て、いかにも人間らしいって、それが僕の最初の印象。

 

●自分の作品で嫌いなことは何?

パット: 脆弱さ。

カリン: 良さと、まあまあの紙一重であること。最初の構想が浮かんでから、確信を持てないまま…。

 

●今までもらった中で一番最悪なアドバイスは何?

パット: カリンにペンキを渡したこと!(笑)
アートに関して?それとも人生で?
アートなんてやめなさいって言われた事…?
最悪なアドバイスは…。

カリン: あー、分かった!法学部に進めって言われたこと。学校もそうだし、両親も…。何をしたらいいか迷っていたから。
助産師にもなりたかったけど、それもまた…ね、なれたとしたら充実した人生を送っていたと思うけど…。

パット: わからないー!悪いアドバイスなんてもらったとしても、聞き入れたことが無いから。
僕は、傲慢すぎて他人からの助言なんてもともと聞かないし。
聞いたことのあるアドバイス…?
以前作ったドキュメンタリーについて、ある人に「君はこれを撮るには若すぎる、これは年配の人々に向けたものだから」って言われて。ある宗教色を追った別のドキュメンタリーについて、「信仰心もない人が宗教を扱うべきじゃない」って言われた。馬鹿馬鹿しいと思ったよ。一理はあるかもしれないけど、聞き入れなかったよ。

 

●一番好きな匂いは何?

パット: 自分の匂い!自分では嗅げないから。
おもしろいよね、自分ではわからないなんて。自分の匂いにウンザリすることなんてないから。

カリン: パットのおならとか、色々。

パット: おならでも何でも、自分ではそんなに匂わないもんね。
自分で匂えるくらいになったら、相当酷い状態って事でしょ。それでも僕は大丈夫だけどね!!

 

●影響を受けた人物は?

パット: タラコフスキー。

カリン: 芸術関連で言うと、マリーナ・アブラモヴォビッチ。何か引き付けられる魅力がある。英語では何て言うのかな…。傲慢さではない、何か進歩的と言うか…。新しい物事や、境界を越えることを恐れない姿勢、そこに刺激をもらうんだと思う。自分の体を使う表現がすべてではないとも思うけど。

 

●神山でずっと暮らすことになったら、何がしたい?

カリン: それ、考えてたよ。正解はわからないけど。
アート制作を続けたいけど、それで食べていくのはきっと難しいと思う。出来たら良いな、位かな。神山で暮らすことになったとしても、今と同じように暮らす、それが理想。アトリエを持って、制作して、旅に出る。

パット: うん、神山でも一番重要なのは、アートを続けること。必ずね。もし無理なら、他の場所へ行くしかないよ。アートは僕にとって生活だから。充実した人生を送る鍵だと思うし、生きることを学べるのがアート。一度きりの人生だからね。神山はとてもいい場所だと思うから、ここを拠点に出来るのかな。

カリン: 家族のことがなかったら、どこへでも引っ越しできるかな…、と思ったりする。

パット: そして神山で消防団に入る!

カリン: 入りたいの?日曜の早朝4時とかに出ていかなきゃいけないよ!?

パット: あーー、でもねカリン、地域のために何かしないと!

カリン: そうだね!確かに!

 

●弱点は何?

パット: 知ってる。

カリン: 私の弱点を知ってるって言いたいの!?

パット: カリンは、アシスタント側に回れないところ。僕の弱点は何?

カリン: パットは常に主導権を握りたがる。

パット: その通り!カリンも同じだから!でも僕はアシスタントになれるけど、カリンは無理。

カリン: そうだね、まあ、確かにね。

パット: 上手く仕切りたいけど、僕はスピード感を持って制作したいから中々難しい。

カリン: お互いにそんなところがあるね。弱点を強みにしようって努力してるから。

でもパットの作業は早すぎるよ。

パット: 早すぎる…?

カリン: 言い換えれば、作品づくりから設営まで10日で出来ちゃうってこと。

(で、その後はカリンの手伝いをするんでしょ??)

パット: いやだ!!(笑)

 

●ところで、このフラフープを使って何かしてくれる?

どうもありがとう!
ほなまた!

 

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