【あゆハウス通信vol.14】みんなと違うことがしてみたい、だから神山の地域留学を選んだ

学び2021年2月27日

投稿者:あゆハウス

(ayuhouse.yoriinishi@gmail.com)

こんにちは!ハウスマスターの荒木です。

あゆハウスのインタビュー連載第2弾。

今回は、現在神山校1年生であり、あゆハウス2期生の砂川康介くん(通称:すなっち)にお話を聞いてみました。あゆハウスに暮らし始めて早1年。徐々に持ち前の愛されキャラを発揮して、まちの大人とも関わり始めた結果、今では「かま屋」でもアルバイトをしています。

最初、彼にインタビューの打診をしたとき、「いやいや!話せることなんてないよ」と言われてしまいましたが、いざインタビューが始まると、思いが溢れ出たのか、彼の言葉を沢山聞くことができました。

神山の地域留学を自らの意思で選んだ高校1年生。等身大の声を一緒に聞いていただけたら嬉しいです。 

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荒木 まず初めに、高校3年間地域留学をしようと思った理由を教えてもらっていい?

砂川 小学生の頃は、いわゆる「山村留学」をしていて、毎日バスで約1時間かけて山に囲まれた学校に通っていました。周りには地域の大人や友達のお父さんがたくさんいて、田植えや稲刈り、しめ縄づくりなど、さまざまな体験をしていました。楽しい6年間だったけれども、「家の近くの友達も欲しい」と思って、地元の大阪府高槻市の中学校に入学しました。そこでは、保育園、小学校、中学校から一緒にいる子たちが集まっていて。今までやってきたことが同じ環境で過ごしてきた同級生とは、どこか自分には合わなかった。だから、中1の時から「みんなとは違うことがしてみたい」と思っていました。中3になり進路を決める時に、親へその思いを伝えてみたら、一緒に自分に合う高校を探してくれました。地方の公立高校へ地域留学できる場所を色々見て回っていて、中3の夏に神山町にも訪れました。

※毎年夏に開催している神山校の地域留学体験2daysに参加してくれたときの様子

 

荒木 小学校での山村留学がすなっちの原体験になっていて、今に繋がっているんだね。いろんな高校を見て、最終的に神山校を選んだのはなぜだろう?

砂川 学校も寮も少人数だということも惹かれました。中学校の時は、規模が大きくて馴染めなかったし、先輩の人数が少ない場所を探していました。

そんな中、神山校の寮「あゆハウス」はまだ1年目で、自分たちで作っていくことができる環境があると聞いて、そこに惹かれました。他の寮と違って、毎日自分たちで料理を作ることができるので、いずれ1人暮らしをするときに役に立つと思ったんです。普段お父さんが家で料理を作ってくれていて、将来自分もお父さんみたいになりたいと思ったのが最初のきっかけだったと思います。

 

荒木 素敵なお父さんだね。すなっち、入学前に神山校では造園を学びたいと言っていなかった?

砂川 そうそう。正直なところ、野菜づくりなど農業の実習にはそこまで熱意を持てなかったけれども、造園には以前から関心がありました。地元の高槻市は京都にも近くて、小さい頃からお寺や日本庭園に連れて行ってもらっていました。庭園を見ながら、そこでいただく抹茶と和菓子がめっちゃ好きで。いつかこんな庭を作ってみたいなと思っていたので、2年生からは環境デザインコースを選択しています。

※先日まめのくぼで行われた石積み実習の様子

 

荒木 いろんな期待を持って、いざ入学!というときに、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、入学式はオンライン参加になり、その後しばらく休校になってしまったね。そんな中、県外出身の寮生は一足先にあゆハウスに入って、あゆハウスで待機してもらったけど・・・予想していなかった事態に、最初の頃はどうだった?

砂川 全員が揃っていない状況で自分のペースで始められたのは、今思うとよかったです。あゆハウスで待機した2週間の間に、話せる先輩ができたし、ここでの自分なりに生活リズムも作ることもできました。そこで、面白い発見もあって。中学校の頃は人数も多かったこともあって、気が合う人とだけ仲良くしれいればいいやと思っていたけれど、ここでは関わらないというのは無理だから、どうせ過ごすならその人のことを知りたい、もっと喋りたいと思うようになりました。こんなに人に興味を持つ自分がいたんだと気づいたのは驚きでした。

 

荒木 約1年間あゆハウスに暮らしてみて、特に印象に残っていることはある?

砂川 うーん、その時々あったかもしれないけれど、最近のことしか思い浮かばない・・・。上書き保存されているかも。

これと言ったものはないけど 楽しい時はいつかと聞かれたら、パッと浮かぶのは日常。いつも通り学校から帰ってきて、いつも通り夕食当番が夕飯を作って、みんなで食べて、話し合いをして、そのまま共用部で盛り上がって。こっちでふざけ合っている子もいれば、あっちの2~3人はテレビを見ている、みたいな様子。共用部の中がとにかく楽しいです。自分は最後までいたいんで、共用部消灯の夜22時までほとんど残っています。夜になると落ち着いて、少人数で話すことも多いのですが、ハウスマスターがぽろっと話を聞かせてくれたり、寮生も自分の話をし始めたり・・・。その時間が結構好きです。

 

荒木 逆に大変だったことはなんだろう?

砂川 あゆハウスは少人数だから、1人1人の影響力が強くて、すぐに周りを巻き込めるところもあります。だから、全体で盛り上がっていて自分だけ参加していないと、「なんで参加しないの?」とか「楽しくないの?」とか聞いてくれることがあります。気にかけてくれてありがたいのけれども、こっちは楽しくないからいるわけじゃない。見ているのも楽しいし、そういったテンションの違いに戸惑うことがあります。今まで、一人っ子で家族3人で暮らしていたからかもしれないです。

あと、近くの人に気を遣うことができなくて、 相手が大切にしていることをテキトーに済ませてしまったことで、相手を怒らせてしまったことがありました。自分は別にええやんって思っていても、相手が大切にしていることは大切にしないといけないなと気づきました。そうそう、「親しき仲にも礼儀あり!」ということです。

 

荒木 かま屋でアルバイトも始めたよね。どんな流れで始めることになったの?

砂川 正直、1学期は比較的静かだったと思います。あゆハウスの寮生たちは、毎週木曜の放課後にかま屋に遊びに行っていたんですが、自分は行っていなくて。夏休みに地元に帰ったとき、「楽しい?どう?」と聞かれて、「あれ、俺なんもしてないや。何のために神山に来たんだろう?」ってなりました。神山に来る前に、地域や大人と繋がれるって聞いて期待していたこと、人と違うことをしたいと思っていたことなど思い返して・・・。目の前にビビって、中学校の頃と変わらない自分、周りに埋もれてしまっている自分に気がつきました。

 だから、2学期からは、意識してクラスメイトと積極的に喋ったり、一緒に川に遊びに行ったりしました。かま屋にも頻繁に遊びに行くようになったそんなとき、徐々にお店の片付けや食材の仕込みを手伝うようになって。当時バイトをしていた子が辞めることになったから、料理長のもぐさんから「バイト興味ある?」と誘っていただきました。あゆハウスで朝食や夕食を作るようになってから、料理が楽しくて、もっとやりたいと思っていたので、アルバイトを始めることにしました。まだまだうまくいかないことも多いけれど、「自分なりにやり方を見つけていったらいいよ。自分はこうやっているよ」と周りのスタッフの方々に言ってもらいながら、自分のやり方を探しているところです。 

※かま屋の皆さんと食事会をした時の様子

 

荒木 神山に来てからもうすぐ1年が経つね。4月からは、あゆハウスにも多くの新入生が来てくれる予定だけれども、受け入れるに当たって思っていることはある?

砂川 自分の中の2年生のイメージは「架け橋」。 後輩でもあり、先輩でもあるから難しいと思うけど、そんな存在になりたいです。人数が増えると、あゆハウスでできることも増えるんじゃないかと楽しみです。あと、同期の女子が下宿に出て、4月から2年生は自分1人になるので、後輩には受け継いでいって欲しいことは自分から伝えていきたいと思っています。 

 

荒木 私から最後の質問。卒業までに神山でやりたいことってある?

砂川 いくつかあるんですけど・・・

まずは、やっぱりバスケ!去年6月に神山校の体育館で地域の方も含めたバスケの交流試合を行ったんです。サークルとして、継続的に活動をやっていこうと思ったけれども、コロナで学校の体育館も使わせてもらえなくなってしまって。今は一旦中止になっているから、またやりたいです。 

あと、みんなを笑かしたいですねー(笑)やっぱり笑顔がいいから。これからも変わらずに、寮生という絆は強いものであって欲しい。人数が増えても、学校とは違って家族に近いような感じが続いてほしいです。だから、あゆハウスを卒業しても、先輩たちには寮とのつながりを持ち続けて欲しいと思っていて。自分も卒業しても、「あいつ何しているんだ?」と話題にしてくれたら嬉しい。卒業しても自分のことを忘れないで欲しいんです。

ちょっとでもいいから、人の人生に影響を与えられる人になりたい。だから、自分が死んでしまっても、誰かの中で生き続けられたらいいな。人生で挫けそうになっても、砂川もできていたし、自分もできるのでは?と思ってもらえたら。最終的には、神山で出会えてよかったなと思ってもらえるような人になりたいです。

荒木 「神山で出会えてよかったなと思ってもらえる人」って、すごくいいね。少なくとも、私はすでにすなっちのことをそう思っているよ。

今回はたくさんお話を聞かせてくれてありがとう。すなっちのやりたいことをもっと発信したら、きっと応援してくれる人や環境があるはずだから、これからも一歩踏み出すことを忘れずに、神山生活を楽しんでもらえると嬉しいです。 

これまでのあゆハウス通信はこちら

あゆハウス (ayuhouse.yoriinishi@gmail.com)

城西高校神山校の寮は、鮎喰川の「あゆ」をとって、「あゆハウス」と呼ばれています。 「あゆハウス通信」では、あゆハウスで暮らす高校生・ハウスマスターが日々の活動を定期的に発信しています。 「地域で学び、地域と育つ」をコンセプトに、神山でさまざまなことにチャレンジする私たちを温かく見守っていただけたら嬉しいです。

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