【神山校のいま】火起こしの洗礼

学び2021年4月20日

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投稿者:森山 円香

 

春ですね。山がモコモコしています。

 

神山校は学科再編してから3年目の春を迎え、これで全学年が新課程に入ったことになります。

入学式から一週間を待たずして行われる新入生合宿も、定番になってきました。泊まりはできてないから合宿じゃないか。たっぷり2日間、協働をテーマに様々なアクティビティを行いました。その様子を少し。

 

1日目。丸山先生からアイスブレイクを混ぜた熱いオリエンテーションがスタート。

グループに分かれて、与えられた課題をクリアしようと力を合わせるよう言われます。
生徒たちはといえば、まだ同級生の顔も名前も覚えていない、教室の場所もよく分からないといった段階。ドキドキとワクワクとヒヤヒヤが混ざった表情で、課題に臨んでいました。

話し合って作戦を立て、文字通り力を合わせたり。

視覚情報のない中で声をかけあってコミュニケーションを図ったり。

頭脳戦もありました。

課題をクリアできてもできなくても、必ずそのあとには「振り返り」をします。

あの時あの瞬間、どんなことを考えていたのか?
どんな気持ちだったのか?
クリアするためにはどうしたらよかったと思うか?

 

一つ、印象的だったシーンを。
協働する上でこういう行動や言葉はやめてほしい、というのはある?とたずねたところ、一人の男の子が「プレッシャーをかけるのは良くない」と。みんな、「うんうん、そうだよね、それは良くないね」という表情。
具体的には?と聞くと、「あと××秒、とか、◯◯だったらできるよ!、とか」。みんな、「え、その言葉が?応援しようと思って言ってたのに」と驚いた表情。

発した本人は応援しているつもりで、よかれと思って言った言葉でも、言われた側はマイナスの受け取り方をしている場合がある。
同じ場面を共有して、振り返りの時間を持ったからこそ得られた学びが、そこにありました。

 

2日目は朝からまちめぐり。グループごとに手書きの地図を渡され、指定された場所へ向かいます。

6グループがそれぞれのルートで、最終ゴール地点のコットンフィールドを目指します。

晴れてよかった!出発!

下道をゆくグループも。(マップを落としたらしい)

突撃訪問して食材をいただいたり。

杉本さん、いつもありがとうございます!

いただいた大根の泥を落とす女子高生たち。

2時間弱歩いてようやく到着・・・!
と思ったのも束の間、待ち構えていた丸山先生から更なるミッションが。


「道具と食材は揃えてあるから、あとは自分たちで火を起こしてコメを炊いてカレーをつくって食べなさい。それ以外はノーヒントです、はい解散」。

1年生、既に無茶振りに慣れたのか、さほど驚く様子もなく、作業に取り掛かります。

ナタを支給され、まさかの薪を割るところから。

太い薪にそのままチャッカマンをかざして着火を試みるツワモノ。

燃え盛る業火のなかに飯盒を入れるツワモノも。

かと思えば手際良く慣れた手つきで調理をしたり火を扱う姿に、周囲から尊敬の眼差しが送られたり。

先生や我々スタッフは各グループに最低1人ついていましたが、安全面以外は手も口も出さない、と決めていました。本人たちが考えて「やってみる」経験を大事にしよう、と。
そのやり方ではうまくいかないということが分かっていても、ケラケラ笑いながら温かく「考えて、やってみ」と言うだけ。

結果、出来上がるまで2時間以上かかったグループも、コメを炭化させたグループも、途中現れたモモンガ(!)にテンションがあがりまくって作業がストップするグループもありました。

食いっぱぐれる生徒はいなかったので、よし◎

いやぁ、おもしろかった。
「またやりたい」という声も。そうね、次回はもっとうまくできるね。

神山校に来ると野外炊飯ができるようになります、って今度から生徒募集のときに言おうかな。

 

新入生合宿は、神山校で大切にしている「協働」がテーマ。
「協働していくために大切だと思うこと」をそれぞれが書きました。

自身の体験から出てきた言葉にはそのときの温度があり、重みがあります。

私が思う「協働していくために大切だと思うこと」は、「それぞれができることや得意なことを持ち寄って物事を達成していくことに重きを置く」こと、かな。全員が同じことをできるようになるのを目指すのでなく、強みにしか注目しない感じが神山校らしいというか。

 

1年生のみんな、神山へようこそ。
ここで過ごす3年間が、それぞれにとって豊かな時間になりますように。

 

 

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森山 円香

岡山出身。 2016年4月〜2022年5月まで、神山つなぐ公社でひとづくり分野を担当。NPO法人まちの食農教育の理事をしています。 このまちに来て、石を積めるようになりました。(でもまだまだ)

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