国際交流プロジェクト 海外ツアーin Kamiyama アメリカ編

学び2021年11月10日

松岡 美緒

投稿者:松岡 美緒

2021年度の国際交流プロジェクトは、コロナの影響で海外の往来ができない中で企画しました。(詳しくはこちらから)

11歳から17歳までの幅広い年齢層の子どもたちが参加し、共に学ぶ機会になりました。その様子を少しご紹介します。

 

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アメリカ編「みちくさレストラン」

アメリカはカリフォルニア。ここに公立中学校の駐車場のために敷かれていたコンクリートを引っ剥がして、食べられる校庭を作ってしまった人たちがいます。彼らは、ある公立中学校の敷地内で活動しているエディブルスクールヤードという名のNPO法人。通常の中学校カリキュラムとは別に、「食べられる授業 (リンク先日本語字幕動画あり)」をカリキュラムに加えています。「食」や「生きる」から少し離れがちな普段のカリキュラムに「食べられる授業」を加えることで、子どもたちが各教科の学びをより深めることができるようデザインされています。校庭には、どこまでも登れる樫の木や柳のようにカーテンを作る桑の木、色とりどりの花畑、野菜畑、本格的なピザ釜、ラマダ(丸くなって座れる野外教室)などが豊かな風景が広がっています。

例えば歴史の授業でシルクロードを学んだとしたら、食べられる授業では児童がグループに分かれ、あるグループはインド料理、あるグループは中華料理という具合に調理した後、それらを違うグループ同士で交換し、シルクロードを擬似体験する。子どもたちは、まさにシルクロードで実際に起きた文化の交流やその時の興奮を味わうのでしょう。

このカリフォルニアの活動と神山の繋がりとして、Food Hub Projectが会社設立前のスタディツアーや職員研修として2015年以降何度か訪れていたり、つなぐ公社の森山さんや私自身が参加した現地の研修(2018年)があったり。神山の地元の方も「食べられる校庭」に影響を受け、神領小学校の横にザクロやブルーベリーがなる果樹園を作っています。子どもたちはこのツアーでどんなインスピレーションを受け取るのでしょうか。メキシコ出身で13年以上この組織で働くグリゼルダ・コーニーさんが今回の案内役を務めます。

1日目は日本の滝100選の1つに選ばれている神山の「雨乞いの滝」周辺の集落を歩きながら食べられる野草を集め、何もないところから今回のテーマである「みちくさレストラン」を表現するという企画の予定でしたが、アメリカ編当日は大雨警報が出てしまい、1日に縮小してスタート。大雨の中やってきてくれた子どもたちに感謝です。この日も場所は鮎喰川コモン。机からはみ出すほど大きな芭蕉の葉を広げてスタートです。

チェックインではカリフォルニアのエディブルスクールヤードでお決まりの質問を子どもたちに投げます。「誰とでも(有名人でも亡くなった人でも)ご飯が食べられるとしたら、今夜誰とご飯を食べたい?」

「自分の将来の息子とお酒飲みたい」

「宇宙人と食べたい。宇宙人って死んだ魚の目とか食べてるのかな。俺サンマのなら食べられるけど」

「中学校の友達かなぁ、最近会えてないし」

「家族でクリスマスみたいなご馳走食べたいな。僕にとってご馳走は肉だな」

と、1つの質問からさまざまな「食」に関する風景を語ってくれました。食がテーマがである理由はここにもあります。家庭によって、地域の文化によって、多様な生き方や幸せを垣間見ることができる時、私たちの学びもより本物に近づくのです。

エディブル(食べられる)スクールヤード(校庭)の言葉の意味や、食がどの教科にも繋がっていることなどを解説するところからスタート。例えば畑を作るためには種と種の間隔や野菜の収量を計る数学、その食べ物/材料の足跡を辿る歴史、味や景色を表現する国語、アートなど広がり方は多様。

それを聞いた小学生のコメントも粋でした。「じゃ、りんごの木を植えれば、りんごが落ちて理科ができるね」

カリフォルニアとビデオ電話がつながると見えてきて景色は、山火事で霧掛かる空でした。対照的な神山の季節外れな長雨。2つは全く異なる現象ですが、同じ地球の温暖化が進んだ状態を表しています。

カラフルでわくわく要素がたくさん詰まったガーデンとキッチンをツアーしてもらいながら「いいなぁ、俺もここで授業受けたい!」と小学生。

グリゼルダさんに英語で自己紹介をしてから、早速普段のカリキュラムにも入っている「食べるマインドフルネス」を始めてもらいます。

まず、マインドフルネスって何だろう?

今この瞬間に考え、感情、経験に意識を向けて評価をせずにただ観察すること」「今この瞬間に意識を向ける練習を続けると人生の決断をする時、アクションを起こすとき、その効果を発揮すると信じているわ」とグリゼルダは言います。

このアクティビティに必要なものは、少しのスナックと集中できる環境。神山側で用意したのは、梨、ブドウ、そしてスダチ。

「手始めに、手に取って色や艶をよく見てみて。遠くからではわからなかったことや、あえて離してみて気がついたことはある?」梨を光に透かしてみたり、ブドウの皮を剥いて匂いを比べたりする子どもたち。

「神々しい」「想像以上につるつる」

「一口食べてみて、舌の違う部分に転がしてみて。味は変わるかな? 鼻もつまんでみて」目をつぶって鼻をつまんで、まるで海にダイブするかのように新しい世界を試していた。「どの瞬間にも、いろんなことを感じている自分に気がついてみてね」

「スダチは苦さや酸っぱさだけじゃなくて痛みを感じた」「皮を傷つけたり、剥いたりするだけで全く違う香りになる」子どもたちの反応は豊かな表現にあふれていました。

このあと、なんと高校生も英語でマインドフルネスをリードしてくれました!グリゼルダさんのリードを見よう見まねに、率直な英語を使ってみんなと瑞々しい果物を味わいました。

「マインドフルネスをやってきて自分の変化を感じる?」とグリゼルダに問う小学6年生。

「ブドウ一粒食べるとき、このブドウに感謝するだけじゃなくて、農家さん、水や太陽にも感謝するようになったわ」

小学生「太陽や水に感謝できるようになったら、気候変動などが起きない世界が作れるはずだよね」

「今の気づき、素晴らしいし、私たちの世代は若者のみんなに申し訳ないと思ってる。でもこの気づきこそが何かを変える力になると思うの」

おやつは梨や桃をカットし、有機アガペシロップと和えておいたもの。イタリアの伝統的なお菓子をアレンジしました。摘んであった花を飾ってスダチを絞っていただきます。前日、歩きながら食べられる野草を見つけに行くことを楽しみにしていた子どもたちは、食べられる花を嬉々とお皿に散りばめて楽しんでくれました。綺麗に飾ったおやつをかき込む上級生に「おい、今ゆっくり食べるってやったばっかりやろ」と下級生のツッコミも(笑)。

家に帰った後、家族と食べるマインドフルネスをしてくれた子どももいたそう。「ゆっくり食べると全然違う感覚を味わえる」「目を瞑るともっと甘いよ」

普段私たちが飛び乗ってしまうスピードでは見逃してしまう、小さくて繊細な感覚に触れた子どもたち。大人が言う「時間がない」という世界とは反対に、「時間はたっぷりあるよ」と言える世界があると知っていれば、人生はどんな風に見え始めるのでしょう。

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ほかの海外ツアーの様子もぜひご覧ください。
▶︎ ミャンマー編「今と昔にタイムトラベル」
▶︎ イタリア編「マルゲリータと石を積もう」

松岡 美緒

松岡 美緒

1992年東京生まれ。家族の転勤のおかげで、沖縄や石川など日本各地の自然の中で時間を過ごす。日本の難民問題、消費社会に搾取され続ける第三世界の現状を知り、イギリスで国際開発学を専攻。平和構築を目指したパキスタンのNGOに従事するなど、世界中の農村を旅するうちに、食を中心にいのちの手触りを学ぶ学校菜園(Edible Schoolyard)に出会う。日本帰国後、子どもたちと自然を繋ぐパーマカルチャーデザイナーに。現在、東京から徳島県神山町に移住し、「play garden」を屋号に、循環する暮らしを実験している。社会の枠にハマらなくてもいいと決めた子どもたちとの出会いをきっかけに、森の中に「おいしい」「楽しい」「美しい」子どもの居場所づくりを計画中。みっけ主宰https://note.com/mapisfullofknots/n/ndc81adf20d16 鮎喰川コモンでスタッフしています。神山で古民家を改築中。

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