「まちの外で生きてます」#02 沼田佳奈さん

なんでも2021年11月11日

やままち編集部

投稿者:やままち編集部

はじめまして〝やままち編集部〟です。現メンバーは、大家孝文・大南真理子・白桃里美・中川麻畝・海老名和、神山町出身の5名。大阪で働いていたり、東京で働いていたり、神戸の大学に通っていたり、徳島市で働いていたり。

「まち」で暮らしているけど、心の中には「やま」があります。離れたところからでも神山にかかわれないかな…と思っていたら、ある流れで「広報かみやま」に参画することに。2021年の9月号から、町外にいる若手のインタビューと、その人にむけた中学生のQ&Aのシリーズ記事、「まちの外で生きてます」が始まることになりました。

紙面の都合から一部分しか載せられないので、イン神山で、ロングバージョンを公開させてください。

町外で暮らす神山出身者の今を紹介する連載。第二回は、神領出身で今は徳島市内で暮らす沼田佳奈さん(24歳)に話を聞きました。


── 神山で過ごした頃の思い出を聞かせてください。

沼田 神領の野間で生まれて、神領小学校に通っていました。

当時の思い出といえば……遊びにいくことばかり考えていましたね(笑)。早く家帰って友達の家に遊びに行きたい、みたいな。

神山中学校で印象的だった思い出は、神中祭の時に女子が豹変すること(笑)。今もあるか分かりませんが、騎馬戦とかタイヤ取りとか。

同級生は28人で男女の比率的には半々だけど、女子が活発だった印象です。

── 中学生の頃の夢は何でしたか?

沼田 今、看護師として働いているのですが、昔から人と関わる仕事がしたいというのが漠然とありました。医療とか福祉とかのことに興味があって。

中学2年生の夏に職場体験学習があり、老人ホームに行っておばあちゃんの手を引いて歩いた時、ありきたりですが「孫みたいじゃ、ありがとう」って言われたことが嬉しかったです。

その後に立志式があったので、夢は介護士って書いたように思います。もともとそういった職業に興味があったからか、学校で職業について調べたり職業体験する時は、介護とか福祉ばかり選んでいました。

というか、ほかの選択肢をあまり考えてなかったかも。その根底には、直接人と関わりたい、触れ合いたいという気持ちがあったのだと思います。

── 高校生活の思い出は?

沼田 中学校卒業後は、城南高校へ進学しました。

でも城南を選んだ理由は、一番は家から通えるから。あと、親の希望として大学に行ってほしいというのがあったので、家から通えて進学校で、となると自然と城南になりました。仲の良い先輩が城南に行っていたのもありますね。

高校から家を離れて暮らす同級生もいましたが、私はあまりイメージが湧きませんでした。家から通えることが優先順位で一番。

神山から徳島市内の高校に通うようになって、クラス替えには戸惑いました。城南は8クラスあったので。神山では小学校から中学校まで9年間一緒だったし、新しい友達の作り方を知らなくて不安でした。

あと、「おが」という神山の方言は、高校の時に方言だと気づいて「カメムシ」に切り替えました(笑)。体育の授業で川で泳ぐっていうのも市内の友達に驚かれましたね。

城南には、“ファイヤーストーム”という文化祭の後夜祭で行われるイベントがあります。運動場に櫓を組んで火を焚いて皆で囲むという伝統行事なんですが、その実行委員会に入っていました。

学ランを着て下駄を履いて全校生徒の前で歌う、みたいな。中学校の時は生徒会に入っていたし、イベントをつくるとか司会するとか、そういうのに抵抗がなくて「おもしろそうやな、やってみよう」という感じでやりました。

 

立志式の時は「介護士になりたい」って書いたものの、絶対介護士になりたいというより何か書かなあかんから書いたみたいなところもあって。そんな話を親にしていると「介護士より看護師の方が良いんちゃう?」と言われました。資格や給与的な部分を考えて手堅いかなと。

それで大学を考える時、この時もまだ家から出る覚悟がなくて、家から通えて、大学で、看護で……と考えて徳島大学の看護学科に。今思えば全部成り行きですね(笑)

── 大学生活はどうでしたか?

沼田 看護学科の実習は、一つのターニングポイントだったかもしれません。3回生の時に、一番長い実習があります。2週間クールで半年間いろんな科をまわる。実習時はまだ資格がないので処置はできなくて、患者さんと話をするとか体を拭くとかそういったことをしながら、看護計画を立ててそれを看護師に見てもらうというのが作業のメーン。

そのなかで成人看護の脳神経外科の実習で担当した患者さんがとても印象的でした。その方の影響があり、就職して科の希望を出す時、今働く脳神経外科を選ぶきっかけになりました。作業より人との出会いが大きかったです。

── 今の仕事について教えてください。

沼田 今は徳島大学病院で働いて3年目になります。脳の疾患の看護をする科なので介護面も多く、結構体力勝負。今は慣れてきましたが、最初の時は家に帰ったらすぐ寝てしまうような生活でした。

寝たりきりの患者さんがどんどん治療で良くなってリハビリをしていくなかで、喋ったり立ったりできるようになってという回復過程がよく分かるんですよね。それがすごく嬉しいです。

もちろん逆もあって、病状が進行して悪くなるという人もいるなか、病気が良くなって話をする時は嬉しいし、単純に人からありがとうって言われるのはやっぱり嬉しいです。それがやりがいにはなっていますね。腹が立つこともありますけど、看護師になったことは全然後悔していないです。

仕事の上で大事にしていることは、その人の訴えを聞くこと。これはどこの科でも一緒だし、看護師だったら皆そうだとは思いますが、その人によってこだわりみたいなのがあるので。「してほしいことはないですか?」とか「何でも言ってくださいね」とか、患者さんが看護師に言いやすいような環境づくりを心掛けています。

 

学生時代を振り返って……。勉強する癖をつけておくのは大事だなと改めて思います。疾患のことや治療法など日々勉強みたいなことがあるので。そういう癖をつけておけば良かったなと思います。

── 幼少期から大学時代まで、神山で感じる変化はありましたか?

沼田 就職してから徳島市内で一人暮らしをしていますが、神山には月一回くらい帰っています。暇だったら帰るような感じです。

神山にいて感じていた変化といえば、寄井の商店街。前まで真っ暗だったけど、今は夜にらちらほら電気が点いていたりして。知らない人がいたり知らない店があったり、最初は戸惑いの方が大きかったというのが正直な感想かな。神山にいても、実際には何が起こっているか分かりませんでした。

でも大学生の時、かま屋でアルバイトしてその印象が少し変わりました。Facebookでかま屋の募集を見つけて、家から近かったし、食べるのも好きだし応募してみようと。そこで、料理を出したり洗い物したりしていました。かま屋のお客さんには町外から来た人も多く、徐々に知り合いも増えていって。そこでイメージが少し変わったかな。今思えば、分からないことが多くて勝手にマイナスイメージをもっていたのかもしれません。

あと、かま屋の人たちと話していると発見みたいなこともありました。たとえば川で泳ぐ時、私は自分の家の近くしか行かなかったけど、町外から来た人は「あそこの川がめっちゃ綺麗」って私より知っていて。一緒に行く時、めっちゃ山奥に連れて行かれて(笑)。確かに水が冷たくて気持ち良かったけど、そもそもこんなところで泳げるんだっていう発見がありました。かま屋は今でも時々一人で行ったりしています。顔見知りの人がいるので行きやすいです。

── 今後の夢があれば教えてください。

沼田 最近、実家を建て替えて、私がいつ帰ってきても良いようになっているんですよ(笑)。親は帰ってきてほしいのかなって。今はそれをかなえてあげられたら一番良いと思っています。この先、いろんなところに行ったとしても、すぐ実家に行けるようなところにいたいです。

インタビュー・文:大南真理子 


神山中学校の後輩たちからの質問


Q:中学生の頃、将来についての悩みはありましたか。(中2)

沼田 夢がないのが悩みでした。将来の夢や行きたい大学が決まっている周りの人を見て、夢がない自分はダメなのかなと思うこともよくありました。

今振り返ってみると、いろんな選択肢を見て、その時できることをしっかりやっていくことが大切だなと思います。


Q:学生の時と看護師になってからとで変わったことはありますか。(中2)

沼田 働き始めの頃は、自分の理想と現実とのギャップに戸惑いました。学生時代は、ひとりひとりの患者さんにじっくり向き合う看護師になりたいと思っていましたが、実際は業務に追われて患者さんに向き合う時間が少なく、もどかしい気持ちになることもありました。

今では、忙しい中での時間の使い方が少しずつ分かってきたので、初心を忘れずに患者さんに寄り添える看護師になりたいと思っています。

 

Q:今挑戦したいことは何ですか。(中2)

沼田 看護師歴も3年目になったので、そろそろ指導係を任されるようになります。後輩をしっかり育てられるように自分のスキルアップや知識の向上が必要だなと思っているところです。

 

Q:どんなふうに、自分に合った高校や大学を決めたのですか。(中2)

沼田 「家から通えるかどうか」を重視したので、条件に合う選択肢の中から選びました。高校や大学はどこに行くかより、そこで何をするかが大事。進学先で全てが決 まる訳じゃないと思います。難し く考えずに直感や学校のイメージなどで決めるのもひとつかなと思います。


Q&Aとりまとめ:中川麻畝・海老名和
デザイン:白桃里美
編集部とりまとめ:大家孝文

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やままち編集部は、神山町出身の5名(大家孝文・大南真理子・白桃里美・中川麻畝・海老名和)からなる編集部。「遠くで暮らしていても、神山にかかわることが出来れば」という想いから、「広報かみやま」で連載「まちの外で生きてます」の連載を企画・制作しています。(2021年夏より)

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