神山中学校の「林業体験」レポート|大自然で食べるおにぎりは、いつもより美味しかった。
学び2023年3月30日
神山つなぐ公社の馬場です。
「まちの人と資源で建てた大埜地の集合住宅」やら、神山町森林ビジョンの策定過程の一部に携わってから、山のことで、自分ができることはないかと意欲を持ち続けています。今年度は、神山つなぐ公社で、木の家づくりを知る伐採・製材所見学ツアーや、WEBサイト「神山杉」の新規ページ制作などのお手伝いをしてきました。
そんなところからご縁があって、2023年3月13日に、神山中学校1年生の「林業体験」の授業もお手伝いしました。
当日の生徒たちのたくましい様子がとてもよかったので、レポートさせてください。
この授業の構想は、校長先生の「神山の子どもたちには、やっぱり農林業のことを学んでほしい」という希望から生まれたそうです。
そこから、
中学校から、1年生を担当するの藤本先生・林先生。
外部パートナーとして普段から一部の授業を一緒につくっている樋口さん(まちの食農教育)と、つなぐ公社の梅田。
そして、馬場。
神山町林業活性化協議会の濵田さん・栗尾さんにも入ってもらい、具体的に授業をつくっていきました。
打ち合わせ中に出た、担任の藤本先生の「僕は、子どもたちと山でおにぎりを食べたいんです。」という率直な気持ちに、みんながハートを撃ち抜かれ、
このアイデアを含んだ、山に入って、五感で感じて、思い出に残る授業をつくろうと、どんどん内容が決まっていきました。
できあがった授業案は、1年生で木を切って調達、2年生で木をお箸に加工、3年生で自分たちでつくったお箸を国際交流でプレゼント、という3年間で1サイクルのもの。
体験学習の前に、神山の山のことを知ろうと、神山の山の周辺で活動をしている人に話を聞く事前学習も行いました。
●事前授業の内容と話し手
神山の先達の森づくり/ 田中泰子(神山つなぐ公社)
自宅の山の管理と集落の景観づくり/杼谷 学(神山町役場)
町産材の家づくり-町営の集合住宅と自宅-/馬場 達郎(神山つなぐ公社)
ここからは、「林業体験」の当日の様子をダイジェストでお伝えします。
今回のフィールドは、神領上角の「創造の森」。生徒たちは、中学校から歩いて現場にやってきました。
ちょうど、蜂須賀桜が咲きはじめていた頃でしたね。
さあ体験授業だ!と行きたいところですが、はじめは、少しお勉強から。山の持つ多面的機能について、神山町林業活性化協議会の濵田さんがクイズを用意してくれました。
(神山町林業活性化協議会のお二人 左から濵田さん・栗尾さん)
「神山らしくデジタルを駆使してクイズをつくってきました。」とお手製の、手でめくるタイプのパネルを取り出す濵田さん。
おぉ、さすが濵田さん。ウィットにとんだ出だし。掴みはオッケー!
生徒たちの反応は?
生徒たち「・・・。」
まだまだ緊張している様子の生徒たち。
濵田さんの「森林の持つ役割は?」という問いかけに、ほぼ全ての役割を挙げた生徒たち。自身を振り返り「動物の住みかとしての役割」なんてよく出てきたな。と大人たちは感心。
さて、お待ちかねの林業体験。最初の作業は、木の伐採です。自分たちの手で木を伐採するために、ノコギリの扱い方や、ケガをしないように作業の注意点をよく聞きます。
(栗尾さんが右手に指す道具は、丸太の長さを効率的に測る「検竿(けんざお)」)
一通り説明を聞いて、まずは、藤本先生のお手本から。
「めっちゃきついぞー!!」と藤本先生。見守る生徒たちから声援がパラパラと送られます。
いよいよ生徒たちの出番。まずは、木を切る方向に「受け口」をつくっていきます。本格的です。
受け口は、木の直径の1/3の深さまで水平に切り込みを入れ、斜め上から45°の角度で切り取る、と教わります。
「あぁ、俺の受け口。」
続いて、追い口。受け口の2/3の高さを目安に、受け口と反対方向から水平に挽きます。
上手な切り口。お見事。
「あれ、先生よりうまいんちゃうん。」という声もあったり、なかったり。
受け口をつくった時に出た木の切れ端を持って帰る子もいました。「記念に」とか「いい匂い」という言葉は、なんだかうれしい。
伐倒記念にピース。「切ったどー。」
「お疲れさま!」と言いたいところだが、まだまだ作業はこれから。このあと製材所に丸太を持ち込むために、倒した木の枝を払い、2mの長さに切り揃える「造材」をします。
ここで検竿を使い、2mの長さにチョークで目印を入れていきます。ノコギリの厚みを考え、2mより少し長くとっておくのがポイント。そして、切る作業は、もちろん生徒たちがノコギリで頑張る。
できた2mの丸太を軽トラに積み込むのも生徒たち。
ここまでできたら、山での作業はひと段落。創造の森から続く大粟山の一角で、午後に向けてお昼休憩。藤本先生念願の山でおにぎりタイム。
「どう?」「いつもより美味しい!」
この日は少し寒かったので、藤本先生が自前のコンロでせっせとお湯を沸かし、みんなにみそ汁を振舞ってくれました。
食後は、しばらく山の中を散策。ここ大粟山には神山アーティスト・イン・レジデンスの作品がいくつかあるので、アート作品を見たり、おしゃべりをしたり、それぞれ思い思いに過ごしました。
山を離れる前に、ここまでの振り返りの時間。山の中で感じたことを、山の中にいるうちに全員でシェア。生徒たちの感想は、レポートの最後にまとめておきます。
午後は、自分たちで切り倒した木を、板材にするために製材所に。授業に全面協力してくれた「大宅製材所の大宅さん夫妻」。ありがとうございました。
製材所でも、働く生徒たち。
まだまだ元気。
よく働く。
前日に雨が降っていたこともあるのか、挽いた木の切断面は、じとっと湿っている。実際に触ることで、そんなことにも気がつく。
製材のこともしっかりお勉強。
木材は、加工までに「乾燥」の過程が必要で、乾燥しないうちに加工すると、あとで反ったり変形して、できた物が壊れてしまうことがあるそう。製材した板材は中学校に持ち帰って、運動場側の屋根の下で、3ヶ月~半年程度乾燥させます。
もちろん、自分たちで運ぶ。
大人たちは、ただ見守るのみ。手を出したくなるが、我慢。
生徒たちの手によって、できたこの状態。板の間に、小さな木の桟(さん)をはさみ、隙間をつくって乾燥させる方法。これを「桟積み(さんづみ)」というそうです。
本日時点の含水率(がんすいりつ)も測っておきます。
調達した板材は、お箸じゃとても使い切れそうにないボリューム。大人たちからは、「箸以外のものづくりも一緒に考えられるといいな。」という声も上がり、発展もありそうです。
最後は、お互いにお礼をして終了。
生徒たちは、ノコギリで挽いた木の感触や、伐倒や運搬の際に感じる木の重さ、匂いや手触り。友達と山に入って楽しかった思い出。「いつかまちで山の仕事に就いてほしい。」という大人の勝手だけど素直な願い。などなど、今日1日で、何かしら記憶してくれたんじゃないかと思います。
最後に山の中で聞いた生徒たちの感想。
-
・ノコギリで木を切るのが楽しかったです。
・初めて木を伐採して、木を切る難しさを知ることができてよかったと思いました。
・木を担ぎながら歩くのが楽しかったです。
・なかなかノコギリで切れなかった時があったので、そこが難しかったです。
・爽快だったのが、苦労して切った木が倒れた時で、そのあと丸太を担ぐのも結構楽しかったです。
・木を切った時に、木が固くてあんまり切れなかったけど、全部切れたのでよかったです。
・倒れた時に、みんなでワイワイ・ガヤガヤ楽しめたのでよかったです。
・木が倒れるところが見られたのが楽しかったです。
・めちゃくちゃ固くて切れる気がしなかったんですけど、なんとか頑張って切れたのでよかったです。〇〇ちゃんがめちゃくちゃ切るのがうまくてびっくりしました。
・一本の木を切るだけでも、受け口とかいろんな作業があって大変だと思いました。
・簡単そうに見えたけど、一本切るだけで大変で、林業の過酷さを知ることができました。
・楽しかったです。
・木を切るのは楽しいけど、生き物の住みかがなくなるので、ほどほどにしたいなと思いました。
・難しかったけど、楽しかったです。
・木を切った時に、木のいい匂いがしました。
・木を切る時に、みんな切り込みを入れるところがバラバラで、なかなか切れる気配がしなかったけど、切れた時は気持ちよかったです。
・木を切るのは大変だったけど、みんなと協力してできたのがよかったし、おにぎりが美味しかったです。味噌汁のあったかさに勝つぐらい、寒かったです。
・思ったより固くて難しくてびっくりしました。
・森を冒険するのが楽しかったです。
・切るのが難しかったけど、みんなで協力して切った時は嬉しかったです。
・楽しかったです。
・大自然で食べるおにぎりは美味しかったです。
この授業の様子は、YouTubeの「かみやまch」でも放送される予定です。神山の方は、お手元の「さぁ・くる」から、ご視聴ください。
以上、「林業体験」レポートでした。
馬場 達郎 (神山つなぐ公社 代表理事)
神山町出身/1983生 6年間の会社勤めの後、神山町役場へ入庁。総務課で地方創生の担当として、2020年度神山町創生戦略の第2期の策定を担当。現在、戦略の推進のため一般社団法人神山つなぐ公社に出向。
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コメント一覧
良い記事です。一日で、伐採、枝打ち、搬出、製材、「桟積み(さんづみ)」までやったとは、信じられません!
2023年3月31日 23:14 | ニコライ
本当にすごい体験ですよね。私もこの記事、好きです!
2023年4月5日 11:50 | 高田 友美
ありがとうございます、ニコライさん!できるもんですね!
2023年4月5日 11:54 | 馬場