School Food Forum2023 開催しました!

学び2023年10月30日

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投稿者:NPO法人まちの食農教育


こんにちは!すっかり朝晩は寒くなり、冷たい空気が鼻にツンとくる季節になりましたね。
9月まで半年間ほど神山町に暮らしておりました松田理沙です。

現在は東京に住んでおりますが、今回ご縁あって再度神山に来ることが叶いました。

10/15(日)〜16(月)に神山町で開催された、NPO法人まちの食農教育主催の「School Food Forum 2023」に株式会社ソノリテのインターンとして参加させていただきました。
大変色濃い2日間でしたので、当日の様子や内容、感想を共有させていただきます。

本フォーラムのテーマは「地域でつなぐ農と食」です。学校食(学校給食)を切り口にして、農と食の豊かな関係性について考える時間となりました。当日は、現場で様々な取り組みをしている社会的起業家を含むゲストを交えたクロストークや、現場に足を運んで体験するフィールドワークなど、聞いて、見て、食べて、感じることができる内容でした。

最後までお読みいただけますと幸いです。
(イベントの詳細についてはこちらのページをご参照ください)

 

【1日目(10/15)スケジュール】

13:00〜13:30 オープニング

 

13:30〜14:30 基調講演
「生命誌から考える食農教育」
中村桂子(JT生命誌研究館 名誉館長)

 

14:50〜16:10 クロストーク① 地域ぐるみの食農教育
「すべての学校をつなぐ農体験と給食」
話題提供:樋口明日香(NPOまちの食農教育 代表理事)
     武市由美(神領小学校教諭)
     寺奥久滋(広野小学校教諭)
     松本直也(Oronono)
モデレーター:須賀智子(Crops-Food × ESD Design 代表)

 

16:10〜17:00 ポスターセッション
森の学校みっけ / 城西高校神山校 / 神山まるごと高専 / NPO法人こどもと農がつながる給食だんだん

 

17:00〜18:20 クロストーク② 給食と教科学習の統合
「栄養教諭とつくるおいしい・たのしい授業」
話題提供:望月佐知(横浜国立大学教育学部附属鎌倉小学校 栄養教諭)
コメンテーター:堂脇義音(農林水産省 消費者行政・食育課 課長補佐)
モデレーター:樋口明日香(NPOまちの食農教育 代表理事)

 

19:00〜21:00 ディナー交流会 @かま屋

以上のようなスケジュールで進行した1日目。

最初の基調講演は、生命誌の観点から「本当の生き方を探そう」という中村さんのメッセージから始まりました。
このイベントの芯にある “良い暮らし”とは何か?“私たちが未来の人に手渡せるものはどのようなものなのか?”という問いを参加者に投げかけることから始まったように思います。

 

【2日目(10/16)スケジュール】
9:00〜10:20 クロストーク③ 地産地食を実現する調達システム
「スクール・フードコーディネーターと推進する学校食 〜神山まるごと高専を事例に〜」

話題提供:田原佳奈(株式会社フードハブ・プロジェクト 管理栄養士)
     細井恵子(株式会社モノサス 料理人)
     松坂孝紀(神山まるごと高専 事務局長)
モデレーター:安東迪子(NPOまちの食農教育 事務局長)

 

10:20〜13:30 フィールドワーク&ランチ(選択制)
 A)オルタナティブスクール 森の学校みっけ
 B)徳島県立城西高等学校神山校
 C)Orononoの圃場見学と神山まるごと高専

 

13:30〜14:15
エディブル・スクールヤード創始者アリス・ウォータース氏のスピーチ

 

14:15〜15:25 クロストーク④ 地域で広がる学びと遊びの可能性
「コミュニティが育まれていく体験のつくりかた」
話題提供:小野寺愛(一般社団法人そっか 共同代表)
     堀口博子(一般社団法人エディブル・スクールヤード・ジャパン 創設者 代表)
モデレーター:江崎礼子(株式会社ソノリテ 代表取締役)

 

15:30〜16:50 クロストーク⑤農業と食とコミュニティ
「給食の地産地食化のその先へ」
話題提供:石田篤(株式会社ビオ・マーケット 執行役員)
     白桃薫(株式会社フードハブ・プロジェクト 共同代表) 
モデレーター:大元鈴子(鳥取大学地域学部 准教授)

16:50〜17:30 クロージングセッション

 

2日目は、3つのクロストークとフィールドワーク、そしてエディブル・スクールヤード創始者のアリス・ウォーター氏によるスピーチが行われました。2日間の感想をグループ単位、そして最後に全体に共有する時間をとって、この会は終了しました。

食育に関して個々の事例を傾聴して、自分の口に入るものを育てることから食べることまで密度濃く経験した子どもたちの純粋な反応が、「農と食」の明るい未来の道しるべになっていると感じました。
なぜその界隈では食育がこんなにも着目されているのか。その意義や未来への志向性について「School Food Forum 2023」に参加して初めて気が付かされました。
ただ経験するのではなく、五感を通じて言葉にできないような心の奥深い部分に何かを感じることで初めて将来を切り拓いていくことになるのだと思います。農業における「育てる〜作る〜食べる〜つなぐ」という一貫したプロセスを分断せずに子どもたち一人一人の身体で体感し、考えることでしなやかで強い人間へと成長していくのかもしれないと、食育の重要性を感じました。

私自身、「食農教育」を学校で受けた記憶はあまりありません。小学校で行った秋の芋掘りくらいでしょうか。日常生活の中でも、土に触れて農を実感する機会はほとんどなく、食料はスーパーで「購入する」ものでした。つまり「食」は消費の対象になっていました。
「農と食」は本来であれば、全員が自分事であるはずですが、現代ではその距離が遠くなっているように感じます。私は大学で食にまつわる経済について研究していますが、現代社会を覆う「生産と消費」という産業としての食料システムの中では、もう「農と食」を救い出すことはできないのではないかと考えていました。
ですが、このフォーラムで感じたポジティブなパワーは、「食」は変えられるのかもしれない!食べることで本当に世界を変えることができるのではないか!とさえ感じるほどでした。それは、食べ物を消費するのではなく、分解していくような身体への取り込み方を実践している方のお話をお聞きしたからです。

もちろん食べることは作ることに支えられています。本フォーラムの副題である「地域でつなぐ農と食」で、「食」よりも先に「農」が置かれているのも、「食」を直に支える「農」(農家)を尊ぶ気持ちがあるからだと察します。神山町という日本の小さい町で食農フォーラムが行われたことの意義は、このように「農」に重きが置かれ、食と農の距離の近さを目の前で体感することができるからであると思います。

総じて本フォーラムは大変有意義な時間でした。
“学校食”という切り口だけでもこれほどの人が質高く考え、行動していると考えると、私には何ができるのだろうと背中を押されるような思いでした。参加者同士もおそらく同じようなあたたかい思いを共有できたのではないかと思います。しかし、本題はこれからであると思います。参加者同士で共感した思いを一過性の思い付きにとどまらせず、長く続け、繋げていくことが私たち参加者の使命です。

情報量が多く、頭の中を整理するのにかなり時間がかかりましたが、まだまだ考えきれていないこと、漏れてしまっていることが多くあると思います。

本フォーラムを経て、「どのようにして、地域を、日本を、世界を巻き込んで、「食」を変えていくことができるのだろうか。」このあまりにも大きすぎる問いが今、私の中に発せられています。

長くなりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
このような素晴らしい機会をいただいたこと、そしてこの会の企画・運営にご尽力された皆様への感謝の言葉で終わりたいと思います。
ありがとうございました。

 

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School Food Forum2023 − 地域でつなぐ農と食 −
主催:NPO法人まちの食農教育
後援:農林水産省、神山町教育委員会、神山つなぐ公社
Photo by Akihiko Ueta

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NPO法人まちの食農教育

2022年3月設立。Community Supported School Lunch を合言葉に、農体験と給食をつなげ、食を通じて世界を学ぶまちぐるみの「学校食」プログラムをつくっていきます。

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