「行こう、鮎喰川!」〜先達に“学ぼう”、魚獲り〜
なんでも2023年11月30日
夏休みも残すところ3日、となった8月29日。
神山でも一番奥の地域になる上分・中津地区で、いつもの先達NOB−Gこと河野誠敬(かわののぶたか)さん(写真右)と、新たな先達YOSHI−Gこと、森 嘉敬(もり よしのり)さん(写真左)と一緒に「行こう、鮎喰川!〜〜先達に“学ぼう”、魚獲り〜」を行いました。
嘉敬さんは、若い頃から魚を獲る名人で、アメゴやウナギなど、いろんな魚を獲ってきてはご近所の方にお裾分けしていたそうです。
嘉敬さんが昔とったアメゴの写真を見せてくれました。30cm??大きいっ!
あまりの名人っぷりに、周りの皆さんからは「あんたは魚の世界で指名手配されとるわ」(笑)と言われていたそうです。
嘉敬さんとの出会いは、「行こう、鮎喰川!」の活動をサポートしてくれている駒形くんから聞いたエピソードから。
昨年の夏に、森さんのところを訪ねた駒形くん。
森さんから教えていただいた「見釣り」に、大の大人3人が夢中になった(けど、森さんみたいには釣れなかった)お話や、森さんが竹でつくった見事なウナギの仕掛けを自分たちも一緒に作ってみた、というお話などを聞きました。
「見釣り」!!!
「竹でつくるウナギの仕掛け」!!?
「これはもう行くしかない!」と駒形さんと一緒に嘉敬さんのところへ行ってきました。
川でしてきたことなど、たくさん伺い、作られている道具を見せていただきました。
↓森さん作 竹製のウナギの仕掛け
↓上の筒の反対側。ここからウナギが筒状になった竹の罠に入ると出られなくなるという仕掛け。中には大きなミミズなどを入れておくと、その匂いにつられてウナギが寄ってくるんだそうです。
↓獲れたウナギを入れておく、これまた竹製の入れ物。
何もかもが手作りです。
「すごい・・・」と感嘆するばかり。
「先達として子供たちにいろいろ教えていただきたいです!」と直談判。
快く引き受けてくださいました。
子供たちとやってみることになったのは「見釣り」。
ー「見釣り」とは?ー
神山では「ジンゾク」と呼ばれているヨシノボリという小さな魚がいます。
水面から(時には水中から)見ながら釣るので「見釣り」というそうです。
嘉敬さんの「見釣り」は、竿を作るところから始まります。
今回は半日プログラムだったため、スタッフが森さんに教わりながら、釣竿を作りました。
嘉敬さんと同じ中津地区に暮らす吉田大輔さんも一緒に手伝ってくれました。
釣竿と言っても、「ただ作る」ではなく、つくる過程そのものが先達の知恵と技の嵐。
・まず、切ってきた細い竹を80cmくらいの長さに切る。
・竹の枝分かれしているところも出っ張りがないよう(怪我をしないよう)綺麗に切り落とす→ハサミの使い方が要。
・竿先を見て、下に向いて曲がっている方に糸が垂れるよう、糸を結ぶための針金をU字に曲げながら、糸を結びつける。(竿先の角度、わずかな曲がりを見極めることが肝心。釣ってみると実感します!)
・そして、釣り針をつける(この日の釣り針は、森さんのところにあった鮎用の毛針を再利用。針の毛をとってから結び付けました。)
準備中に、上分の集落支援員さんたちもやってきました。
支援員さんたちも竹竿作りに参戦!
「え??」「え??」と苦戦する姿に、嘉敬さんも苦笑い??
こうして、なんとか事前に準備を済ませて迎えた当日。
先達、あゆリーダー、子供たち、そしてこの日は、滋賀県立大学の瀧先生たちも学生さんたちと一緒に来てくださっていました。
(瀧先生は、昨年度行われた「小さな自然再生研修会」でお世話になった先生です。青いTシャツを着ているメンバーが瀧先生たちご一行です)
あゆリーダーは嘉敬さんから釣竿の手ほどきを受け、
子供たちと一緒に、手に手に手作りの竹竿を持ち、川に出かけました。
川を覗くYOSHI-G。
「おる、おる!」
「?」
「ほこにもおるでぇ」
「?」
「ほこにも!」
「?」・・・
「あっ、おったー!」
同じ場所を覗いているのに、見える景色が全然違うことにみんなで愕然。
さすがは先達です!
まずは、餌となるムシを探します。
今回の餌となるムシはこんな感じ。
川の中の石の表面にくっついている、小さな石粒で包まれた小さな筒状の巣。
この筒状の巣を慎重に外していくと、中から・・・
こんな小さな虫が出てきます。「スナムシ」とYOSHI-Gは呼んでいました。これが今回の「見釣り」の餌です。このムシ、トビケラの幼虫だそうです。
スナムシを取り出すため、丁寧に石粒の筒を外す女の子たち。
そして、いよいよ見釣りへ。
YOSHI−Gがお手本を見せてくれます。
ヒョイっと入れた竿を・・・しばらく待って・・・
ヒョイっ!
竿をあげた先には、小さなジンゾクが!!!釣れてる!!!(んです!)
「おーーーーっ!」とみんなから拍手喝采。
少し照れ臭そうに笑うYOSHI−G。
同じ地区に暮らす、山田勲さんも駆けつけてくださり、先達対決!?(笑)
NOB-Gは「てみ」を使って、川岸に近いところに生える草の中をガサガサ。
NOB-Gの右手に持っているのが、農作業などで使われる「てみ」という道具です。
「こうしたらとれるよ」と、草の中を「てみ」でガサガサ。
すると「てみ」の中には、エビや小さなお魚たちが!
とにかく、この日は子供たちが川を覗く!一日でした!
箱メガネで覗き込む子。
シュノーケルで覗き込む子。
水面から覗く子たち
川の専門家の大学生のお兄さん・お姉さんから、魚の獲り方や魚の種類も教わりました。
みんなそれぞれが、夢中になって魚を探している姿があって、
その様子を微笑ましそうに見守ってくださる先達の姿がありました。
とった魚はもちろん、先達オススメの素揚げに!(お魚の水気を切っている様子。揚げてるシーンじゃなくてごめんなさい。)
美味しく食べて、夢中の時間が終了しました。
振り返りの時間。
魚を獲る。「自分たちの頃は魚を獲ることは遊びじゃなくて、『暮らし』だった」
「人間は一人では生きていけない。やっぱり人との関わりを持って自分が成長することができるんじゃないかと思う。こういうことに参加して、ますます自分を磨いてもらいたいと思います。」
とYOSHI-Gが話してくださいました。
一方で、「川で釣りをすることが初めてで楽しかった」という小学生。「子供たちと仲良くなれて楽しかった」というあゆリーダー。
小学生やあゆリーダーの言葉に、先達は、どこかである懐かしさを感じたり、小学生やあゆリーダーたちは先達が話してくださる言葉を静かに受け止めたり。
この活動の一番大事にしたい部分でもあるこの時間。
世代を超えて、言葉を受け取り合う機会があることが、本当に大切だと感じています。
このプログラムを行うにあたっても、竹竿の様々な部品となるものの準備から、現地の草刈りに至るまで、本当にたくさんのお力添えをいただきました。
必要な準備は何か。どんな風にやると、その時間がいい時間になるか。
嘉敬さんの中には、子供たちが来る前から、その絵が描かれています。それはNOB−Gも他の先達も同じだといつも感じます。
そんな先達の背中を見て、小学生、高校生、大学生、そして親や私たちスタッフは、その世代ごとにいろいろなことを感じとっている。そんな気がしています。
この日。YOSHI-Gのもとを去ろうとしたそのとき、奇跡が・・・。
「ここで虹が出るんや、久しぶりじゃ」とYOSHI-G。
実は雨が心配されたこの日。
まさかまさかの展開に、みんなで空を見上げました。
鮎喰川の神様に感謝です。
ikouakuigawa
まちを将来世代につなぐプロジェクトの中の施策2-7「地域の先達にまなぶ、防災教育を兼ねた「子どもの自然体験」の促進」の取り組みを紹介しています。 神山つなぐ公社(田中泰子、秋山千草、中村奈津子)を中心に、高校生・大学生スタッフが運営しています。
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